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80話 火と水の一悶着と平和の舞8
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「いやぁ、まさかあんな事になるとはな」
「だから言ったんじゃ、早く直した方が良いと。見ろ、そのせいでぬいぐるみたちがこんな事に。古い人形が何とか無事で良かったが。今度からは危ないと思ったら早く直せ」
「そうだな。焔護と恵泉にも、ぬいぐるみたちにも、悪ことをしてしまった。ぬいぐるみを修復してもらったら、祭りは終わってしまったが。その時にやるはずだったものを、全てやるつもりだ。もちろん舞もな」
「それが良いじゃろう」
まぁ、原因は完璧に焔護と恵泉だけど。気づかずに勘違いしてくれて良かったか? 工房の中から聞こえてきたじいちゃんと宮司さんの話し声。それに、そんな事を思いながら、知らないふりをして中に入る。
ちなみに焔護と恵泉の名前だけど。2人はあやかしだろう? だけど宮司さんたちは神として祀っていて。だけど名前だけは昔から、本来のまま伝わっているって。
もう何百年も前、初めて焔護と恵泉が祀られる事になった時。その時の偉い人? に自分たちで名前を伝えたらしい。その時にあやかしだってことも伝えたんだけど、何故か神になったって。
「じいちゃん、こっちは綺麗に乾いたよ」
「おお、晴翔ありがとう。修復しなくちゃいけない箇所はあったか?」
「これにはなかったよ。まだ向こうのはこれから確認するから、何かあったら伝えるね」
「晴翔君も悪いな。私がしっかり屋根を直さなかったばかりに。君がたまたま気づいてくれて良かった。あのままだったらもっと、被害が大きくなっていただろう。ありがとう」
「い、いえ、本当にたまたまだったので。それじゃあ俺は、次を確認してきますね」
何か言われたり、こっちが何か言って、突っ込まれるといけないから、すぐに工房を出て部屋に戻った。
『どうだ? 向こうの様子は』
「問題なさそうだよ。あの時のことも。最初の考えと変わっていないみたいだし」
カエンたちが黙々と、ぬいぐるみの修復をしている。だが、いつもの手伝いじゃない。今回はみんながやらかしたことだから、しっかりと責任を取らせている感じだ。
今日はお祭りから5日目。あの日、みんなが逃げてから何があったか。まず結論から言うと、宮司さんが勘違いしてくれたおかげで、みんなのやらかしはなかった事になった。
あの時、慌てていて俺は気づいていなかったんだけど。宮司さんのしまった! っと言う声で気づいたんだ。
実は壊したのは、壁だけじゃなかったんだよ。恵泉の力は、壁だけじゃ収まらず、収まらなかった力は上へと向かい、2階部分を突き抜け。その後屋根も突き抜け、全てに完璧に穴を空けていたっていう。
もう、どうしようかと思ったよ。まさか屋根までなんて思わないだろう? でも、宮司さんがこんなことを言い出して。
「すぐに直さずに、もう少し、お祭りが終わってからと思っていたから。まさかこんな事になるなんて。雷雨でやられたか!!」
ってね。そうしたら今度はじいちゃんが。
「だから早く直せと言ったじゃろう! これを見てみろ、お前が直さなかったせいで、ぬいぐるみたちが大変なことになってしまった!!」
と、宮司さんを怒り。どう言うことか聞いてみたら。ちょうど屋根の開いた部分だけど。もともと前から雨漏りをしていたらしい。かなり酷い雨漏りで、2階の床をふやかし、べこべこ状態にするほどで。
それだけ酷いんだから、早く直せと言っていたじいちゃん。だけど宮司さんは、お祭りのことで忙しくて。だからお祭りが終わったら、修理を頼むつもりだったんだって。
そうしたら、あの恵泉の怒りの豪雨だ。宮司さんはその豪雨が原因で、雨漏りをしていたところの屋根が壊れ、ついでに2階のベコベコにふやけた床も抜けたと思ったらしい。
そうして入ってきた雨と風で、ぬいぐるみが大変な状態になってしまって、壁もどの時に壊れたかってね。
その話しに、俺は申し訳なかったけど乗っかることに。俺はたまたま音が聞こえて、あの部屋へ行ったら、もうこんな状態になっていたって。こうして宮司さんの勘違いで、何とかその場を乗り切ることができたんだ。
