扇風機を持って異世界転移!? もふもふたちと共に扇風機を操り俺はこの世界を生き延びる!!

ありぽん

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43話 初実戦成功!!

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『リョウパパ!! あぶない!!』

「ミルフィー!! 防御魔法だ!!』

 俺はすぐに魔力を扇風機に流し、呪文を唱える。

「ミルフィー! 叫んで良いぞ!! エリアバリア!!」

『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』

 大きなネズーが俺達に飛びかかってこようとした瞬間、俺とミルフィーは防御魔法を発動。大きなネズーは思い切り『エリア・バリア』に弾かれて、2メートルほど後ろに飛ばされ、1回転して起き上がった。

 俺達はその間に、大きなネズーからさらに距離を取る。ここでトールの出番だった。

『秘技!! 応援の舞!!』

 そうトールの声が聞こえると、頭の上でモゾモゾ動く感覚が。今それをするな!! というか、今は動くな!! 頭の上で何してるか、いや応援しているんだろうが。今は立つんじゃない!!

『え~、何それ。そんな踊りがあるの? 面白いねぇ、後で教えてよ』

『トールおにいちゃん、カッコいい!!』

 面白いのかカッコいいのかどっちだよ! じゃなくて今は戦闘に集中しろよ!!

「みんな、しっかり前を見ろ!! まだ戦闘は終わってないんだぞ!! と、ミルフィー! もう1度だ!! エリアバリア!!」

『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』

 俺達のなんとも言えない様子。ミルフィー達の会話を聞いて、そして頭の上でどんな動きをしているのか知らないが、トールの動きに頭に来たのか。ネズーが大きな唸り声を上げながら、再び俺達に向かって突っ込んできた。

 しかしまたちゃんと発動した『エリアバリア』に、今度は最初よりも飛ばされ。されに怒り始めたネズー。

 さて、どの魔法が1番か。やはりここはシルフの、『ウインドカッター・ダブル』か? スピードも早く威力もなかなかだ。その後にフルールの『ブレイズカッター』で、切りながら焼くのもありだな。よし!!

「シルフ、いくぞ!!」

『いいよ!! やって!!』

「ウインドカッター・ダブル!!」

 俺はわざと、大きなネズーの足を狙って、『ウインドカッター・ダブル』を放った。動きを止めたかったからだ。

 狙った通りに飛んでくれた扇風機の羽。最初の攻撃で前足を、次の攻撃で後ろ足を攻撃した。血が吹き出し、ネズーがその場に倒れそうになる。が、それでも立ち上がり、進んでこうとする大きなネズー。そしてあいかわらず威嚇をしてくる。

 やはり大きいだけはある。もしかしたらこのネズーの巣の、親玉なのかもしれない。ここは最後までしっかりと攻撃だ!!

「フルール!! 攻撃するぞ!! 俺はいつもよりも魔力を込める。俺の魔力の合わせられるか?」

『もちろん!! ……いいぜ!!』

「ブレイズカッター!!」

 少しだけ魔力を溜めるのに時間がかかってしまったが,それでも5秒ほどだ。俺はすぐに『ブレイズカッター』を放った。

 すると、いつもよりもお互いに魔力を込めたおかげか。炎の刃が厚くなっている感じがし、羽の周りに噴き出ている炎の強さも、強くなっているように感じた扇風機の羽が。大きなネズーの胴体にヒット。

 切った部分を燃やしながら、丸太のようにしっかりと体を切断し。大きなネズーはその場にズサァァァッ!! と倒れた。

 静まり返る現場。俺はそっと大きなネズーに近づくと、近くに落ちていた棒で体を突き、それから全体を見て、死んでいる事を確認。
 大きなネズーの後は、他のネズー達の死体だと思われるものを確認していく。突然起きあがられえたら困るからな。絶対驚く。そういうドッキリは嫌いだ。

 慎重にネズー達を調べていって、全ての確認が終わると、俺は大きな溜息を吐いた。それから深呼吸をして、父さんとタイラーを呼んだ。

「父さん! タイラー! 終わったよ!!」

「リョウ!! 良くやったな!!」

『初の戦闘だったが、しかも俺達が知らせていなかった、ボスまでしっかり倒すとは。すごいぞ!!』

 俺達の所までやってくると、父さんは俺の頭をガシガシ撫でて。タイラーは俺の体にしっぽを巻きつけてきた。ん? そういえば今、教えていなかったって。

「父さん、タイラー。教えていなかったってどういう事?」

「あ、ああ、それはな」

 どうやら父さん達、本当はボスネズーの事を知っていたらしいんだけど。その事を俺に伝えてえなかった。
 いくら下調べをしていても、不測の事態は付きもの。初めてだからと言って、それは変わらない。それを教えるって事で、あえて俺に伝えなかったらしい。

 もちろん俺は父さんとタイラーから、そういう事が多いと聞き。戦う前には、もちろんそのこと考えていた。だが、やはり実戦でと、あえてのことだったんだ。

『やっぱりわざと黙ってたんだ』

『おかしいなぁと、思ってたんだよな』

『と、頭数合わない。おかしいって』

『でもわざとなのかなと、黙っていました』

 ああ、そうね。みんな魔獣がどこにいるか。気配で分かるもんな。分かってなかったのは、俺と、はてな顔のミルフィーだけか。

「だがそれでも、お前はやり遂げた。それにみんなもしっかりとリョウと力を合わせて、攻撃ができた。良くやったぞ!!」

『最初は慌てて、失敗する奴が多い。だが、お前達は完璧だった。本当に良くやったな』

 黙っていられたのは、なんとも言えない気持ちもあったけど、それも俺のためだし。こんなに嬉しそうに褒めてくれる父さん達に、そして初戦闘が成功して、俺もとても嬉しくなる。こうして俺の初戦闘は、無事成功で終わったんだ。

 ああ、ちなみに、トールの、『秘技! 応援の舞!』だけど後で見せてもらったら、盆踊りと日本舞踊、バレエとサンバを混ぜたような踊りだった。よくこの動きを、あの戦闘中に頭の上から落ちないで、できたもんだよ。

 この日以降ミルフィーはカッコいいと、他のチビも達は面白いと。少しの間、応援の舞のブームが続いた。
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