ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!

ありぽん

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80話 追放した人達は今(8)

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「よし、ちょうど良い相手がいたな」

 その時々現れる雑魚魔獣倒しながら、ダンジョン奥へ進んで行った俺達は、最奥に着く前に、ある魔獣達と出くわした。

 イービルモンキーだ。簡単に言えば邪悪な猿って感じで、大きさはかなり大きく、俺のビックファイヤーモンキーとそんなに変わらない。

 性格も同じようなもで、まぁ若干、ビックファイヤーモンキーの方が大人しいか? いや、やはり同じだろう。俺の所にいるあいつが、たまたま俺に興味を持っやおかげで、俺は戦わずして、奴と契約できただけだからな。

 力はそうだな。イービルモンキーの方が少々弱い。ビックファイヤーモンキーならば、一撃でとはいかないが、負けるような相手ではない。

 だが今回は少々話しが違う。今俺達の前に現れたイービルモンキーは、普通よりも体が少々大きく。こちらをニヤニヤ笑いながら、圧をかけてきているが、その圧もいつものイービルモンキーよりも強い。

 時々変異種と言う魔獣が現れる事がある。変異種とは、どんな理由でそうなるかは、今も分かっていないが、突然普通の魔獣に変化が起こり。
 どんなに弱い負けるはずのない魔獣であっても、その変化が起こって変異種になれば、攻撃力が格段に上がり、命に関わる傷を負わされる可能性があるという、厄介な魔獣の事だ。

 あの弱い、初心者でも簡単に倒せるツノうさぎでさえ、見えないほどの動きを見せ、死人が出たからな。

 今回出会ったイービルモンキーは変異種ではないが、それでも普段のイービルモンキーよりも強く、もしかしたら、ビックファイヤーモンキーと互角の可能性も。
 このイービルモンキーをそんなに時間をかけずに、俺の魔獣が倒せたならば、あいつの癒しが効いているのかもしれない。

「おい、お前が行け。他は何もせずに見ているんだぞ。もしも邪魔をしてみろ。お前達を当分部屋に閉じ込め、外へ一切出さないからな。飯も肉なしにするぞ」

 調べるためにも戦わせたいからな、あまり閉じ込めたくはないが。俺が命令する前に動くならばそうしなければ。それに戦い好きな奴らにはこう言っておいた方が、言う事をよく聞く。

『ギギギ!』

『ピピッピ!!』

『グアァァァッ!!』

 お前ならすぐだろう!! 一瞬でやっつける!! そう言ったキックバードとメッセージバードに対し、もちろんだと答えるビックファイヤーモンキー。
 そしてすぐにキックバード達は後ろへ下がり、ビックファイヤーモンキーは、ニヤニヤしているイービルモンキーの前へ行き、大きな声で相手を威嚇した。

『グアァァァァァァァッ!!』

 その威嚇に一瞬こちらを睨んだイービルモンキーだったが、すぐにニヤニヤ顔に戻ると、ほぼ同じタイミングで戦闘態勢に。

 イービルモンキーは、自分が他よりも自分が強いという事を、しっかりと分かっていて。俺達にも勝てると余裕でニヤついているんだろう。

『グアァァァァァァッ!!』

『グギャアァァァァァァッ!!』

 お互い同時に叫んだビックファイヤーモンキーとイービルモンキー。次の瞬間イービルモンキーが壁の方へ飛ばされ、そのままぶつかると壁に食い込み、その後は地面へとたおれこんだ。

『グ、グギャア……』

 声が聞こえたと言う事は、一撃では倒せなかったようだ。しかし、やはりだ。いつもビックファイヤーモンキーが攻撃をすると、奴から魔力が溢れるのを感じるのだが。その溢れる魔力が、今イービルモンキーを攻撃した時は、いつもの倍以上に感じたのだ。

 やはり力が上がっている。前回と同じ事が起きている。

「おい、まだそいつは生きているぞ。魔法でトドメを刺せ」

『グアァァァァァァッ!!』

 火魔法を放つビックファイヤーモンキー。魔法も同じだ。まぁ、こちらに関してはただの力をぶつける物理攻撃ほどではないが、それでもいつもよりも強い魔法が放たれた。

 が、その火魔法が当たる前に、イービルモンキーが立ち上がり、魔法をよけ俺達から少し距離をとった。あれで動けるとは。あちらも俺が思っていたよりも強かったようだ。

『グギャアァァァァァァッ!!』

 先ほどのニヤリ顔はもうどこにもなく、歪んだ顔のイービルモンキーの叫び声が、洞窟の中に響く。その直後、し~んと静まり返る洞窟の中。
 しかし数秒後、他のイービルモンキー達の声が、洞窟の奥から微かに聞こえてきたと思ったら、そこ声はどんどん大きくなり。また数秒後、俺たちの前に8体のイービルモンキー達が現れた。先ほどの鳴き声は、仲間を呼んだものだったらしい。

『グギャギャギャギャ』

 大きなイービルモンキーが、再びニヤニヤしたあと声を出して笑い出し、それに他のイービルモンキー達も続く。

「今のこいつの攻撃を喰らっても、これだけの数で俺達に勝てるとでも思っているのか?」

 もしかしたら今のビックファイヤーモンキーなら、1匹だけでもこのイービルモンキー達を倒せるかもしれない。だが、これだけいるのだからついでだ。ここでキックバードの力も確かめてしまおう。

「おい、お前も加われ」

 キックバードに命じると、キックバードはメッセージバードに離れて見ているように言い。メッセージバードが岩の後ろに隠れながら、こちらを見るのを確かめてから、ビックファイヤーモンキーの隣へ移動した。

『グアァァァ』

『ギギギギギ』

 どのイービルモンキーを倒すか話し合う2匹。だがその途中で強いイービルモンキーが叫び、全てのイービルモンキーが襲ってきた。

 結局自分の方へきた奴を倒すことにしたのか、機嫌良く戦い始めた2匹。後ろではメッセージバードが応援をしている。

『グアァァァァァァッ!!』

『ギギギギギィィィッ!!』

 全てのイービルモンキーを完全に倒すのに、10分もかからなかった。
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