それから全てのぬいぐるみを回収。無事だった人形は別の部屋へ運び、皆で床を拭いて。とりあえず片付けだけは終わらせた。もちろんぬいぐるみは、全てじいちゃんの工房に運ばれて、今修復しているところだよ。
そして今回の本当の原因だけど。焔護が酔いすぎて手元を誤り。恵泉のぬいぐるみを焦がしたことが原因だった。あの手の部分が黒かったぬいぐるみ、あれが焔護が焦がしたぬいぐるみだ。
それで自分のぬいぐるみをやられた恵泉がキレて。キレすぎて力が暴走。あの雷雨を呼んでしまったらしい。部屋の中にもな。
後からその話しを聞いて、もちろん怒ったよ。みんなで飲んで楽しむのは良いけど、下手したら火事になるところだったし。あのまま豪雨が続いたら? それでも大変なことになるかもしれなかったんだ。
ということで、これから1ヶ月、今回関わったあやかしたちは全員、ぬいぐるみの修復をし、それが終わったら引き続き俺の手伝いをするのと。それとお酒禁止令が言い渡された。
話を聞いた結城さんが、白火たちや他のあやかしたちに呼びかけてくれて。関わったあやかしたちがお酒を飲んでいないか監視。誰かがこっそり飲んでいたら、禁酒期間はさらに延長すると。
ただ、それでも守れなかったら。人やあやかし、動物たちに迷惑をかける存在として、最後は結城さんが消すって……。
それを聞いたみんな、今のところ全員約束を守って過ごしているよ。もちろんシロタマやカエンたちも飲んでいないぞ。
ちなみにあれから焔護と恵泉は、喧嘩はしていない。それどころか、力を合わせていろいろやっている。毎日必ず1回は喧嘩をしていたと言うからな。今回のこと、しっかり反省して、これからもみんなを守る存在であってほしい。
ここのところずっと、子供たちが新しいぬいぐるみを奉納しにきてくれていて。そして早くお家が直ると良いね、きっとすぐに直るから泣かないでねと、焔護と恵泉をとっても心配してくれているんだ。
その子たちのためにもさ。これからは何かを起こす方じゃなくて、守ってあげてほしい。
『晴翔、これはどこに置く?』
「ああ、それは……」
俺たちはそれからもずっと、ぬいぐるみをしっかりと修復したよ。そして……。
***************************
あの事件から1ヶ月後……。あの時中止になった舞が、もう1度披露された。晴天で、みんなが見守る中、綺麗で素晴らしい舞を見る俺たち。ただ、神社の屋根の上では……。
「舞ってくれている方たちには申し訳ないけど、2人の方が神秘的で、さらに綺麗で素晴らしいな」
『本来はああして共に舞っていたのだ。最近はずっと酒を飲んでいたり、違うことをしていたが』
「そうなのか? はぁ、あんなに素晴らしい舞を舞えるのに勿体無い。まぁ、人では俺しかみえていなかもだけどさ」
『来年からはまたしっかり舞うと言っていたぞ』
「そうなのか?」
『今回のこと、みんなかなり反省したからな』
「本当かよ、来年も同じことするなよ?」
『ああ、だから来年からは皆、コップに1杯だけ飲む事にした。後はみんな舞や祭りを楽しむ』
「飲むのかよ! そこは禁酒だろう」
『祭りだぞ、飲まないでどうする!』
「はぁ。まぁ、お酒好きのみんなが、それでも考えた方か」
『大分キツイが頑張るぞ』
「飲んでも飲まれるなってな。本当これからは気をつけてくれよ」
『ああ』
話しを一旦やめ、また屋根に集中する。今屋根の上では今、焔護と恵泉が舞っているんだ。これがずっと見ていたいと思うくらい、本当に素晴らしい舞で。この前喧嘩をして、やらかしたあやかしとは思えないほどだ。
あんなに素晴らしい舞を、このところお酒やいろいろな事でやっていなかったなんて。でも来年からは、みんなでルールを決めて、ちゃんとするみたいだからな。とりあえずはみんなに任せるよ。
ちなみにこの焔護と恵泉の舞は、俺にしか見えていない。姿を消してやっているからな。バレたら大騒ぎだ。俺は特別に見えるようにしてもらっている。
みんなに、この素晴らしい舞を見せられないのは残念だけど。でもきっと、心を込めた2人の思いはしっかりとみんなに届き、みんなに平和が訪れるはずだ。
「舞が終わったら2人のと所へ行こう。お菓子を持ってきたんだ」
『いいな、お茶にしよう。酒じゃないぞ?』
