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第1章 転生編
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帰り道の電車のホーム。
いつもなら絶対にしないことだが、今日ばかりはやりきれなくてチューハイを飲みながらホームをフラフラ歩いていた。
あ……っ
缶が手から滑り落ちた瞬間、何とかキャッチしようとしたが、自分の体勢まで崩して電車のけたたましいブレーキ音を聞きながら、そう、眩い光に吸い込まれるようにゆっくりホームに落ちていった。
(……あ、これ、死んじゃった?)
騒然とするホーム。
女性の悲鳴や誰かしらの嗚咽する声。
そして何人か駅員さんが駆け寄って来て、ぐちゃぐちゃの肉片になった私を一生懸命かき集め始めてくれた。
これは申し訳ないことをしてしまった。まさか酔っ払ってあろうことかホームに落ちて、駅員さんと、これだけの利用者に迷惑をかけてしまうなんて。阿鼻叫喚とする現場に、地獄絵図をつくってしまった張本人として心の中でひたすら陳謝した。
でも、死って思ったよりあっけない。
驚く程、後悔もない。
もしかして私は幽霊ってやつになったようで、皆には見えていないようだった。ふわふわ空中に浮いて、自分だったモノのが始末されるところを終始見守っていた。
私だったモノはそのまま都内で火葬されると、骨は生まれた田舎へ送られた。そこまでは良かったのだが、電車を止めてしまったために鉄道会社から親へ請求が来てしまった。
疎遠だったとは言え、最後の最後にこんな親不孝をしてしまうとは。
私の死に皆どんな反応をするか、怖かったけど会社の方も覗いてみた。
ホームで転落死、と課長から皆へ伝えられ、一瞬のどよめきが起き、黙祷を捧げられていた。
だけどそれ以降は、まぁ当たり前だけど通常運転。いつも通り係長はしょうもない冗談を言うし、後輩はアフターファイブのことしか考えてないし、同期のアイツは増えた仕事に私へ恨み節を言う始末。
皆、私が死んでもうこの世にいないというより、どこか遠くへ転勤したとでもいう位軽く思っているようだった。
そこに誰も私の死に涙を流す人間はいなかったし、悔やんでいる人はいなかった。
それだけ私は、自分の人生で他人と関わらず、一人閉鎖的な人生を歩んできたということだ。残酷にも、それを思い知らされた瞬間だった。
……もとはと言えば、あの日、私はここであんなに蔑ろにされなければ、ストロングのロング缶を飲んでホームなんか歩いていなかったのに。
ふつふつと湧いて出てきた不満をどこにも消化できず、いけないと思いながらもその夜、後輩の一人暮らしの部屋へもぐりこんだ。
「はぁー、係長のセクハラうっざ」
そう一人愚痴を言いながら、キャミソールにお尻が見えそうなショートパンツといった露出の多い恰好で、座椅子にもたれかかって缶ビールを開ける後輩。つんつんとその体に触れてみるけど、触れずに通過するだけ。
人体には影響与えられないのね。電化製品はどうだろう?
そう思って、照明に「んっ」と念を送り込んでみる。すると部屋中にラップ音がし始め、照明がついたり消えたりするように。
(おぉ、できた!)
感動する私とは裏腹に、身を縮こませて怖がる後輩。
「……も、もしかして、臼井さんの霊!?」
(そうそう!)
久しぶりに家族以外の誰かが、私を思い返してくれたことが嬉しくて、つい気持ちが高揚すると、さらに激しく照明がついたり消えたりするようになった。
「ひぃいいいいいいいっ。なんでもいうこと聞きますからぁ!」
そう泣き叫ぶ彼女に、少し考えたあと、彼女のパソコンへこう打ち込んだ。
パチ、パチ、
『 家族へ賠償金の援助を申し入れてください。無理のない範囲で構いません。 臼井 』
一瞬なんて打とうか迷ったが、あまり彼女を怖がらせては可哀想だと、一文だけ画面に残しその場を去った。
同じように、係長と同期のもとへ行き同じようにメッセージを残してきた。
しかし、その問題の賠償金だったが、家族は相続放棄の手続きをしたようで事なきを得ていた。
私が先走ってしまったせいで、会社の面々は家族へ賠償金を支払おうとやっけになり、家族から必要ないと断られても半ば強引に送金していた。
3人とも私の霊がそれほど怖かったたのか、それ程、罪悪感を感じてくれたのか。
これで私もやっと成仏……
……されない。こういう時って可愛い天使がお迎えに来てくれたり、すっとこの世から消えていったりするものじゃないの。まさか私ずっとここに取り残されちゃうわけ?
嘘でしょー、勘弁してよー。
それともまだ、この世に未練があったりするっていうの?
