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187.ついに始まった戦い

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 スノーラが元の位置に戻ってすぐでした。またあの大きな音と揺れが襲って。そしてスノーラがひと言。

『破られたか』

 そう言いました。でもすぐにはお屋敷には来ないって。お屋敷にも外の壁と同じくらい強い結界を張ってるからね。簡単にディアブナス達はお屋敷の中へ入ってこれません。でもその間に街が襲われちゃったら。僕が心配していたら、ドラちゃんがこっちにドラゴンお父さんが来てくれてるって。

 さっきの攻撃とほぼ同時に、スノーラが言ってた街の方の結界も1ヶ所だけ破られちゃったみたいなんだけど。すぐにドラゴンお父さんが対処して、中に入って来ようとした魔獣達と、黒ローブ達を倒しました。そしてドラゴンお父さんは結界を簡単にささっと直して、今こっちに来てくれてるって。

『本当はこれ以上、レン達から離れたくはないが。エンがこちらに来たのなら、我も一緒に戦った方が良いか。流石のエンも1人ではあれは無理だ。それに奴と一緒に倒せないようであれば…』

「待て。お前はやはり動かない方が良い。ならば俺が…」

 話していたユイゴさんが黙ります。それから窓の外を見つめて。

「エンシェントドラゴンを無視か」

『はぁ、そのようだな。しかも力をさらに強めたか。ローレンス、もう少しここへ来るのを遅らせることができると思ったが、どうも考えが甘かったようだ。あと少しでここに奴はやって来るだろう、気をつけろ!』

「分かった!」

 ええ!? スノーラ達の結界、そんなに早く破られちゃうの? だってお外の壁の結界と同じくらいなんでしょう? さっきは結構時間かかったのに。と思ってたら、またあの大きな爆発と揺れが。
 さっきよりも大きな音で、揺れもさっきよりも激しんだ。スノーラは力を強めたって言ってたよね。本当に強くなっちゃったの? それからドラゴンお父さんを無視してるって何?

 僕ちょっと慌てちゃいました。思わず結界の中をウロウロ歩きそうになっちゃって。そなん僕をエイデンお兄ちゃんが抱きしめてくれたよ。

「レン、落ち着いて。みんな一緒だから大丈夫だよ。それにスノーラ達が居るんだから、怖い事はないからね」

 そう言いながら僕の頭を撫でてくれて。それで落ち着いた僕は、お兄ちゃんにギュッと抱きついたあと、スノーラの方を見て、静かに心の中で応援。戦いが始まって煩くなったら、聞こえるように声を出して応援するけど、でも今スノーラ達は…。
 じっと窓の外を見つめて、静かにその時を待っている感じで。応援でも、今は静かにしてた方が良いって思ったんだ。

 頑張れスノーラ! 負けるなスノーラ! 強いぞスノーラ! ルリ達も何となく、今は静かにしてないといけないと思ったのかな? 手や足だけ動かして応援してます。そして…。

『ふぅ』

 スノーラが大きく深呼吸しました。

『来るぞ!!』

 スノーラのその言葉と共に、今までで1番の爆発音と、お屋敷が激しく揺れて。そうしたらドラゴンお父さんの声が聞こえたんだ。『やるぞ!!』って。スノーラ達が結界を少しだけ開いて、窓から外へ出ていきます。それからすぐに別のハイエルフさんが窓に所に行って。

 その後すぐでした。外からバシッ!!とか、バシュッ!!、ガガガガガッ!! さっきまでの爆発音じゃなくて別の音が聞こえて、アーティストさんが戦いが始まったって教えてくれました。それを聞いた僕達は、今度こそ声を出して、スノーラが達の応援を始めます。

「しゅのー! がんばりぇ!!」

『やっつけちゃえ、スノーラ!!』

『スノーラ、噛み付く攻撃なの!!』

『お父さん、頑張れ!!』

 頑張れ! 頑張れスノーラ!! 外で戦ってるから僕達の声は聞こえないかもしれないけど、僕達応援してるからね!!

「…こちらにも攻撃がきそうです! 気をつけて!!」

 応援を始めて少しして、アーティストさんがローレンスさん達にそう言いました。そしてそれからすぐに、バシューッ!! 窓の所にあの黒い物の攻撃が。結界で窓の少し前で止まったけど、でも反動は来てたみたいで。窓ガラスがパリッ! ピシッ!て音がした後、パリーンッ!!て、綺麗に全部割れちゃいました。

 黒い物の攻撃は、その後何回も攻撃してきて、でもスノーラ達の結界が全部その攻撃から守ってくれたよ。少しして黒い物の攻撃は無くなって、ローレンスさん達が窓と壁を確認。壁も少し反動でヒビが入っちゃったけど、でも大丈夫だって。

 と、ちょっと安心した瞬間、次の攻撃が。僕は今までに見たことがない攻撃で、攻撃自体は黒い物の攻撃に似てるんだけど。黒い物は尖ったものにも形を変える事ができて、それで刺そうとしたりしたでしょう? それに形は似ていて、でも結界に刺さろうとする度に爆発するんだよ。壁一面に爆発の音が。

 エイデンお兄ちゃんが、僕達とドラちゃんに覆いかぶさって動かないでって。お兄ちゃんの体の横から、ちょっとだけ向こうが見えたんだけど、ローレンスさん達は窓や壁から離れて、剣をかまえていました。爆発の度に壁が震えて、ポロポロ上から粉が降ってきます。

『あいつ、本当にしつこいな』

 僕の胸の辺りにいたブローがそう言いました。

『もう復活したんだから、僕達なんて放っておけば良いのに。あいつみたいに僕もあいつの力が吸い取れたらなぁ。そうしたらお返しにどんどん吸い取って、ささっさと弱らせて、スノーラ達に倒してもらうのにさ』

「しゅいとりゅの、あいちゅだけ?」

『あいつの能力なんだろうね。元は同じ闇の力なんだからさ、僕が使えたって良いじゃん』

 ブツブツ言うブロー。そっか、誰かが力を吸い取れたら良いのにね。それかスノーラとかドラゴンお父さんが噛み付いて、そこから力が抜けていくとかさ。そんな事を考えながら、僕は攻撃が止まるのを待ちました。
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