「ふっ、分かってるよ」
『饅頭は持ってきたか? 大福は? お茶には和菓子だからな』
シロタマが走り出す。
「あ、ほら、まだだよ。まったく……」
「だから言ったんじゃ、早く直した方が良いと。見ろ、そのせいでぬいぐるみたちがこんな事に。古い人形が何とか無事で良かったが。今度からは危ないと思ったら早く直せ」
「そうだな。焔護と恵泉にも、ぬいぐるみたちにも、悪ことをしてしまった。ぬいぐるみを修復してもらったら、祭りは終わってしまったが。その時にやるはずだったものを、全てやるつもりだ。もちろん舞もな」
「それが良いじゃろう」
まぁ、原因は完璧に焔護と恵泉だけど。気づかずに勘違いしてくれて良かったか? 工房の中から聞こえてきたじいちゃんと宮司さんの話し声。それに、そんな事を思いながら、知らないふりをして中に入る。
ちなみに焔護と恵泉の名前だけど。2人はあやかしだろう? だけど宮司さんたちは神として祀っていて。だけど名前だけは昔から、本来のまま伝わっているって。
もう何百年も前、初めて焔護と恵泉が祀られる事になった時。その時の偉い人? に自分たちで名前を伝えたらしい。その時にあやかしだってことも伝えたんだけど、何故か神になったって。
「じいちゃん、こっちは綺麗に乾いたよ」
「おお、晴翔ありがとう。修復しなくちゃいけない箇所はあったか?」
「これにはなかったよ。まだ向こうのはこれから確認するから、何かあったら伝えるね」
「晴翔君も悪いな。私がしっかり屋根を直さなかったばかりに。君がたまたま気づいてくれて良かった。あのままだったらもっと、被害が大きくなっていただろう。ありがとう」
「い、いえ、本当にたまたまだったので。それじゃあ俺は、次を確認してきますね」
何か言われたり、こっちが何か言って、突っ込まれるといけないから、すぐに工房を出て部屋に戻った。
『どうだ? 向こうの様子は』
「問題なさそうだよ。あの時のことも。最初の考えと変わっていないみたいだし」
カエンたちが黙々と、ぬいぐるみの修復をしている。だが、いつもの手伝いじゃない。今回はみんながやらかしたことだから、しっかりと責任を取らせている感じだ。
今日はお祭りから5日目。あの日、みんなが逃げてから何があったか。まず結論から言うと、宮司さんが勘違いしてくれたおかげで、みんなのやらかしはなかった事になった。
あの時、慌てていて俺は気づいていなかったんだけど。宮司さんのしまった! っと言う声で気づいたんだ。
実は壊したのは、壁だけじゃなかったんだよ。恵泉の力は、壁だけじゃ収まらず、収まらなかった力は上へと向かい、2階部分を突き抜け。その後屋根も突き抜け、全てに完璧に穴を空けていたっていう。
もう、どうしようかと思ったよ。まさか屋根までなんて思わないだろう? でも、宮司さんがこんなことを言い出して。
「すぐに直さずに、もう少し、お祭りが終わってからと思っていたから。まさかこんな事になるなんて。雷雨でやられたか!!」
ってね。そうしたら今度はじいちゃんが。
「だから早く直せと言ったじゃろう! これを見てみろ、お前が直さなかったせいで、ぬいぐるみたちが大変なことになってしまった!!」
と、宮司さんを怒り。どう言うことか聞いてみたら。ちょうど屋根の開いた部分だけど。もともと前から雨漏りをしていたらしい。かなり酷い雨漏りで、2階の床をふやかし、べこべこ状態にするほどで。
それだけ酷いんだから、早く直せと言っていたじいちゃん。だけど宮司さんは、お祭りのことで忙しくて。だからお祭りが終わったら、修理を頼むつもりだったんだって。
そうしたら、あの恵泉の怒りの豪雨だ。宮司さんはその豪雨が原因で、雨漏りをしていたところの屋根が壊れ、ついでに2階のベコベコにふやけた床も抜けたと思ったらしい。
そうして入ってきた雨と風で、ぬいぐるみが大変な状態になってしまって、壁もどの時に壊れたかってね。
その話しに、俺は申し訳なかったけど乗っかることに。俺はたまたま音が聞こえて、あの部屋へ行ったら、もうこんな状態になっていたって。こうして宮司さんの勘違いで、何とかその場を乗り切ることができたんだ。
それから全てのぬいぐるみを回収。無事だった人形は別の部屋へ運び、皆で床を拭いて。とりあえず片付けだけは終わらせた。もちろんぬいぐるみは、全てじいちゃんの工房に運ばれて、今修復しているところだよ。
