猫又と俺の願いを縫う不思議な工房

ありぽん

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82話 ぬくぬく案内人と湯あそびぬいぐるみ2

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『何を見てるんだ?』

「ちょっとな。今のお前たちにちょうど良い物で、必要なの物だよ」

『いいもの? おかち?』

「お菓子はいつも食べてるだろう?」

『これは絵か?』

「写真に撮って、それをいろいろの載せてあるんだ」

『みんな何かに入ってるよ?』

「これは小さな子供や動物が入るようの、小さなプールだよ。小さいからビニールシートを敷けば、部屋の中でも入れるんだぞ」

『何? そんな物があるのか?』

「ああ。みんなじいちゃんたちがいない時、毎回水風呂に入るだろう? それで毎回俺が片付けて。これなら掃除も簡単だし、遊び終わったらお水も庭に撒いちゃえば良いし。ちょうど良いと思うんだよ。それにみんなは出た瞬間に毛を乾かすだろう? 動物みたいにあっちに逃げたこっちに逃げたって、そこまで部屋の心配しなくて良いからさ。」

『ぷーりゅ、しゅごい!!』

『よし、すぐに買うんだ!』

『お部屋で泳げるの!?』

『そんな凄い物があるんだな!!』

「そう、みんなは楽しめて、俺は楽ができる。素晴らしい物だろう? それに俺の部屋なら、じいちゃんたちを気にしないで遊ぶことができる」

『だから説明は良いから、早く買うんだ』

「買うつもりではいるよ。ただ、いろいろ種類があるからさ。ビニールシートを敷けば良いって言ったけど、それでもなるべく、床が濡れにくいプールがないか、今見てるところなんだよ。ついでに言えば、注文しても時期が時期だからな、すぐに届かない可能性もあるぞ」

『しゅぐとどかない!?』

『それは大変!?』

『みんな買ってるってことか!! 晴翔! 晴翔も早く買わないとだぞ! みんなと戦って手に入れるんだ!』

『そうだ、晴翔! 今すぐ戦うんだ!』

「……何と戦うんだよ。ネットで注文して、順番に届くだけだぞ?」

 はぁ、と溜め息をついて、俺はカタログに目を戻す。俺が見ているのはペット用品のカタログだ。前々から、毎回お風呂を綺麗にするのが面倒だなと思っていてさ。でもみんなが楽しんでいるから、やめろとも言えず。

 それなら、シロタマたち専用のプールでもあれば、俺は片付けで楽ができて、みんなは楽しめて一石二鳥だと考えていたんだ。

「子供用とペット用、どっちにするべきか。ペット用の方が、ペットの爪とか、はしゃぎ具合から、丈夫にできてる感じもするんだよなぁ。このままこのカタログから選ぶか?」

『晴翔、決まったか!! スマホは準備できているぞ!!』

『注文の最中に、喉が渇くといけないからな、ジュースも用意できてるぞ!!』

『ほら、氷菓丸、お菓子をどうぞって』

『ちゅうもんのとき、おなかしゅくかも。おかちどぞ!』

 ……凄いな。お前たち今までに、そんな気を使ってくれた事なかっただろう。俺はまた溜め息をついて、思わずシロタマたちを見ちゃったよ。ただのネット注文だぞ。

『ん? どうした晴翔。何か問題か!?』

『俺たちにできることなら、なんでもやるぞ!!』

『もんだい!? たいへん!!』

『もしかして、戦いに負けそうなの!?』

『『『『大変だ!?』』』』

 ……大変なのはお前たちだ。俺はシロタマ達を無視して、またペットプールを選び始める。

 が、また邪魔が入り、10分も見られなかった。今度の邪魔は、いつものメンバー。ピヨ太、ピヨ助、ピヨ吉とヒビキだったよ。

『晴翔! 大変!!』

『大変だし、凄い!!』

『だけど困ってる』

『困ってるけど、遊びに来て良いって言ってたぞ!!』

「……は?」

『だけどやっぱり困ってる』

『だからここに来るって!!』

『小鳥が話しを聞いて、僕たちも簡単に説明した』

『喜んでたぞ!!』

「……は?」

 全員に一気に話され、しかもよく分からない内容に、今度はピヨ太たちをじっと見る。

 すると、何? なんでそんな顔しているの? もしかして何か問題でもあった? 僕たち、何もまだ話してないけど。なんて、シロタマたちと同じような事を言ってきて。

 だから、問題はお前たちだ、と心の中で思いながら。もう少し分かるように話せとピヨ太たちに言い、話しを聞いたあと俺は思わずこう言っていた。

「お前たちは俺んちの営業部か!!」

 と。またピヨ太たちが、ぬいぐるみのことで、依頼を持ってきたんだよ。ハリ君の時に、あれだけ勝手に話しを進めるなって言っておいたのに。

 ただ、いつもと違うことも起きた。早くペットプールを選んで欲しいシロタマたちが、文句を言ったんだ。

『何で話しを持ってきた。今は大事な時間なのだぞ!』

『そうだ。ぬいぐるみはその後だ』

『大切な物選んでるんだよ!』

『たいしぇちゅ!!』

 シロタマたちの大切な物、事、第1位宴会、2位楽しいこと、3位ぬいぐるみ、だからな。楽しいことの方が優先されたようだ。というか、本当にプールが欲しいんだろう。いつもだったら、一応は依頼内容を聞くからな。

『何々? 何選んでるの?』

『大切な物?』

『気になる』

『俺たちにも楽しいものか?』

 みんながワラワラ俺の周りに集まる。はぁ、それどころじゃないだろう。もしかしたら依頼者が来るかもしれないんだから。俺はカタログを閉じて、本棚にしまったよ。みんなからブーイングが上がった……。俺がブーイングしたいところなんだが?
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