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88話 ぬいぐるみに潜む影2
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先日、結城さんの『居酒屋あやかし』に、ご飯を食べに行っていた俺たち。そこに結城さんの実家から、ある物が大量に送られてきた。その数ダンボール3箱分。
そして、そのダンボールの中身が何か、すぐに当てたシロタマたち。というか、人様の家に送られてきた荷物を調べるなよと思ったが。送られてきた物は、10種類以上、計150個以上のアイスだった。
結城さんのお兄さんが、この前の根応たちの、畑の手伝いをしに来てくれた時。『居酒屋あやかし』に、たくさんのあやかしが来ていることを知って。居酒屋へ来てくれるあやかし達に配れば良いって、送ってくれたらしい。
ちなみに結城さんの家には、居酒屋をやっていることもあって。しかも白火がかなり食べるらしく。外の小屋に、屋外対応型の冷蔵庫をいくつか用意してあるため。たくさんのアイスを送られてきても、問題はないらしい。
なんだったら2週間後に、またアイスを送ってくれると電話があったようだ。しかも今回送った種類のアイスではなく、新しい種類のアイスを送ってくれるって。
それを聞いて、盛り上がったのがシロタマたちだ。その場で全員アイスを1個ずつもらったのに、外があまりにも暑いため、2個目のアイスをチラチラ結城さんを見て要求。俺はもちろんみんなを怒ったよ。
ただ結城さんは、そんなシロタマたちの様子を見て。そして段ボールに入れられていた手紙を見て。まさかの提案をしてきたんだ。
「よし、せっかくだから、アイス争奪戦でもするか!」
って。まさかの提案に驚いたよ。
ルールは簡単。ピョコとクルリが住んでいる山を1周して、最初に『居酒屋あやかし』に到着したあやかしが優勝。1人で挑んでいもいいし、仲間と力を合わせてもいい。仲間と力を合わせる場合は、アイスは山分け。
それから、それぞれ力の差があるすぎるから、争奪戦は力の強さによって2回に分けて、さらにそれぞれにハンデをつける。ハンデは、あやかしのことをよく知っている、結城さんが決めて、もしも文句がある場合は、争奪戦に参加させない。
優勝賞品はアイス30個。一気に渡すともちろん溶けちゃうから、結城さんのところで保管しておいて。食べたい時に来てくれれば、いつでも出してやるって。
参加者は、いつも『居酒屋あやかし』に来てくれるあやかしに限定。結城さんはどんなあやかしが来たか、きちんとチェックしているらしく。また本人も、その全員を覚えているから、不正はできないと。
それを聞きた途端、まぁ、シロタマたちは盛り上がったよ。盛り上がった? いや大騒ぎだった。喜びすぎて……。
そんなシロタマたちと違い、俺は心配になって、すぐに結城さんに聞いたよ。せっかくお兄さんが送ってくれたアイス。2週間後にまた送ってくれるらしいけど、それにしたって30個もみんなにくれるなんて。
2回争奪戦をするんだ、合計60個のアイスを、結城さんはみんなにあげることになるんだからな。
そうしたら結城さんが、例え争奪戦をしても。そして居酒屋で、お客さんとして来てくれたあやかし達に配ったとしても。それでも余裕があるから、大丈夫って言ったんだ。
何かと思ったら、ダンボールに入れられていた手紙に。電話で言い忘れたけど、アイスはこれから涼しくなるまで、2週間ごとに送る、と書かれてあったらしく。だから60個、プレゼントしようが、他に配ろうが問題ないって。
2週間ごとにアイスを送るって……。 お兄さんって一体……。
というわけで、『アイス争奪大会』の開催が決定! 大会は2週間後に迫っていて、今みんなはアイスを手に入れるために、トレーニングの真っ最中なんだ。
ただ、そのトレーニングがちょっと問題で。一応、みんなはいつも通り修復の手伝いもしてくれるんだけど。どうにかしてその手伝いすら、トレーニングできないかって考えちゃって。
腹筋しながら糸をほどいたり、ワタを抜いたり。荷物を運ぶときも、他の物と一緒に持って力をつけようとしたり、バランス感覚を養おうとしたりと。とにかく余計なことばっかりするんだよ。
さっきもシロタマは、運んでほしい物じゃなくて、トレーニングのつもりで別の物を運ぼうとして。肝心の荷物を運ぶのを忘れかけてたんだ。
はぁ、これでもしも負けでもしたら……。できる限り、アイスを買っておいてあげないとダメかな。みんなかなりショックを受けるだろうし。
そしてなるべく早く、『アイス争奪大会』が終わって欲しい。じゃないとゆっくりじっくり、修復することができないからな。
俺はそんなことを思いながら、修復の続きをしようと窓から離れようとした。と、その時。ちょうど宅配便が届くのが見えて、そのすぐ後に神谷さんが俺を呼んできた。
「晴翔! 新しい依頼だ!!」
「分かりました!!」
今までは、ところどころ手伝うだけだったし。最初と最後も、見たり見なかったりだったけど。俺もいろいろと修復をしたり、新しいぬいぐるみを作ったりしているからと。
最近じいちゃんと神谷さんは、新しく届いたぬいぐるみの最初の状態を、しっかり見せてくれて。それから、修復の流れやポイントも教えてくれて。出来上がりも見せてくれるようになったんだ。