そして今回の本当の原因だけど。焔護が酔いすぎて手元を誤り。恵泉のぬいぐるみを焦がしたことが原因だった。あの手の部分が黒かったぬいぐるみ、あれが焔護が焦がしたぬいぐるみだ。
それで自分のぬいぐるみをやられた恵泉がキレて。キレすぎて力が暴走。あの雷雨を呼んでしまったらしい。部屋の中にもな。
後からその話しを聞いて、もちろん怒ったよ。みんなで飲んで楽しむのは良いけど、下手したら火事になるところだったし。あのまま豪雨が続いたら? それでも大変なことになるかもしれなかったんだ。
ということで、これから1ヶ月、今回関わったあやかしたちは全員、ぬいぐるみの修復をし、それが終わったら引き続き俺の手伝いをするのと。それとお酒禁止令が言い渡された。
話を聞いた結城さんが、白火たちや他のあやかしたちに呼びかけてくれて。関わったあやかしたちがお酒を飲んでいないか監視。誰かがこっそり飲んでいたら、禁酒期間はさらに延長すると。
ただ、それでも守れなかったら。人やあやかし、動物たちに迷惑をかける存在として、最後は結城さんが消すって……。
それを聞いたみんな、今のところ全員約束を守って過ごしているよ。もちろんシロタマやカエンたちも飲んでいないぞ。
ちなみにあれから焔護と恵泉は、喧嘩はしていない。それどころか、力を合わせていろいろやっている。毎日必ず1回は喧嘩をしていたと言うからな。今回のこと、しっかり反省して、これからもみんなを守る存在であってほしい。
ここのところずっと、子供たちが新しいぬいぐるみを奉納しにきてくれていて。そして早くお家が直ると良いね、きっとすぐに直るから泣かないでねと、焔護と恵泉をとっても心配してくれているんだ。
その子たちのためにもさ。これからは何かを起こす方じゃなくて、守ってあげてほしい。
『晴翔、これはどこに置く?』
「ああ、それは……」
俺たちはそれからもずっと、ぬいぐるみをしっかりと修復したよ。そして……。
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あの事件から1ヶ月後……。あの時中止になった舞が、もう1度披露された。晴天で、みんなが見守る中、綺麗で素晴らしい舞を見る俺たち。ただ、神社の屋根の上では……。
「舞ってくれている方たちには申し訳ないけど、2人の方が神秘的で、さらに綺麗で素晴らしいな」
『本来はああして共に舞っていたのだ。最近はずっと酒を飲んでいたり、違うことをしていたが』
「そうなのか? はぁ、あんなに素晴らしい舞を舞えるのに勿体無い。まぁ、人では俺しかみえていなかもだけどさ」
『来年からはまたしっかり舞うと言っていたぞ』
「そうなのか?」
『今回のこと、みんなかなり反省したからな』
「本当かよ、来年も同じことするなよ?」
『ああ、だから来年からは皆、コップに1杯だけ飲む事にした。後はみんな舞や祭りを楽しむ』
「飲むのかよ! そこは禁酒だろう」
『祭りだぞ、飲まないでどうする!』
「はぁ。まぁ、お酒好きのみんなが、それでも考えた方か」
『大分キツイが頑張るぞ』
「飲んでも飲まれるなってな。本当これからは気をつけてくれよ」
『ああ』
話しを一旦やめ、また屋根に集中する。今屋根の上では今、焔護と恵泉が舞っているんだ。これがずっと見ていたいと思うくらい、本当に素晴らしい舞で。この前喧嘩をして、やらかしたあやかしとは思えないほどだ。
あんなに素晴らしい舞を、このところお酒やいろいろな事でやっていなかったなんて。でも来年からは、みんなでルールを決めて、ちゃんとするみたいだからな。とりあえずはみんなに任せるよ。
ちなみにこの焔護と恵泉の舞は、俺にしか見えていない。姿を消してやっているからな。バレたら大騒ぎだ。俺は特別に見えるようにしてもらっている。
みんなに、この素晴らしい舞を見せられないのは残念だけど。でもきっと、心を込めた2人の思いはしっかりとみんなに届き、みんなに平和が訪れるはずだ。
「舞が終わったら2人のと所へ行こう。お菓子を持ってきたんだ」
『いいな、お茶にしよう。酒じゃないぞ?』
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