もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん

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33 / 213
3巻

3-1

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 プロローグ


 僕の名前はジョーディ。日本から異世界の侯爵家に転生して、この前一歳になりました。
 今僕は家族と、アースカリナっていう大きな街に来ています。パパとママとお兄ちゃんのマイケル、じぃじとばぁば、それに魔獣のみんなと一緒です。
 魔獣は最初、ブラックパンサーのローリーだけだったのに、旅の途中で増えました。ダークウルフのドラックとドラックパパ、ホワイトキャットのドラッホとドラッホパパ……他にも何匹かいて、とても賑やかです。
 アースカリナには、見たことのない物がいっぱい。その中でも一番驚いたのはお城。アースカリナには大きなお城があったんだ。しかもまさか、お城にお泊まりができるなんて。
 お城に着いた僕達は、中に入った途端大騒ぎ。だって外側もキラキラしていて綺麗だったけど、中もとってもキラキラで、しかも凄く広かったんだ。
 王様と王子様にも会いました。王様はちょっとうるさくて、でも優しいおじいちゃん。王子様はとってもカッコ良かったよ。


 それから他にも嬉しいことが。白くて小さい綿わたみたいな魔獣のホワイトミラリーバードのモコモコさんと契約したんだ。名前はホミュちゃんに決定。ちゃんとホミュちゃん本人に確認して決めました。可愛いお名前でしょ?
 それからね、契約したから、ホミュちゃんとお話もできるようになりました。ホミュちゃんも僕が話したことを、きちんと分かってくれるんだよ。
 お城にお泊まりができて、ホミュちゃんとも契約ができて、もうニコニコの僕。楽しいこと、嬉しいことはまだまだ続きました。
 なんと、王様が僕の誕生日パーティーを開いてくれたんだ。僕はとっても嬉しくて、いつもみたいに叫んじゃいました。それをマネしてドラック達も叫んじゃって。最後にはみんなで一緒に、音楽に合わせて踊ったんだ。すっごく楽しかったよ。
 誕生日パーティーは次の日も続いて、僕は王様が用意してくれたサウキー――ウサギの姿の魔獣だよ――のぬいぐるみのお山に突撃したり、美味しいご飯を食べたり。アースカリナに来てから、楽しいことばっかりでした。
 これからもこの「楽しい」が続けばいいなぁ。




 1章 ジョーディの規格外の鑑定かんてい


「ジョーディ、そろそろ時間だぞ」

 遠くから声が聞こえます。誰?

「ジョーディ、セレナ様が来てくださったぞ」
「ちゃいのう……」

 口が上手く回りません。眠くて、眠くて……。

「これはダメね。もう少し時間をずらしてもらうしかないわ」

 おやすみなさい……。


「ふわわわわぁ~」

 う~ん、よく寝た。僕は伸びをしながら起き上がりました。もうすぐ朝ご飯の時間かな? キョロキョロ周りを見ます。
 仲良し魔獣のドラック達が窓の側で遊んでいて、一緒にいたローリーが、僕が起きたことに気が付きました。
 あれ? お兄ちゃんがもう起きてる? 
 僕は横を見て、窓の方にいるお兄ちゃんを見て、もう一回横を見ます。いつも僕より起きるのが遅いのに、どうしてお兄ちゃんが先に起きているの?
 そしたらお兄ちゃんも僕が起きたことに気が付いて、ママの所に行ってくるって言って、部屋から出て行っちゃいました。ローリーとドラック、ドラッホをはじめとした魔獣達が僕の所に集まります。

「ちゃいのぉ‼」
『おはようジョーディ!』
『もうお昼ご飯の時間だよ!』

 え⁉ お昼ご飯の時間? そんなに遅くまで寝ていたの? う~ん、昨日、何をしていたっけ。
 僕が考えていたら、パパ達がお部屋に入って来ました。それからママが急いでお着替えよって。あ~あ、またあのヒラヒラ、モコモコの洋服にお着替えです。サウキーのマークが付いた洋服か、昨日着た茶色い洋服の方がいいのに。茶色い洋服……あっ‼ 
 僕は昨日のことを思い出しました。そうだ、昨日は僕のお誕生日パーティーの続きをやったんだった。お部屋の中はフワフワ、いっぱい風船が浮いていて。それからサウキーのぬいぐるみに飛び込んで。他にもプレゼントをいっぱいもらったよね。サウキーとプレゼントは何処?