いつもなら絶対にしないことだが、今日ばかりはやりきれなくてチューハイを飲みながらホームをフラフラ歩いていた。
あ……っ
缶が手から滑り落ちた瞬間、何とかキャッチしようとしたが、自分の体勢まで崩して電車のけたたましいブレーキ音を聞きながら、そう、眩い光に吸い込まれるようにゆっくりホームに落ちていった。
(……あ、これ、死んじゃった?)
騒然とするホーム。
女性の悲鳴や誰かしらの嗚咽する声。
そして何人か駅員さんが駆け寄って来て、ぐちゃぐちゃの肉片になった私を一生懸命かき集め始めてくれた。
これは申し訳ないことをしてしまった。まさか酔っ払ってあろうことかホームに落ちて、駅員さんと、これだけの利用者に迷惑をかけてしまうなんて。阿鼻叫喚とする現場に、地獄絵図をつくってしまった張本人として心の中でひたすら陳謝した。
でも、死って思ったよりあっけない。
驚く程、後悔もない。
もしかして私は幽霊ってやつになったようで、皆には見えていないようだった。ふわふわ空中に浮いて、自分だったモノのが始末されるところを終始見守っていた。
私だったモノはそのまま都内で火葬されると、骨は生まれた田舎へ送られた。そこまでは良かったのだが、電車を止めてしまったために鉄道会社から親へ請求が来てしまった。
疎遠だったとは言え、最後の最後にこんな親不孝をしてしまうとは。
私の死に皆どんな反応をするか、怖かったけど会社の方も覗いてみた。
ホームで転落死、と課長から皆へ伝えられ、一瞬のどよめきが起き、黙祷を捧げられていた。
だけどそれ以降は、まぁ当たり前だけど通常運転。いつも通り係長はしょうもない冗談を言うし、後輩はアフターファイブのことしか考えてないし、同期のアイツは増えた仕事に私へ恨み節を言う始末。
皆、私が死んでもうこの世にいないというより、どこか遠くへ転勤したとでもいう位軽く思っているようだった。
そこに誰も私の死に涙を流す人間はいなかったし、悔やんでいる人はいなかった。
それだけ私は、自分の人生で他人と関わらず、一人閉鎖的な人生を歩んできたということだ。残酷にも、それを思い知らされた瞬間だった。
……もとはと言えば、あの日、私はここであんなに蔑ろにされなければ、ストロングのロング缶を飲んでホームなんか歩いていなかったのに。
ふつふつと湧いて出てきた不満をどこにも消化できず、いけないと思いながらもその夜、後輩の一人暮らしの部屋へもぐりこんだ。
「はぁー、係長のセクハラうっざ」
そう一人愚痴を言いながら、キャミソールにお尻が見えそうなショートパンツといった露出の多い恰好で、座椅子にもたれかかって缶ビールを開ける後輩。つんつんとその体に触れてみるけど、触れずに通過するだけ。
人体には影響与えられないのね。電化製品はどうだろう?
そう思って、照明に「んっ」と念を送り込んでみる。すると部屋中にラップ音がし始め、照明がついたり消えたりするように。
(おぉ、できた!)
感動する私とは裏腹に、身を縮こませて怖がる後輩。
「……も、もしかして、臼井さんの霊!?」
(そうそう!)
久しぶりに家族以外の誰かが、私を思い返してくれたことが嬉しくて、つい気持ちが高揚すると、さらに激しく照明がついたり消えたりするようになった。
「ひぃいいいいいいいっ。なんでもいうこと聞きますからぁ!」
そう泣き叫ぶ彼女に、少し考えたあと、彼女のパソコンへこう打ち込んだ。
パチ、パチ、
『 家族へ賠償金の援助を申し入れてください。無理のない範囲で構いません。 臼井 』
一瞬なんて打とうか迷ったが、あまり彼女を怖がらせては可哀想だと、一文だけ画面に残しその場を去った。
同じように、係長と同期のもとへ行き同じようにメッセージを残してきた。
しかし、その問題の賠償金だったが、家族は相続放棄の手続きをしたようで事なきを得ていた。
私が先走ってしまったせいで、会社の面々は家族へ賠償金を支払おうとやっけになり、家族から必要ないと断られても半ば強引に送金していた。
3人とも私の霊がそれほど怖かったたのか、それ程、罪悪感を感じてくれたのか。
これで私もやっと成仏……
……されない。こういう時って可愛い天使がお迎えに来てくれたり、すっとこの世から消えていったりするものじゃないの。まさか私ずっとここに取り残されちゃうわけ?
嘘でしょー、勘弁してよー。
それともまだ、この世に未練があったりするっていうの?
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