急いで工房に行く俺。工房に入ると神谷さんが依頼者に、電話をかける準備をしていた。
そして、そのダンボールの中身が何か、すぐに当てたシロタマたち。というか、人様の家に送られてきた荷物を調べるなよと思ったが。送られてきた物は、10種類以上、計150個以上のアイスだった。
結城さんのお兄さんが、この前の根応たちの、畑の手伝いをしに来てくれた時。『居酒屋あやかし』に、たくさんのあやかしが来ていることを知って。居酒屋へ来てくれるあやかし達に配れば良いって、送ってくれたらしい。
ちなみに結城さんの家には、居酒屋をやっていることもあって。しかも白火がかなり食べるらしく。外の小屋に、屋外対応型の冷蔵庫をいくつか用意してあるため。たくさんのアイスを送られてきても、問題はないらしい。
なんだったら2週間後に、またアイスを送ってくれると電話があったようだ。しかも今回送った種類のアイスではなく、新しい種類のアイスを送ってくれるって。
それを聞いて、盛り上がったのがシロタマたちだ。その場で全員アイスを1個ずつもらったのに、外があまりにも暑いため、2個目のアイスをチラチラ結城さんを見て要求。俺はもちろんみんなを怒ったよ。
ただ結城さんは、そんなシロタマたちの様子を見て。そして段ボールに入れられていた手紙を見て。まさかの提案をしてきたんだ。
「よし、せっかくだから、アイス争奪戦でもするか!」
って。まさかの提案に驚いたよ。
ルールは簡単。ピョコとクルリが住んでいる山を1周して、最初に『居酒屋あやかし』に到着したあやかしが優勝。1人で挑んでいもいいし、仲間と力を合わせてもいい。仲間と力を合わせる場合は、アイスは山分け。
それから、それぞれ力の差があるすぎるから、争奪戦は力の強さによって2回に分けて、さらにそれぞれにハンデをつける。ハンデは、あやかしのことをよく知っている、結城さんが決めて、もしも文句がある場合は、争奪戦に参加させない。
優勝賞品はアイス30個。一気に渡すともちろん溶けちゃうから、結城さんのところで保管しておいて。食べたい時に来てくれれば、いつでも出してやるって。
参加者は、いつも『居酒屋あやかし』に来てくれるあやかしに限定。結城さんはどんなあやかしが来たか、きちんとチェックしているらしく。また本人も、その全員を覚えているから、不正はできないと。
それを聞きた途端、まぁ、シロタマたちは盛り上がったよ。盛り上がった? いや大騒ぎだった。喜びすぎて……。
そんなシロタマたちと違い、俺は心配になって、すぐに結城さんに聞いたよ。せっかくお兄さんが送ってくれたアイス。2週間後にまた送ってくれるらしいけど、それにしたって30個もみんなにくれるなんて。
2回争奪戦をするんだ、合計60個のアイスを、結城さんはみんなにあげることになるんだからな。
そうしたら結城さんが、例え争奪戦をしても。そして居酒屋で、お客さんとして来てくれたあやかし達に配ったとしても。それでも余裕があるから、大丈夫って言ったんだ。
何かと思ったら、ダンボールに入れられていた手紙に。電話で言い忘れたけど、アイスはこれから涼しくなるまで、2週間ごとに送る、と書かれてあったらしく。だから60個、プレゼントしようが、他に配ろうが問題ないって。
2週間ごとにアイスを送るって……。 お兄さんって一体……。
というわけで、『アイス争奪大会』の開催が決定! 大会は2週間後に迫っていて、今みんなはアイスを手に入れるために、トレーニングの真っ最中なんだ。
ただ、そのトレーニングがちょっと問題で。一応、みんなはいつも通り修復の手伝いもしてくれるんだけど。どうにかしてその手伝いすら、トレーニングできないかって考えちゃって。
腹筋しながら糸をほどいたり、ワタを抜いたり。荷物を運ぶときも、他の物と一緒に持って力をつけようとしたり、バランス感覚を養おうとしたりと。とにかく余計なことばっかりするんだよ。
さっきもシロタマは、運んでほしい物じゃなくて、トレーニングのつもりで別の物を運ぼうとして。肝心の荷物を運ぶのを忘れかけてたんだ。
はぁ、これでもしも負けでもしたら……。できる限り、アイスを買っておいてあげないとダメかな。みんなかなりショックを受けるだろうし。
そしてなるべく早く、『アイス争奪大会』が終わって欲しい。じゃないとゆっくりじっくり、修復することができないからな。
俺はそんなことを思いながら、修復の続きをしようと窓から離れようとした。と、その時。ちょうど宅配便が届くのが見えて、そのすぐ後に神谷さんが俺を呼んできた。
「晴翔! 新しい依頼だ!!」
「分かりました!!」
今までは、ところどころ手伝うだけだったし。最初と最後も、見たり見なかったりだったけど。俺もいろいろと修復をしたり、新しいぬいぐるみを作ったりしているからと。
最近じいちゃんと神谷さんは、新しく届いたぬいぐるみの最初の状態を、しっかり見せてくれて。それから、修復の流れやポイントも教えてくれて。出来上がりも見せてくれるようになったんだ。
急いで工房に行く俺。工房に入ると神谷さんが依頼者に、電話をかける準備をしていた。
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