22 / 78
22話 風の精霊王シルフ
しおりを挟む
『リョウパパ、シルフおにいちゃんの、おなまえある?』
「……」
『リョウパパ?』
ミルフィーに髪の毛を引っ張られ、我に帰る俺。
「あ、ああ、どうしたミルフィー?」
『ちゃんと、シルフおにいちゃんのおなまえある?』
「あ、ああ、ちゃんとあるぞ。しっかり家族になれた」
『やったぁ!! シルフおにいちゃん、やったぁ!!』
『うん!! やったぁ!!』
ミルフィーには、家族になった時、ステータスとこのプレートについては、きちんと説明してあったから。契約すると名前が載る事を、ちゃんと分かっていて聞いてきたんだ。うん、しっかりと載っているから。契約に関しては全く問題はない。
ないが、別のことが問題だった。俺は喜ぶミルフィーとトールとシルフに、気が散るから少し退いてくれ、と離れてもらい。しっかりとプレートの、シルフの事が載っている部分を確認する。うん、やっぱり俺の見間違いじゃないよな。
これはまずいんじゃないか? そう思った俺は、すぐに父さんとタイラーに声をかけた。だが、プレートを確認する前から、何故かギャアギャア騒いでいた父さん達に、俺の声は届かず。仕方なく大きな声で、父さん達を呼んだよ。
「父さん!! タイラー!!」
「お、おう!!」
『な、何だ!?』
「何だ、じゃないよ。シルフの契約ができているかは、もう確認できたよ。ちゃんと契約できていたから問題ない。だけどその他に、たぶん問題だと思う部分があるから、ステータスを見て欲しいんだ。だから騒いでないで、こっちにきてよ」
「おう、すまんすまん。こいつがあーだこうーだと、よく分からん事を言ってきてな」
『俺はもしかしたら、かなり大きな問題が起きたかもしれないと、お前に伝えようとしただけで』
「だから2人とも! 揉めるのは後にして、先にステータスを見てよ」
まったく、何をそんなに揉めているんだか。そっちの揉め事の内容は知らないけど、こっちのステータスはたぶん、いやかなり問題だと思うんだ。だから早く見て欲しいのに。
もう1度俺に怒られて、ブツブツ言いながらも、ようやくステータスを見てくれた2人。タイラーは人の文字も読めるから問題なしだ。
ステータスの最後の部分には、こう言う表示がされていた。
*契約精霊
風の精霊王……シルフ
年齢???
魔力量???
能力???
と。俺は父さん達の様子を見る。するとステータスを見たまま、目を見開いて固まっている2人。あ~、やっぱりこれってまずいやつだったか。
「父さん、タイラー、これ、まずいよね?」
「俺は見間違いをしているのか? まさか精霊王なんてな」
『いや、間違いないだろう。俺でも測れない魔力量、それに気配を解いた時のこの感覚、そして名前。ずべてが奴に当てはまる』
「……ここに人がいない事は当たり前だが、それでもやはり、外で話す事じゃない。おい、全員家の中に入るぞ。そこの歌ってる3匹、ちゃんとついてこい」
『『『はーい!!』』』
喜んでいるうちに、また自分達作の歌を歌い始めていた、ミルフィーとトールとシルフ。元気よく返事をすると、それぞれの定位置。トールはタイラーの頭の上、ミルフィーは俺の頭の上。そしてシルフは俺の肩に乗ってきた。
そして全員で家に入ると、家の探検をしたいと言い始めたシルフ。それを父さんが、後でゆっくり案内してやるからと、クッキーで何とか止めて。お茶も用意し、改めてシルフについて話をすることになった。
風の精霊王。風の精霊の頂点に立つ王。世界には四大精霊王がいるが、そのうちの1人。強大な風の魔法や嵐を操る力を持っていて、世界の均衡を司る守護者として、人々が崇める存在。異変が起こると、世界のバランスが崩れたり、暴走したりすることがある。
この世界ができてから、もうどれだけ経っているか分からないが。姿を見た者はそうおらず。最後に目撃されたのは、今から200年ほど前のため。現在生きている人の中では、会った人はいないらしい。
