扇風機を持って異世界転移!? もふもふたちと共に扇風機を操り俺はこの世界を生き延びる!!

ありぽん

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33話 ミルフィーによる扇風機勉強会という名の遊び

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『ことばあそび、ぼくがせつめいします!!』

『おう!!』

『よ、よろしく』

『楽しみにしていました』

 俺達は今、みんなで庭に出ている。フルール、プルル、コロンと契約してから2日。この2日間は本当に大変だったよ。というかずっとバタバタしていた。

 まず、契約した時の事だけど。余程嬉しかったのか、契約した途端に家から飛び出し、結界ギリギリを飛び回ったフルールとプルルとコロン。それに加わり一緒に飛んだミルフィーとトール。

 が、飛びすぎて、戻ってきた時にはフラフラになってしまい。チビもふ達が全員ダウン。そんなみんなを回復しなくちゃと、父さんが作った回復のポーションを飲んでもらい。その後爆睡したチビもふ達は、次の日のお昼ごろまで寝ていて。

 そしてお昼ご飯を食べて、完全に回復してからは。もちろん扇風機で遊びたいと言ってきたけれど。ここで暮らすなら、シルフの時のように、先に家のことを知ってもらわないといけなかったし。

 それから花鳥のことも、みんな分かっていたけれど。それに関連して、ほら証のこととか、その証を付けていないとどうなるかとか。説明しなくちゃいけないってことで。みんなには遊びよりもまず、案内と説明を聞いてもらうことにした。

 みんな最初はブーブー言っていたけど。でも俺の話しを聞いて、これから一緒に暮らすうえで、本当に大切なことだから、と説明したら。みんな分かってくれて、しっかりと案内と話しを聞いてくれた。

 また、街に行って証を作るのは、父さん達の見回りが済んで。その報告をリカードさんにしに行く時、ついでに作ろうって事になった。

 そのためそれまでは一応、一応な。家族だって事が分かるように。父さんがパーティーを組んでいた頃につけていた、パーティー名と自分の名前が入っている、ペンダントがあるんだけど。それが予備を含めちょうど3つあったから。みんなにはそれを付けてもらう事に。

 これでこの間のリリースさんのように、誰かが訪ねてきても。父さんの名の入った物を身につけていれば、みんな家族だと納得してくれるだろう。

 他にも急いで用意した物がある。みんなの寝床だ。みんな俺のベッドに寝られればいいが、それでもやっぱり、自分だけのゆっくり寝られるベッドは必要なわけで。
 この間遊びに来た魔獣達が出してくれたワタを使い、父さんがみんなのクッションを作ってくれた。

 それからみんなの食器も用意したし。父さんがミルフィー達の、小さな椅子とテーブルを作ってくれていたんだけど、それもみんなの分作ってくれて。みんな大喜びだったよ。これだけたくさんの物を、1日で作ってくれた父さんには感謝しかない。

 早く俺がいろいろとできるようにならないとな。今はワイバーンの事があって、中止になってるけど。実は父さんに、こういった物の作り方を習っている最中なんだ。
 だから早くできるようになって、父さんの手伝いをしたいし、みんなの物は、俺が作れるようになりたいんだ。

 そして案内と説明で終わった昨日。明日はいよいよ扇風機で遊べると、みんなは盛り上がり過ぎて、朝方まで寝られず。結局俺が起きる少し前に、やっと寝たようで。

 そんなみんなを起こさないように起きた俺は、一昨日と昨日、見回りができなかった父さんとタイラーが、今日はさすがに見回りに行かないとって事で。見回りに行く父さんを見送ったあと、みんなが寝ている間に、いろいろ家事を済ませ、昼になってみんなを起こしたんだ。

 そうしてお昼ご飯を食べた後は、みんなで庭に出てきて、今からミルフィーがみんなに、扇風機の言葉遊びを教えるところだよ。

『それでは、ことばあそびのおべんきょう、はじめます!!』

『おう!!』

『う、うん』

『よろしく頼む』

『まず、リョウパパに、センプウキをうごかせるようにしてもらいます。リョウパパ!! センプウキ、まりょく!!』

「はいはい」

 扇風機に魔力を流してやると、まずは強、中、弱のボタンの説明から始めたミルフィー。そして実際にボタンを押して風を出すと、歓声の声が上がった。

『おおおおお!! 凄い!!』

『ほ、本当に風が出た!?』

『これは凄いですね!?』

『いま、おしえたところをおすと、かぜの強さがかわります! やってみます!!』

『本当だ!! この文字が1番強いのか』

『こ、これが真ん中、こっちは静か』

『面白い文字ですね。見たことないです』

『つぎにうしろのうえのところのボタン、ここをひっぱると、センプウキがうごきます!! おすととまります!!』

『な、何だよこれ!! 動いてるぞ!?』

『わ、わわ、凄い!?』

『こんな動きまで!?』

『ここまでが、センプウキのうごかしかたです!!』

『へぇ、こんな簡単に押すだけで、いろんな動きをするんだな』

『お、教えてくれてありがとう』

『ありがとうございます』

『つぎに、ことばあそびです!!』

『お、いよいよか!!』

『た、楽しみ』

『きちんと説明を聞かなければ』

『まずは、あっちにこっちに、うごいていないセンプウキでれんしゅうです』

『『『はい!』』』

『すぐにできるから、だいじょぶです!! さいしょは、1ばんよわいかぜで、れんしゅうです! センプウキのかぜがでているとことに、ちょうどいいくらいちかづいて、そしてこえをだします。さいしょは『あ』がいいです。やってみます。『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛』』

『『『!?』』』

 そこからはずっと、大騒ぎになった。というか、誰がやるかで喧嘩になりそうになって、順番に並ばせたよ。順は俺が勝手に決めた。文句を言ってこようとしたけど、もし文句言うなら遊ばせないぞって言ったら、みんな仕方なくって感じで並んだよ。

 自分の名前を言ったり、自分は何々だと言ったり。途中からは言葉だけではなく、鼻歌で試してみたり、その辺に落ちていた木や石を持ってきて、音をだしたり。よくまぁ、いろいろと思いつくなと思った。

 ただ、近づきすぎて危ない時があったから。その時はみんなを止めて、扇風機についての注意点を話した。隙間から何かを入れたら、その何かが壊れるかもしれないし、もしかしたら自分が傷つくかもしれないからな。

 それにこの前、これは絶対に確かめろ、って父さんに言われて。ちょっと扇風機に傷を付けてみたんだけど。自動修復レベル10のおかげで、まさかの直ぐに自動で修復されるっていう。傷ついたところが一瞬光って、すぐに直ったんだ。

 だから何かを、回ってる羽根部分に入れてしまい、扇風機が壊れてしまっても、直ぐに直るから問題ないけど。愛用してきた扇風機だから、できたらなるべく壊さないで、使ってもらいたい。

 そうして注意が終われば、みんなちゃんと分かってくれて。その後は必要以上に近づかなかったし、誰かが何かしそうになったら、誰かが必ず注意してくれた。

 こうして扇風機遊びは、父さん達が帰ってくる夕方まで続いたんだ。

 だけどまさか、この時の俺の注意が、あり物の進展につながるなんて。その時の俺は考えもしていなかった。そしてその事に気づいたのはシルフだった。
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