「しゃうきー、こ? こ?」

 僕が急に慌て出してサウキーって言ったから、パパが、ベッドの上にあった二つのサウキーのぬいぐるみを取ってくれます。いつも持ち歩いているサウキーと、パパに買ってもらったブチのサウキーです。
 二匹とも、ママが洗濯してからずっと毛が爆発したまま。いい加減、いつものフワフワした毛に戻ってくれないかな。もしかして戻らないなんてことないよね?
 ……おっと、今はプレゼントのサウキー達だよ。
 話すのがまだ上手くできない僕に代わって、ドラック達に通訳を頼んで、サウキーとプレゼントのことを聞いてもらいました。そしたらね、あのプレゼントは全部、荷馬車に今積んでいるんだって。
 もう少ししたらお家に帰るから、それまでに色々用意しておかないと、ってパパが言いました。ちゃんと全部持って帰ってね。忘れないでね。
 お着替えが終わったら、パパが僕を抱っこしてくれて、そのまま椅子に移動。使用人のベルがフルーツジュースと、ゼリーを持って来てくれました。
 そしたら、いつもは自分で食べるけど、今日はこぼさないように、ママが綺麗に食べさせてくれたんだ。でも、ゼリーをお口に入れるたびに、「喉に詰まらせないように、でも早く食べて」ってかされたからちょっと大変だったよ。
 そんな風にバタバタ食べて、それが終わったらまたパパが僕を抱っこして、みんなで部屋から出ました。パパ達はご飯食べなくていいの?
 早足で歩くパパ達。お兄ちゃんはママに抱っこされて、ドラック達は何かいつもと違う雰囲気に、飛び跳ねながらついて来ます。
 何処に行くのかなと思っていたら、そのままお外に出た僕達。そのままお庭を歩いて行って、キラキラしているけど、ちょっと小さいお家の前に行きました。玄関前にいた騎士さんが僕達を見てドアを開けて、中に向かって何か言った後、すぐに中にお入りくださいって。
 お家の中も外側と一緒で、とってもキラキラでした。それから部屋の一番奥にはおじさんの人形が置いてあります。その人形の前には、グラスみたいな形をした、お兄ちゃんと同じくらいの背の置物が置いてあって。
 そして、その手前に王様と王子様、あと女神のセレナさんが立っていました。反対側には、王様達のお手伝いをするしわしわの人、イレイサーさんが並んでいます。

「せにゃしゃ‼」

 僕が手を振ったら、セレナさんはニッコリ笑って、手を振り返してくれます。でも僕の方に来てはくれませんでした。
 パパが王様にお辞儀じぎします。

「陛下、遅れて申し訳ありません」
「なに、昨日はかなりはしゃいでいたからな。こうなることは分かっておった。気にするな。よし、早速始めるとするかのう」

 王様がグラスの置物の隣に立つと、ママ達が僕から離れて、窓の側に立ちます。ドラック達はドラックパパ達がくわえて、やっぱり窓の方に。僕はパパに抱っこしてもらったまま、グラスの置物の前に行きました。
 僕は置物の中を覗き込みます。置物の中にはお水?が入っていて、そこに王様が別の小さいグラスで、たぶんこっちもお水?を入れました。
 その後パパが何かブツブツ言ったら、お水がポワッて光り始めたんだ。

「さぁ、ジョーディ、この魔法のお水の中に手を入れるんだ。バシャバシャだぞ。でもそっとだぞ」

 バシャバシャしていいの? 僕は手を入れて、思いっきりかき混ぜます。僕ね、お水をバシャバシャするのが好きなんだ。お風呂に入る時もおもちゃでバシャバシャ、お庭に行っても池でバシャバシャ。

「ジョーディ、やりすぎだ‼」

 ん? パパの方を見たら、お顔が水だらけでした。パパ、どうしたの? 僕が気付かないうちにパパもバシャバシャしたの?

「まったく」

 パパがハンカチを取り出して顔をいていると、その間にセレナさんが僕の所に来て、頭を撫で撫でしてくれました。
 それでね、パパが顔を拭き終わるのと同時くらいに、おじさんのお人形が光り始めたんだ。それからすぐに、お部屋の中全部が光り始めたの。

「人間って面倒ね。こんなことをしないと鑑定できないなんて」

 セレナさんがそう言ったら、お人形さんの後ろに、空中に浮かぶ感じで、大きい透明な画面が現れました。画面には文字がたくさん書いてあります――僕はまだ字が読めないから、何て書いてあるか分からなかったんだけど。セレナさんが、僕のことが書いてあるって教えてくれます。
 へぇ、凄いねぇ。魔法ってこんなこともできるんだ。僕は楽しくて手をバタバタ。その手が――バシッ‼ またいつもみたいに何かにぶつかります。
 もう! またパパ、僕にぶつかったの? 僕は後ろを振り返ります。
 あれ? パパはいつもみたいに鼻を押さえているんだけど、いつもと違うことが。目を大きくパッチリさせて、ビックリした顔をしているの。どうしたの、パパ?
 僕はそのまま周りも確認。そうしたら、向こうに立っているママ達も、王様と王子様も、みんながビックリした顔をしていました。みんなどうしたの?

「うん、ちゃんと反映されているわね」

 そう言いながらセレナさんが、うんうんと頷いています。それから、「ちょっと確かめるから待っていてね」と言って、画面に近づいていきました。そして画面を見つつ、これはまだよねとか、あれはもういいかしらとか、ブツブツ呟いています。
 そして、セレナさんが画面に手をかざすと、サッと文字が変わりました。文字だったところが、バッテンにてんてんが付いている模様に変わって……今度はその逆です。なんだかゲームしているみたい。面白そう。僕もできないかな?
 しばらく文字と模様をいじり続けた後、

「うん、これで完璧になったわ」

 セレナさんがニコニコしながら、僕の所に戻って来ました。その途端パパが、

「な、何だこれは⁉」

 そう叫んだんだ。そうしたら王様やじぃじ達も煩くなって、お部屋の中が一気にとっても騒がしくなりました。

「セレナ様、これは一体⁉ ジョーディにはいくつの加護が付いているのですか! 聞いていた話とは違うのですが! それに『神々の寵愛ちょうあいを受けし者』とは⁉ 今までにこの称号を頂いた人間は三人しかいません!」

 パパの早口が止まりません。それから鼻血も。早く魔法で止めた方がいいよ?
 じぃじと一緒に離れて立っていたママがこっちに来ました。ママはパパに鼻血を止めるように言いながら、パパみたいに、セレナさんにたくさん質問します。
 鼻血を止める魔法を使うために、パパが僕を下に降ろしました。
 う~ん、パパ達のお話、長くなりそう。僕はお兄ちゃん達の所に行きます。待っている間に、このお家の中を探検しようと思ったの。

「あちょ‼」
「遊ぶの? いいよ。パパ達、お話が終わらなそうだもんね。でもみんなお話ししてるから、静かにね」

 ドラックやドラッホ、小さな魔獣達と一緒に壁に沿って歩き始めます。部屋の中には飾りがいっぱい。お花の形をした金色の飾りとか、透明だけどキラキラ光っている魔獣のお人形とか。

『これ、ホミュちゃんの石に似てるなのぉ!』

 あっ、本当だ。ホミュちゃんの大切な石に似ている石が、何個か置いてあります。
 と、次の場所を探検しようとした時、パパがお兄ちゃんと僕を呼びました。せっかく探検を始めたばっかりなのに。
 ローリーが僕のお洋服を咥えて、お兄ちゃんと一緒にパパの所へ。パパが今度はお兄ちゃんに、置物のお水をバシャバシャしろって言います。
 パパに抱っこされたお兄ちゃんは、僕と違って静かにバシャバシャ。そしたら、やっぱりお家の中が光って。さっき出た画面の横に、新しい画面が出て、またパパ達がビックリした顔になったんだ。

「ああ、私がマイケルに、ジョーディと同じ契約魔法を教えたからね。それからこっちはきっと、あの人が彼を気に入って、ジョーディのこともあったから、早いうちに加護を付けたみたい」

 セレナさんが頷いています。
 王子様がイレイサーさんに尋ねました。

「おい、記録はとったか?」
「はい」
「では場所を移動しよう」

 何々? もう終わり? 僕達、まだ全然探検してないよ。
 でも僕のお話が聞いてもらえるわけもなく、僕はローリーにお洋服を咥えられたまま、パパ達の後ろをついて行ってお城に戻りました。
 そして僕達はお泊まりしているお部屋に。もう遊んでいいって言ってから、パパ達はバタバタと何処かに行っちゃいました。


     *********


 私――ラディスは、皆で部屋へ移動しソファーに座ると、ジョーディの鑑定結果について話し合う。
 鑑定結果は、ジョーディの歳ではかなり異常なものだった。いや、大人でもあり得ないような鑑定結果だ。まぁ、確かに凄い鑑定結果を持っている者も、この国に何人かいるが……レベルが違いすぎる。
 鑑定結果の内、一番特別で一番まずいものが、『神々の寵愛を受けし者』だ。この称号を与えられた者は今までに三人。今から三百年くらい前に一人、二百年前に一人、百年前に一人。そのすべての者が歴史に名を残し、彼らの話はずっと語り継がれている。
 その称号がジョーディに与えられているなんて。このことが世間に、他の国にバレでもしたら大変だ。ジョーディのことを考えてくれる者ばかりなら良いのだが、もし無理やりにでも従わせようとするやからが襲ってきたら。
 それから女神様の加護も問題だ。加護自体は『神々の寵愛を受けし者』に比べれば、そこまで珍しいものでもないし、加護を持っている者は多い。多いが、その数が問題だった。普通一つが当たり前なはずなのに、五つも与えられていたのだ。これだけは事前に聞いていたが、それでも衝撃だった。
 おかしなところはまだまだある。魔力の量が示されるらんには、表示不可の文字が。それは魔力量の欄だけではなく、加護が表示されている欄にも後三つほど。
 それから、使える魔法の欄は、まだ一歳では表示されるはずがないのだが、『全属性』と表示されてしまっている。
 こんなおかしな表示ばかりのジョーディの鑑定結果だったが、まさかマイケルまで鑑定がおかしくなっているとは。この前の鑑定の時にはなかった、女神セレナ様の加護に加え、もう一人、別の女神様に加護を頂いていたのだ。

「だからさっき向こうで言ったでしょう? ジョーディと同じ契約魔法を教えたからって。それからたぶんこっちは、私達の様子を見てた女神達の中に、マイケルを気に入った女神がいただけよ。良かったじゃない。もらえる物はもらっておけば良いのよ。悪いことなどないんだから」

 あっけらかんとしたセレナ様。
 私が言葉に詰まっていると、今度は陛下へいかが切り出す。

「さ、先程、表示不可のものと、もともと表示されていたものが、セレナ様が手をかざされた途端に変わったのですが、あれは?」
「ああ、まだ表示には早いものと、どうしてか、逆に表示されていないものがあったから変えておいたわ。私が表示不可にしたところは、ジョーディが成長してからの方が良いと思って。ああ、これからジョーディの成長が楽しみだわ。あとは……」

 いつも思うが、セレナ様は少し軽くないか? 私達が何にも言えなくなってしまっていると、今までニコニコしていたセレナ様が、急に真剣な表情になった。

「あとはあなた達がジョーディやマイケルを、国の道具として扱ったりしなければ完璧よ。分かっているわよね。ジョーディ達が自ら道を選ぶのなら良いけれど、無理やり従わせることがあればその時は、ジョーディ達に二度と会えなくなるし、この国がなくなると思ってね」

 そして一瞬でニコニコのセレナ様に戻ると、ジョーディ達と遊んでくると言って、さっさと消えてしまったのだ。
 セレナ様がいなくなった後、少しの間、部屋の中は静まり返っていた。
 気まずい沈黙を破ったのは陛下だった。

「イレイサー、偽造した鑑定書と普通の鑑定書を用意せよ。偽造の方は、鑑定結果を一般的なものに調節して作ってくれ。真の鑑定結果がバレれば、この国の王として考えたくはないが、この城からも良くないことを考える輩が出て来るじゃろう。サイラスよ、二人はお主の孫じゃ。お主が守るじゃろうが、二人が成長して自らを守れるようになるまでは、なるべく偽の鑑定書を。本物はラディス、お前にたくすぞ」

 私とルリエットは陛下に頭を下げる。
 父さんが眉根を寄せた。

「しかしここまでとは。ある程度心構えをしていたが、あまりにもワシの考えを超えていたわい」
「そうじゃな。ラディス、必要ならワシも対応できる人間も用意しよう。だがお前達は家族、親なのだ。二人が道を外れぬよう、しっかりと愛情を持って育てるのじゃぞ」
「はい!」

 私の手をルリエットが握る。私達の大切な子供だ。何があろうと、何が向かってきたとしても、必ず私達が守る。そしてもし道を踏み外しそうになったら、その時は絶対に止め、何か悩みができた場合は、求められれば手を貸す。絶対に見捨てたりはしない。
 陛下がソファーに寄りかかるように座り、殿下でんかはお茶を飲み干し、父さんはため息を。気持ちを新たに、しっかりしなければと思ったが、あまりのことに皆疲れてしまっていた。
 と、そこへ、ベルがやって来た。