だが、他の種族の中には、会った事があると言う者もいるため。真意の程が分からず。結局最近では、伝説の存在になりつつある、と。
精霊王の話しを父さんがしてくれた後、部屋の中に少しの間沈黙が流れた。いや、沈黙していたのは俺と父さんとタイラーだけか。チビもふ3匹は、今だに楽しそうに歌いまくっているからな。
伝説の4大精霊王の1人が、今、俺達の前に? 1人? 1匹じゃなくて? なんて。あまりの事態に数分後、最初に話し始めた俺の口から出た言葉は、どうでも良いような事だった。
人だろうと匹だろうと、そんな事どうでも良いのにな。問題は精霊王ってところなんだから。
「まさか、伝説と言われている精霊王が、俺の家に、息子の契約精霊になるなんて」
『だから、俺はこの事をお前に伝えようとしたんだ』
「伝えようとしたって、何で俺を呼びにきた時に、先に言わなかったんだ」
『その時こいつは気配を消していて、どんな存在なのか分かっていなかったんだ。それに名前があるのも知らなかったからな。戻って気配を元に戻してもらい、その魔力量に驚き。魔力量と名前、全てのことを合わせて考えて、もしかしたらと気づいたから、お前に伝えようとしたのだ』
「あの、父さん、タイラー、これってやっぱりまずい感じかな?」
黙ったまま何度も頷く2人。やっぱりそうだよなぁ。まずいよなぁ。
「まだ子供のお前が、いや大人だったとしても。もしお前が精霊王と契約した、なんてバレたら、王も他の貴族も、そしてお前に取って、悪にしかならん連中も。全ての者達が、お前の所へやって来るだろう。そして無理やりの手段を使ってでも、お前を手に入れようとしてくるはずだ」
その父さんの言葉に、3人でため息を吐き、数秒だったがまた沈黙が流れた。
「……」
『リョウパパ?』
ミルフィーに髪の毛を引っ張られ、我に帰る俺。
「あ、ああ、どうしたミルフィー?」
『ちゃんと、シルフおにいちゃんのおなまえある?』
「あ、ああ、ちゃんとあるぞ。しっかり家族になれた」
『やったぁ!! シルフおにいちゃん、やったぁ!!』
『うん!! やったぁ!!』
ミルフィーには、家族になった時、ステータスとこのプレートについては、きちんと説明してあったから。契約すると名前が載る事を、ちゃんと分かっていて聞いてきたんだ。うん、しっかりと載っているから。契約に関しては全く問題はない。
ないが、別のことが問題だった。俺は喜ぶミルフィーとトールとシルフに、気が散るから少し退いてくれ、と離れてもらい。しっかりとプレートの、シルフの事が載っている部分を確認する。うん、やっぱり俺の見間違いじゃないよな。
これはまずいんじゃないか? そう思った俺は、すぐに父さんとタイラーに声をかけた。だが、プレートを確認する前から、何故かギャアギャア騒いでいた父さん達に、俺の声は届かず。仕方なく大きな声で、父さん達を呼んだよ。
「父さん!! タイラー!!」
「お、おう!!」
『な、何だ!?』
「何だ、じゃないよ。シルフの契約ができているかは、もう確認できたよ。ちゃんと契約できていたから問題ない。だけどその他に、たぶん問題だと思う部分があるから、ステータスを見て欲しいんだ。だから騒いでないで、こっちにきてよ」
「おう、すまんすまん。こいつがあーだこうーだと、よく分からん事を言ってきてな」
『俺はもしかしたら、かなり大きな問題が起きたかもしれないと、お前に伝えようとしただけで』
「だから2人とも! 揉めるのは後にして、先にステータスを見てよ」
まったく、何をそんなに揉めているんだか。そっちの揉め事の内容は知らないけど、こっちのステータスはたぶん、いやかなり問題だと思うんだ。だから早く見て欲しいのに。
もう1度俺に怒られて、ブツブツ言いながらも、ようやくステータスを見てくれた2人。タイラーは人の文字も読めるから問題なしだ。
ステータスの最後の部分には、こう言う表示がされていた。
*契約精霊
風の精霊王……シルフ
年齢???
