扇風機を持って異世界転移!? もふもふたちと共に扇風機を操り俺はこの世界を生き延びる!!

ありぽん

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13話 まさかの才能なし!? 救世主は扇風機!?

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「……才能なし?」

「い、いや、もしそうだとしても、これから訓練をすれば、3くらいにはあげられるはずだぞ!! な、カーライル」

「そ、そうだぞ。いや、お前の場合は可能性の段階だから。もしかしたら普通に平均以上になる可能性も……。たぶん、な」

 俺はもう1度判定の石を覗き込み、その後カーライルさんとリカードを見た。と、視線を逸らす2人。おい、2人の感じから、ほとんど才能なしで決まりって感じじゃないか!!

 まさかそんな!? せっかく楽しみに判定を受けにきたのに、こんな結果になるなんて!? 魔法も剣も才能なしだと!?

「だ、だがな、ほら。魔獣使いのレベルは9だから、かなり強い魔獣でも、契約することができるぞ!! それに言語理解もレベルが高いからな。どんな国に行って、どんな人種の者達に出会っても、他の連中は話せない、魔力が弱い魔獣でも、話しができるはずだ! そこのフェアリーラビットはちょっと弱すぎてダメだが」

 ああ、ああ。分かってるよ。そりゃあ魔獣使いのレベルが高くて、俺だって嬉しいさ。これでフェアリーラビットと契約ができるし。これから他の魔獣と出会って、心を通わせることができたなら、契約することができるんだから。

 だけど、だけどさ。異世界だぞ、魔法と剣だぞ!! 何で異世界で大切な、魔法と剣の才能がなしなんだよ!!

「まぁ、なんて言うか、こればかりは、それぞれの才能だから、何とも言えないんだが。まだ可能性が消えたわけじゃないんだ。これからもカーライルに魔法を習うと良い。それで結果が出るだろう」

「俺が教えるのか?」

「どうせ、そのつもりだったろ?」

「まぁな、それは考えていたが」

 ううう……。教えてもらえるのはありがたいけど。その訓練の度に、もしかしたら魔力と剣の才能なしを、突きつけられるかもしれないんだろう? そんな悲しいことがあるかよ。

「おい、魔法と剣に関しては、何とも言えないのは確かだが。ガッカリするのは早いぞ。良いこと悪いことって言ったろう」

 ガックリしている俺の頭を、ガシガシを撫でてきたリカードさん。俺は小さなため息を吐きながら前をみる。

「ほら、最後の所。固有武器ってのがあるだろう」

 ああ、魔獣使い以外に、気になっていた最後の表示か。

*固有武器
扇風機(レベルアップにより様々な用途に合わせて進化可能)
癒し3、トリミング3、防御1、攻撃1、飛行1、自動修復10

「なんて読むか分からんが……」

「あ、これは扇風機って言います」

「センプウキ? そう、読むのか。まぁ、読み方は良いとして。この固有武器っていうのはな、特別な武器が使えるってことなんだ。カーライル、こいつ、見たことのない武器を持ってなかったか? センプウキって言う」

「リョウ、話しても良いか? あのお前が大事に抱えていた物のことを」

 カーライルさんに助けられた次の日、扇風機について聞かれて、扇風機という名の道具だ、とだけ話していた。だから扇風機という言葉を聞いて、その事について話して良いか、聞いてきたんだと思う。

「はい。他の人達にはちょっとですが、お2人になら」

「分かった。リョウを保護した時、見たこともない面白い形の道具を持っていてな。名前だけは聞いていたんだが、それが固有武器だったらしい」

「じゃあちゃんと、その武器は手元にあるんだな? なくしたとかはないな?」

「ああ、今の家にしっかりと置いてある」

「そうか。よし、じゃあ固有武器っていうのはな……」

 固有武器、それは。特別な能力や特徴を持ち、一般的な武器とは、まったく異なる物で。特定の人物しか扱えず、それ以外の人は扱うことができない。使用者のレベルアップや経験によって、強化、変化する武器の事らしい。うむ、これもライトノベルと同じ感じだな。だけど……。

 どう考えても、扇風機には関係ないような能力が、表示されていないか? 癒し3は、元々の扇風機の性能、風で涼んで癒しを得る感じだと思うけど。その他は?

 まずはトリミング3だけど。このトリミングって、トリミングか? わんこやニャンコを綺麗にするやつ。扇風機の風で乾かしてやれって事だろうか?

 さらに問題なのはトリミングの後だ。防御1、攻撃1、飛行1って。涼むための扇風機で、防御、攻撃、飛行ってなんだよ。扇風機でそれができるとでも? 
 まさかなぁ、敵の攻撃を防いだり、攻撃ができる? 飛行だって、もしかして扇風機が勝手に飛ぶとか? まさかなぁ。

 それて最後の自動修復だけど、これは扇風機が壊れた時に、自動で治るって事だろうか?

「固有武器は使うのがとても難しいんだ。訓練も難しくてな。そのせいでなかなかレベルは上がらんが。それでも上がってしまえば、どんな魔法にも負けない、とても素晴らしい武器に進化する。お前はその特別な武器を持っているって事だ」

「これは魔法や剣の才能があるよりも、とても素晴らしい事なんだぞ。だから今からいろいろ訓練すれば、この扇風機はお前の最大の武器になる」

「そうなんですね。でも俺、最初の能力は、なんとなくどういう物か分かるんですけど、他の防御とか攻撃とか、それが分からなくて」

「その辺もな。他人には使えんから、自分で調べて訓練していくしかないんだ。これもレベルがなかなか上がらない要因なんだが」

「俺らの知り合いに何人か、固有武器を持っている奴らがいるが。そいつらによると。ある日突然、頭の中に言葉が浮かんできて。それを唱えたら使えるようのなったと言っていた。だからお前も、何かいろいろしているうちに。ある日突然言葉が浮かんできて、センプウキを使いこなせるようになるはずだ」

「みんなそうなんですか?」

「ああ、皆そうだ。俺の知っている限りはな」

「だからもし、本当の魔法と剣の才能がなくても、センプウキだけは諦める事なく、極めるべきだ」

 魔法と剣の才能がないかもしれないと言われて、かなりショックを受けたけど。まさか扇風機が、俺を救う武器になるかもしれないなんて。一体俺のステータスはどうなってるんだよ。
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