旦那だんな様、ジョーディ様がベッドから転がり落ちてしまって、頭をぶつけられたと」

 一体何をやっているんだ。だがその報告のおかげで、現実に戻って来られたな。陛下と殿下に挨拶あいさつし、部屋を出る。
 はぁ、これからマイケルも、ジョーディもどう成長していくのか。




 2章 魔獣園に遊びに行こう‼


 僕達は今、みんなでお出かけの最中です。あの鑑定の日から二日して、セレナさんは帰っちゃいました。今度はいつセレナさんと遊べるかな?
 それから、僕達がお家に帰るのは五日後なんだって。だから帰るまでに、みんなで動物園?みたいな、魔獣園に遊びに行くんだ。
 僕らのような子供が、小さい頃から魔獣と遊んで、慣れておくための練習場所。それが魔獣園ね。
 お誕生日パーティーも終わったし、鑑定も終わったし、あとは街で遊んでいいってことになったんだ。あっ、じぃじは王様と何処かに遊びに行ったって、王子様が怒っていました。

「護衛も付けずに、何処に行くとも言わないで。大体いつも父上もサイラス様も……」

 じぃじ達が何処かに行ったせいで、パパとママが、たくさんごめんなさいをしていたよ。そうしたら王子様が、パパ達のせいじゃないから気にしないでくれって。それと、あとで厳重注意しないとって言っていました。
 それからばぁばは、この街にお友達がたくさんいるから、今日はそのお友達と、ずっとお茶会って言っていたよ。お菓子を持って帰って来てくれるって。ゼリーとかプリンとか、やわらかい物だったらいいなぁ。僕、まだあんまり色々食べられないから。


 そして僕は今、パパと一緒に、馬の魔獣であるスプリングホースに乗って街を歩いています。お兄ちゃんはママと一緒。ドラック達は僕達の周りをウロウロしながらついて来ていて。土人形のポッケとホミュちゃんは、僕の洋服のポケットの中から顔を出しているよ。

「ルリエット、私は考えたのだが」
「なぁに? また何か面倒なことでも考えたの?」
「いつもジョーディのせいで、私は鼻血を出すだろう? だから抱き上げている時は、なるべく姿勢を正して、あごをこう上げてだな……」

 パパが何かブツブツ言っています。いつも僕の手にぶつかってくるもんね。僕は手を上げてるだけなのに。パパ、本当に気を付けてね。

「はぁ。それで本当に、ジョーディの喜びの攻撃を避けられたら良いわね」

 ママがパパのお話を聞いて、ため息をついていました。
 街はとっても広くて、端っこから端っこまで行くには、馬車に乗ったり、魔獣に乗ったりして移動しないとダメ。僕達がこれから行く魔獣園は、街の端っこにあるから、今日はスプリングホースに乗っての移動なんだ。
 最初はお店とかお家とかが、ごちゃごちゃ並んでいる所を通って、僕はお店のチェックをしました。
 明日はみんなでお買い物の日なんだ。お家に帰る日が近くなると、パパもじぃじも挨拶とかなんか色々やることがあるから、ゆっくりお買い物できません。だから明日みんなでお買い物するの。そう、ママがお兄ちゃんに説明していました。
 僕はもうたくさんぬいぐるみをもらったから、別のおもちゃが欲しいんだ。ボールとか、みんなで遊べる物がいい。この前買ってもらったサウキーの乗り物は僕しか乗れないから、みんなで乗れる別の乗り物とか。あとはおままごと用のおもちゃとか。
 あっ、あそこにおもちゃ屋さんを発見! あそこにも‼ わぁ、あのローリーの形をしている乗り物、カッコいい! ふへへ、明日のお買い物楽しみ‼
 進んでいるうちに、だんだんとお店やお家がなくなってきました。それに代わって畑や牧場が多くなってきました。牛さんや羊さんに似ている魔獣がのんびり過ごしています。
 またまた進んで、今度は壁とさくが遠くに現れました。それから、可愛い魔獣がたくさん描いてある看板が見えてきます。あそこが魔獣園なんだって。よく見たら、入口に虎さんみたいな、でもとっても小さい、ドラック達くらいの魔獣がいました。
 門の所で止まったパパ。先にスプリングホースから下りて、その後僕を下ろしてくれます。それから係の人?にスプリングホースを渡すと、スプリングホースは馬車とか魔獣が集まっている所に連れて行かれました。
 僕はすぐに、さっきの虎さん魔獣の所に歩いて行きます。パパの手をグイグイ引っ張って、うん、引っ張っているんだけどね。実際には、僕が前のめりになっているだけで、パパはいつも通り歩いています。


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