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74話 父さんに届いた手紙
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「海ですか!?」
「ああ、少し前に連絡は来ていたんだ。ただ、その時点ではまだ、緊急ではないと判断されていて、何かあれば手伝ってほしいとは言われていた。が、それが、行方不明者と死者が増えてしまってな。さすがにこれはまずいということで、領主が指示をだしたらしい」
昨日の夜、話しがあると父さんに言われていたけれど。なんだかんだと時間が遅くなってしまい、次の日の朝に話しを聞く事に。そしてその話しの内容は、海に行く、という内容だった。
詳しく話しを聞くと。この世界にも海はあって。俺達が住んでいる森から10日ほど行った所に、海の街として知られるプラチオンという大きな街があるらしい。
そしてその街には、昔父さんとパーティーを組んでいた、魔法が得意のサイラスという方が住んでいて。時々手紙が来ていたそうだ。
そして半年ほど前、俺がこの世界に来る前に、街で奇妙なことが起こっている、という内容の手紙が届いた。
その内容は、いつの間にか隣にいたはずの船が消えていた。突然何の前触れもなく、海の魔獣の存在も確認できないのに船が破壊され、乗っていた人々が死亡してしまった。それが沖でも、街の近くでも起こったと。
また船ばかりではなく、海辺で作業をしていた人々が忽然と姿を消す。今まで隣にいたのに、ほんの数分目を離した隙に、気づくと沖で溺れていて、助けを求めていた。
など、他にもいろいろと、不思議な事件が起こり、調査はされているが、何も分からなかったらしい。
もちろん助かった人々に話しを聞いた。しかし皆が、自分の身に何が起こったのか、全く分かっておらず。気づいたらそういう状況に落ちいていたと。
海の街だからな。海に関する事故は、自分では大丈夫だと思っていても、思わぬ事故にあい、命を落とすことはある。今回起きたことの中にも、一応説明できるものもいくつかあったそうだ。
それにこういう事件が起きるのは、1ヶ月に2回程ほどで。こういう不思議な事件も起こることもあるのか? と。最初の頃は、原因不明として調査を終了していたらしい。
が、ここにきて、行方不明者と死者が、普段の3倍に膨れ上がった。そのため、さすがに何かが起こっているはずだと、領主が冒険者や騎士達に、本格的に調査するよう指示を出した。
なにしろ街は海と共にあり、海関係の物で街は成り立っている。もしも海で問題が起きれば、国内だけではなく、国との取引にも支障が生じ、街の存続にも関わってくる。だから領主自ら指揮をとり、問題を解決しよとしたんだ。
しかしここ2ヶ月ほど、調査しても何も分からず、海の魔獣と契約している人が多いため、その魔獣達にも、海の中を調べてもらったのだが、それでも何も分からず。
そんな状態なのに、まさかのタイダルバイトという、後で図鑑で調べたけれど。イルカと同じくらいの大きさで、大きな顎を持ち、塩の流れを操る魚が大量発生。
また狼に似ているのだが、まさかの海の中に住んでいる、ウェイヴウルフという魔獣が。そのタイダルバイトを追って港まで入ってきてしまい、調査が難航していると。
今はなんとか、その2匹の魔達を、港から追い出す事を優先にして動いているらしい。が、2匹とも強い魔獣のため、追い出し作業は上手くいっておらず、父さんに手伝ってくれないか、という手紙が昨日届いたんだ。
「かなり大変みたいでな。怪我人もたくさん出ているらしい。そのせいで回復が間に合っていないと。そんな中、奇妙な出来事も続いていて。どうにもならないと」
「そんな事が」
「でだな、俺はもちろん、奴を手伝いに行くつもりなんだが。お前達をどうするかと。お前記憶がまだ戻っていないだろう? ようやくここでの暮らしにも慣れてきたところだろうし。今は他の何かはしない方が良いかと思ってな。まぁ、この前のワイバーンは別としてだ」
『向こうに着いたら、バタバタするのは分かっているからな』
「もちろん俺がしっかりと、お前の面倒を見てくれる奴を呼んでやる。危険な森に、お前達だけにしたりしない。ただ、それもな。慣れない相手とになると、お前達も気を使うかと。で、他にもいろいろ考えたんだが、答えが出なくてな。もうここは、お前に決めてもらった方が良いだろうってことで、まとまったんだ」
「街にはどれくらい行く予定?」
「そうだな、確実な日数は分からんが、おそらく長くかかると思う」
「そう。じゃあ俺も行くよ」
俺の答えは決まっていた。行くに決まっている。こんな時になんだけど、海が見たいって事もあったし。それに俺の力で何かできるかもしれないだろう? ここで知らない人と暮らすなんてな、みんなだって知らない人じゃ落ち着かないだろう。
「良いのか? いつもだったら平和な海で楽しめる場所だが、今は危険ばかりの場所だぞ?」
「ここにいても危険なのは変わりないし、それなら家族みんなでいた方が良いだろう? 俺の扇風機魔法で、何か手伝えるかもしれないし。みんなも知らない人といるより、みんなでいた方が良いに決まってるよ」
「そうか、分かった。じゃあ全員で行こう!」
『ほらな、言った通りだろう。リョウはそう言うって』
何かと思ったら、タイラーは俺が一緒に行くと言うに決まっている、と父さんに言っていたらしい。しかも理由もバッチリ当てていた。
