異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!

ありぽん

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46話 大人気の新店舗『工房 メモリー』と獣人夫婦

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「整理券はこちらでお渡ししています!」

「次の方どうぞ!!」

「きゃあぁぁぁ! あなたとあなた、あの絵のモデルの子ね!! 可愛いぃぃぃ!」

「可愛いし、カッコいいわね!」

「こっち向いてぇ!!」

「あら、本当にそっくりに描いてもらえるのね。それでこの値段なんて。あなた、私達も描いてもらわない?」

「整理券、まだ配ってたな。貰いに行くか」

「パパー、ママー。あたしもえ、ほしい!」

「今日は別の場所で遊ぶ予定でしょう? でも、確かこれは思い出になるわよね」

「明日も整理券を配るのか聞いて。もしあれだったら、今日の予定と変えるか」

 イントッシュさん達一行が、予定通り帰って3日後。昨日新たに開店した、あなたの思い出を絵に残しませんか? 『工房 メモリー』は。開店2日目だが、かなりの大反響で、かなり混み合っている。あまりのお客さんの数に、整理券を配って対応する程だ。

 開店日に来てくれたお客さん達が、かなり喜んでくれて。他の人に宣伝してくれたんだ。それを聞いて、とりあえず喜んでもらえて良かった。そうホッとした俺。
 だけどホッとしたのも束の間、夜中に連絡が来て。24時間営業の俺の施設。夜中だったけどお客さんが殺到。

 それで朝の部、昼の部、夜の部と、時間帯の合わせて急遽整理券を配り、対応をすることに。そしてそれは今も続いている感じで。お店の周りはごった返している。

 またあまりのお客さんに、人手が足りないということで。森の中の、他の街に住む絵師さん達にも、落ち着くまで手伝ってもらうことに。
 それと新しい店舗でだけだとお客さんが入りきらないから、臨時で別の空き店舗も使って、営業することになった。

 そして今、本店ではアクアとリル、目覚まし鳥達が、お客さんの呼び込みをしてくれている。混んでいるけれど、やっぱり新店舗。どんなお店か宣伝しないといけないってことで、アクアとリル達が、呼び込みをしてくれているんだ。

 ジェラルドさんとイントッシュさんを、俺達の話し合いの後、長時間にわたって、説教をしたアクア達。
 その説教が終わってから、やっとお店の内装にとりかかって。アクアとリルが納得する場所に、自分達の絵を飾ってもらった。

 だけど今は、お店の前に台を設置。その台の上に絵を飾りなおして、その前でアクアとリルは絵と同じ格好をして、こんなに素晴らしい絵を描いてもらえます! と宣伝してくれている。

 疲れたら休んで良いからなと言ってあるけれど。どうもモデルが気に入ったみたいで、お昼ご飯までは絶対にやると。というか今日はずっとやるらしい。

 来店してくれたお客さんや、通りかかったお客さんが、『きゃあぁぁぁ! 可愛い!!』とか、『こっち向いてー!』とか。アイドルかってほどの人気でさ。それに気を良くしたアクアとリル。時々お菓子やおもちゃまで貰えるものだから、やめたくないんだ。
 
 あ~あ~、あんなに笑顔を振りまいて。目覚まし鳥達も同じ感じだ。あれは当分ここから離れないな。

「ねぇ、何か面白そうよ」

「何々? ……絵を描いてくれるのか」
 
 アクアとリル達を見ていると、俺の隣にオオカミの獣人の男女が来て、パンフレットを手に取った。

「思い出を絵にして持ち帰れる……。サイズは3つで、お気に入りの格好をして絵を描いてもらえるのか」

「思い出……。ねぇ、今の私達にちょうど良いと思わない?」
 
「確かにな。忙しかった、しいろいろあったから、何もそういうのはできなかったもんな」

 何もできなかった? 興味を持ってくれているみたいだし、話しをしてもし気に入ってもらえたなら、整理券を渡すかな。

『いらっしゃいませ。この施設の代表スケです』

「ああ、あなたがスケさんですね」

「こんにちは」

「この店舗は昨日開店ばかりで、よろしければご説明いたしますが」

「お願いできるか?」

 俺は簡単に一通りの説明をした。そうそう、値段の設定だけど。コストカットしたおかげで、かなり値段を下げることができた。もちろん下げてもちゃんと、売り上げが出る値段にしてあるけど。それでも一般の人達が、気軽に店舗を利用できるまでには下げられた。

 日本円で言うと1番小さいサイズが3000円。中くらいが4000円の、1番大きなサイズで5500円だ。1番大きなサイズの時は、貸衣装と小道具代込みにしてある。他のサイズで貸衣装や小道具を使う時は、プラス500円を貰うことに。

 まだ2日目だけだけれど、衣装と小道具を借りる人が多い気がする。もしかするとアクアとリル達のモデルのおかげかもしれない。

「へぇ、話しを聞いたら、さらに良く思えてきたわ。あなた、描いてもらいましょうよ」

「そうだな。結婚と、新婚旅行、どっちの思い出にもなるからな」

『結婚?』

「ああ、俺達1ヶ月前に、結婚したばかりなんだ」

『それは! おめでとうございます!!』

「ありがとう。でもね、ちょっといろいろあって、結婚式をすることができなくて。ようやく夫婦での初めての旅行には来られたのよ」

「だからここで絵を描いてもらえれば、結婚と旅行、両方の思い出になるかと思ってな」

 いろいろと……か。まぁ、人それぞれぞれ事情はあるからな。内容までは聞かないけれど。そうか、結婚と旅行、この場合は新婚旅行か。それの思い出に絵を描いてもらう。……そうだ!!

『それでは是非こちらをご利用ください!! ここにはいつまでご滞在ですか?』

「まだ来たばかりで、1週間はいる予定よ」

「分かりました。では整理券をお渡ししますね。3日後までの整理券になりますが。いつがよろしいですか」

「明日は予定を入れてあるから、2日後の整理券を貰えるか」

『はい!』

 よし、2日後なら用意できるな。別に彼らが選ばなくても良いし、だけど一応用意しておこう。俺は2人に整理券を渡す。

「それとちょっと聞きたいことがあるんだが」

『はい。何でしょうか?』

「一応明日の予定は立てたんだが。この森は初めてで、ここの施設も素晴らしいのだが、他も見て回ろうかと。何かお勧めの場所はあるか?」

『そういうことでしたら、今日中にお勧めの場所を選定して、明日朝その資料をお届けしますよ。もしよろしければ、お勧め場所のご案内もいたしますが』

「本当か! それはありがたい!」

「ええ、本当に!」

『では明日、大丈夫な時間をお教えくださいますか。その時間に伺って詳しいお話を』

「ありがとう。じゃあ……」

 明日の良い時間を聞き終わると、獣人夫婦は去って行った。よし! これから忙しくなるぞ! 新婚旅行大作戦だ!!
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