ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!

ありぽん

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88話 視聴者さん参加型配信2

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「お待たせしました! 今日のゲームをする場所へ到着しました」

“結構歩いたね”
“何でこの場所を選んだんですか?”
“いろいろな物がまとまってあるからだろう?”
“この前の練習の時よりも、ちょっと範囲が広いね”
“ちょうど良いんじゃない?”

「何でこの場所を選んだか、についてお答えしますね。まず1つ目に、今皆さんがコメントで言われた通り、ここは他の場所に比べて、素材の種類が多いため、どんなカードを引いても良いように、この場所を選びました。そして2つ目。なるべく入り口から離れた場所を選んだんですよ」

 歩く事約40分くらい。ダンジョンには1日で地形が変わってしまうダンジョンと、ずっと変化せずに、そのままの地形を保っているものと、いろいろあるんだけど。今回はダンジョン調査が行われてから、1度も変化していないダンジョンに来ている。

 そして2つ目の理由だけど。他の人たちに迷惑がかからないようにと、ラビ達も視聴者さんも、みんなが集中できるように、って事でここを選んだ。もちろん俺と晴翔もな。

 ここはF級ダンジョン。集まってくるのはプレイヤーになりたてで、協会の講習を受けている新人プレイヤーや。講習が終わっても、ここで訓練をしている人達。それからちょっとした薬草や素材をとりに来ている人達で。

 講習は入り口付近で行われることが多く、訓練をしている新人プレイヤー達も、やはりプレイヤーに成り立てで不安なのか、あまり奥に入ってこないんだ。
 また、薬草や素材も、その辺に生えていたり、落ちている物が多いからな。別に奥まで来る必要がなく、ダンジョンの中間くらいまでで用事を終わらせて帰ってします。

 それから、まだプレイヤーになる前の人達が、時々見学の来るんだけど。ダンジョンはどういう場所なのか知るためにね。そういう人達も、ダンジョン奥に来る事はなく、入り口付近を見学する。もちろんそういう人達には、A級冒険者が同行しているぞ。
 
 まぁ、誰も奥まで来ない、とは言わないけれど。来たとしても、そんな大人数なことはないからな。

 他の方の迷惑になるような場所で、ーゲームをやるのはダメだろう? なにしろもしかしたら、またブーちゃんが新技を繰り出して、また何かやらかすかもしれないし。ラビ達が何かするかもしれない。
 そうなると、そんな事が起きた場合、俺と晴翔はいつも通り、その対応でバタバタしてしまい、さらに他の方々に迷惑をかけることに。

 また問題は俺達だけじゃない。そんなバタバタ配信になってしまっては、視聴者さん達のゲームの内容が、さらに難しいものになって、完璧にプレゼントが貰えなくなる可能性も。

 だからなるべく他の方に迷惑がかからない、みんながゆっくりゲームをする事ができる場所、という事で、ダンジョン奥のこの場所を選んだ。

“なるほどな”
“みんなに迷惑にならない場所ってのはそうだよな”
“俺達が勝手にゲームしてるだけだしな”
“そして俺達もしっかりゲームができると”
“うん、良い場所だ!”

「と、いう事で。少し早くダンジョンに入れたため、予定していた時間よりも30分程早いですが、早速ゲームを始めようと思いますが、どうでしょうか?」

“ゲーム!!”
“やりましょう!!”
“準備はOKです!!”
“みんな頑張るぞ!!”
“ウオォォォォォォッ!! やるぞぉぉぉ!!”

「それでは始めましょう!! まずはカードを選びます。先に家でカードを選ぶ順番は決めてきました。最初はププちゃんに選んでもらいます」

 ププちゃんの前に裏返しにしたカードを並べる。その中から真ん中を選んだププちゃん。カードを返せば、白い鈴蘭のような花の絵が描いてあった。この花を使い薬を作ると、ちょっとした頭痛に効く薬が出来る。

「第1ゲームはこちらの花です。それではゲームを始めますよ。みなさんは全体を見て、そしてラビ達の様子を見て、バッチリ予想してくださいね」

 気合いを入れて、パンチや蹴りをするラビ達。

「用意……スタート!!」

 俺の合図と共に、ラビ達がそれぞれ散らばって、花を採取し始める。それと同時にコメント欄にはコメントが溢れて。

“ラビたんの方、確認お願いします!!”
“クーちゃん飛びました!!”
“ププちゃんは……、なんか転がっています!!”
“ブーちゃん担当の方、どうですか!?”
“まだ動きはありません!!”

 うん、みんな本気だ。まさか誰が誰担当って、担当が決まっているとは。いつの間にそんなのを決めたのか。かなりの視聴者さんが集まってくれているのに、全員に誰が誰を担当、なんて決められないと思うんだが。

「なんか、みんなの本気が凄いな……」

「あ、ああ、そうだな」

 晴翔が小さな声で俺に話しかけてきた。

「このコメントのどれかが、おじさんのコメントか」

「いや、たぶんまだだ。叔父さんも本気だからな。たぶんここぞって時に、みんなに伝えてくるはずだ。ラビ達が動く時を待ってるはず」

「あ~、これは一応ただのゲームなんだよな? みんなが楽しむための」

「……そういやそうか。あれ?」

「うん、まぁ、俺達は見守ろう」

「そうだな」

 みんなの迫力に、ゲームだって事を忘れていたよ。

 そして俺と晴翔を置いてきぼりに、進んでいたゲームは30分後、最初のゲームを無事に終了した。無事に? 無事なのか無事じゃないのか。1ゲーム目、まさかのブーちゃん動かず、だった。

「みなさんお疲れ様でした。最初のゲームはいかがでしたか?」

“ああー!!”
“途中までは良い具合に、予想できてたと思ってたんだけど”
“まさかブーちゃん、動かないなんて!!”
“1発目は、どんどん技を出してくると思ったのに!!”
“これはまずいぞ”

「俺もブーちゃんが動かないとは思いませんでした。かなりのやる気だったので、そうですね、皆さんが思っていたように、何度も技を仕掛けてくるかと思っていました」

 ブーちゃんを見る俺。してやったりのニヤリ顔のブーちゃん。

“なんかブーちゃん、ニヤついてる?”
“やってやったぜ的な?”
“くそ!! 絶対そうだよ!!”
“ああ~、やられたぁ~!!”

「それでは今から数えるので、少々お待ちくださいね」

 すぐに晴翔と花を数え始める。そしてその結果は……。

「こちら、10で揃えた物です。そうしてこれを全て合わせると……、答えはCでした!! 第1ゲームは、ラビ達の勝利です!!」

“やっぱり~!!”
“残念!!”
“ブーちゃんにやられた!!”
“くそうっ!!”
“ブーちゃんが動いてくれてれば!!”
“みんな! 次だ次!!”
“そうだ! 切り替えていくぞ!!”
“ウオォォォォォォッ!! 次こそは!!”

 第1試合は、ラビ達の勝利だった。
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