「それじゃあ、いろいろと準備するのに少し時間がかかるから、3日後に出発するぞ。明日は街へ必要な物を買いに行く」
「分かった!!」
こうして俺はこの世界に来て初めて、海の街へ行く事になった。
「ああ、少し前に連絡は来ていたんだ。ただ、その時点ではまだ、緊急ではないと判断されていて、何かあれば手伝ってほしいとは言われていた。が、それが、行方不明者と死者が増えてしまってな。さすがにこれはまずいということで、領主が指示をだしたらしい」
昨日の夜、話しがあると父さんに言われていたけれど。なんだかんだと時間が遅くなってしまい、次の日の朝に話しを聞く事に。そしてその話しの内容は、海に行く、という内容だった。
詳しく話しを聞くと。この世界にも海はあって。俺達が住んでいる森から10日ほど行った所に、海の街として知られるプラチオンという大きな街があるらしい。
そしてその街には、昔父さんとパーティーを組んでいた、魔法が得意のサイラスという方が住んでいて。時々手紙が来ていたそうだ。
そして半年ほど前、俺がこの世界に来る前に、街で奇妙なことが起こっている、という内容の手紙が届いた。
その内容は、いつの間にか隣にいたはずの船が消えていた。突然何の前触れもなく、海の魔獣の存在も確認できないのに船が破壊され、乗っていた人々が死亡してしまった。それが沖でも、街の近くでも起こったと。
また船ばかりではなく、海辺で作業をしていた人々が忽然と姿を消す。今まで隣にいたのに、ほんの数分目を離した隙に、気づくと沖で溺れていて、助けを求めていた。
など、他にもいろいろと、不思議な事件が起こり、調査はされているが、何も分からなかったらしい。
もちろん助かった人々に話しを聞いた。しかし皆が、自分の身に何が起こったのか、全く分かっておらず。気づいたらそういう状況に落ちいていたと。
海の街だからな。海に関する事故は、自分では大丈夫だと思っていても、思わぬ事故にあい、命を落とすことはある。今回起きたことの中にも、一応説明できるものもいくつかあったそうだ。
それにこういう事件が起きるのは、1ヶ月に2回程ほどで。こういう不思議な事件も起こることもあるのか? と。最初の頃は、原因不明として調査を終了していたらしい。
が、ここにきて、行方不明者と死者が、普段の3倍に膨れ上がった。そのため、さすがに何かが起こっているはずだと、領主が冒険者や騎士達に、本格的に調査するよう指示を出した。
なにしろ街は海と共にあり、海関係の物で街は成り立っている。もしも海で問題が起きれば、国内だけではなく、国との取引にも支障が生じ、街の存続にも関わってくる。だから領主自ら指揮をとり、問題を解決しよとしたんだ。
しかしここ2ヶ月ほど、調査しても何も分からず、海の魔獣と契約している人が多いため、その魔獣達にも、海の中を調べてもらったのだが、それでも何も分からず。
そんな状態なのに、まさかのタイダルバイトという、後で図鑑で調べたけれど。イルカと同じくらいの大きさで、大きな顎を持ち、塩の流れを操る魚が大量発生。
また狼に似ているのだが、まさかの海の中に住んでいる、ウェイヴウルフという魔獣が。そのタイダルバイトを追って港まで入ってきてしまい、調査が難航していると。
今はなんとか、その2匹の魔達を、港から追い出す事を優先にして動いているらしい。が、2匹とも強い魔獣のため、追い出し作業は上手くいっておらず、父さんに手伝ってくれないか、という手紙が昨日届いたんだ。
「かなり大変みたいでな。怪我人もたくさん出ているらしい。そのせいで回復が間に合っていないと。そんな中、奇妙な出来事も続いていて。どうにもならないと」
「そんな事が」
「でだな、俺はもちろん、奴を手伝いに行くつもりなんだが。お前達をどうするかと。お前記憶がまだ戻っていないだろう? ようやくここでの暮らしにも慣れてきたところだろうし。今は他の何かはしない方が良いかと思ってな。まぁ、この前のワイバーンは別としてだ」
『向こうに着いたら、バタバタするのは分かっているからな』
「もちろん俺がしっかりと、お前の面倒を見てくれる奴を呼んでやる。危険な森に、お前達だけにしたりしない。ただ、それもな。慣れない相手とになると、お前達も気を使うかと。で、他にもいろいろ考えたんだが、答えが出なくてな。もうここは、お前に決めてもらった方が良いだろうってことで、まとまったんだ」
「街にはどれくらい行く予定?」
「そうだな、確実な日数は分からんが、おそらく長くかかると思う」
「そう。じゃあ俺も行くよ」
俺の答えは決まっていた。行くに決まっている。こんな時になんだけど、海が見たいって事もあったし。それに俺の力で何かできるかもしれないだろう? ここで知らない人と暮らすなんてな、みんなだって知らない人じゃ落ち着かないだろう。
「良いのか? いつもだったら平和な海で楽しめる場所だが、今は危険ばかりの場所だぞ?」
「ここにいても危険なのは変わりないし、それなら家族みんなでいた方が良いだろう? 俺の扇風機魔法で、何か手伝えるかもしれないし。みんなも知らない人といるより、みんなでいた方が良いに決まってるよ」
「そうか、分かった。じゃあ全員で行こう!」
『ほらな、言った通りだろう。リョウはそう言うって』
何かと思ったら、タイラーは俺が一緒に行くと言うに決まっている、と父さんに言っていたらしい。しかも理由もバッチリ当てていた。
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