魔力量???
能力???
と。俺は父さん達の様子を見る。するとステータスを見たまま、目を見開いて固まっている2人。あ~、やっぱりこれってまずいやつだったか。
「父さん、タイラー、これ、まずいよね?」
「俺は見間違いをしているのか? まさか精霊王なんてな」
『いや、間違いないだろう。俺でも測れない魔力量、それに気配を解いた時のこの感覚、そして名前。ずべてが奴に当てはまる』
「……ここに人がいない事は当たり前だが、それでもやはり、外で話す事じゃない。おい、全員家の中に入るぞ。そこの歌ってる3匹、ちゃんとついてこい」
『『『はーい!!』』』
喜んでいるうちに、また自分達作の歌を歌い始めていた、ミルフィーとトールとシルフ。元気よく返事をすると、それぞれの定位置。トールはタイラーの頭の上、ミルフィーは俺の頭の上。そしてシルフは俺の肩に乗ってきた。
そして全員で家に入ると、家の探検をしたいと言い始めたシルフ。それを父さんが、後でゆっくり案内してやるからと、クッキーで何とか止めて。お茶も用意し、改めてシルフについて話をすることになった。
風の精霊王。風の精霊の頂点に立つ王。世界には四大精霊王がいるが、そのうちの1人。強大な風の魔法や嵐を操る力を持っていて、世界の均衡を司る守護者として、人々が崇める存在。異変が起こると、世界のバランスが崩れたり、暴走したりすることがある。
この世界ができてから、もうどれだけ経っているか分からないが。姿を見た者はそうおらず。最後に目撃されたのは、今から200年ほど前のため。現在生きている人の中では、会った人はいないらしい。
だが、他の種族の中には、会った事があると言う者もいるため。真意の程が分からず。結局最近では、伝説の存在になりつつある、と。
精霊王の話しを父さんがしてくれた後、部屋の中に少しの間沈黙が流れた。いや、沈黙していたのは俺と父さんとタイラーだけか。チビもふ3匹は、今だに楽しそうに歌いまくっているからな。
伝説の4大精霊王の1人が、今、俺達の前に? 1人? 1匹じゃなくて? なんて。あまりの事態に数分後、最初に話し始めた俺の口から出た言葉は、どうでも良いような事だった。
人だろうと匹だろうと、そんな事どうでも良いのにな。問題は精霊王ってところなんだから。
「まさか、伝説と言われている精霊王が、俺の家に、息子の契約精霊になるなんて」
『だから、俺はこの事をお前に伝えようとしたんだ』
「伝えようとしたって、何で俺を呼びにきた時に、先に言わなかったんだ」
『その時こいつは気配を消していて、どんな存在なのか分かっていなかったんだ。それに名前があるのも知らなかったからな。戻って気配を元に戻してもらい、その魔力量に驚き。魔力量と名前、全てのことを合わせて考えて、もしかしたらと気づいたから、お前に伝えようとしたのだ』
「あの、父さん、タイラー、これってやっぱりまずい感じかな?」
黙ったまま何度も頷く2人。やっぱりそうだよなぁ。まずいよなぁ。
「まだ子供のお前が、いや大人だったとしても。もしお前が精霊王と契約した、なんてバレたら、王も他の貴族も、そしてお前に取って、悪にしかならん連中も。全ての者達が、お前の所へやって来るだろう。そして無理やりの手段を使ってでも、お前を手に入れようとしてくるはずだ」
その父さんの言葉に、3人でため息を吐き、数秒だったがまた沈黙が流れた。
87
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる