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step4 おかえりなさいませ、ご主人様
終わらない災難
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「……でも、怒ってるんじゃ」
「いや、よくよく考えたら俺もちゃんと理由聞かなかったし」
……あぁ、そうだな。
私もちゃんと話してない。
「すいません、実は新聞の集金が来て……」
彰人さんの財布から払った、としゅんとしながら話すと、彰人さんが目を見張った。
「なんでそれを言わないんだよ。……って、その前に俺がちゃんと聞く耳持ってなかったか。……ごめ、」
「あ、謝らないでください……っ!」
慌てて、彰人さんの謝罪の言葉を遮る。
この話にはまだ続きがあるのだ。
「え?」
「あ、あの実は……。ネズミーランドのチケットくれるって言われて……、来月から夕日新聞を新しく……」
「はあぁ?」
案の定、さっきまでの珍しく優しげな顔はどこへやら。
たちまち般若と化す彰人さんの顔。
「しかもホテル宿泊券付きだっていうからっ」
「バカかっ、長い目で見たらチケット買った方が安いだろうが!それに都内に住んでてホテルなんて使わねぇだろっ」
「だってネズミーのホテル泊まってみたかったんだもんっ!」
そう、目の前の誘惑に負けて契約してしまったのだ。
そんな私に心底呆れたような彰人さん、はぁとため息をついて頬杖をついた。
「やっぱしばらく帰ってくるな。水嶋、こいつのこと頼めるか?」
「マジっすか!じゃ、るりるり一緒に帰ろうっ」
「なんでーっ。彰人さんさっきダメだって言ったじゃん!よその男の部屋になんか泊まらせないって!」
「そこまで言ってねぇよ」
あーあ、一瞬でもこいつに悪いことしたなと思ったのに。
とりあえず契約した分の新聞代はあいつに払わせよう。
「こんな気難しい先輩より、俺んとこに来た方がずっと暮らしやすいと思うんだけどなー」
「そうだな、こいつんちゲームやら漫画やらいっぱいあるだろうから、気が合う者同士楽しいと思うけど」
「い、嫌です……っ」
俺の目をじっと見つめて、必死に訴える。
しかし、なんでこいつは水嶋の目を見ようとしないんだろう。
ちょっとオタクっぽくておかしなところはあるけど、お前と同類じゃないか。
人見知りするような奴じゃないと思ってたんだけどな。
まさか、ひょっとして……。
しかし、聞こうと思っていたところで、ツインテールの店員に腕を引かれて連れて行かれてしまった。
仕事そっちのけで話しこんでいるこいつに、さぞかし業を煮やしていたのか、その店員の目は笑っていなかった。
あいつがいなくなると、がくっとうなだれる水嶋。
「さすがに、そんなに拒否られるとショック……。俺何か嫌われることしました?」
まぁ、るりるり連呼は気味悪がられるだろうけど。
あいつだって変人の分類、こいつと同じようなタイプなのに、どうしてこうもこいつを避けようとるするのか。
やっぱり……。
思わず、ニヤついてしまう。
「恥ずかしがってるだけかもよ」
「え?」
「あいつ、人見知りとかしないはずなのに。これだけお前と目合わせないのはやっぱりおかしいし」
「まさか、それって。俺に気があるってことですかっ?」
「わかんねぇけど」
水嶋はそんな俺の憶測を聞いただけで、分かりやすい程喜んでいる。
単純だなー、と思いながらにゃんにゃんバーグの顔半分まで食べたところ。
水嶋がスプーンを口に運びながら、おもむろに聞いてきた。
「ていうか、そろそろ涼香さん帰ってくるんじゃないですか?あの子と住んでるのバレたら殺されますよ?」
不意を突かれた水嶋の発言に思わずフォークを落としそうになる。
一瞬にして顔が強張る。
無理矢理口角を上げ不自然に笑って返した。
「ははは、それ冗談に聞こえないから」
「ははは、だって冗談じゃないですもん」
奴も口は笑っていれど、目は笑っていない。
大真面目で言っているのだ。
「……そうだよ、笑ってる場合じゃねぇよ」
突然、背けたい現実に直面させられ落ち込んで下を向く。
「どうすんですか?」
「どうするも何も隠し通すんだよ、帰ってきたら本当にあいつのことお前に頼むことになるかもな」
「まじっすか!わーい」
「……間違っても変なことするなよ?」
「分かってますよー。でもルリルリの格好してもらう位は良いでしょ?」
「しょうがないな、それであいつの面倒見てくれるなら」
涼香とは俺の彼女のことだ。街中で彼女とすれ違えば、10人中10人が振り向くような完璧な美貌とスタイルを持つ。
それを存分に魅せるかのような派手目な化粧に、やや露出度の高くスタイルが強調されるような服を着ていることが多い。
仕事は国際線のCAをやっていて、今ヨーロッパに行っているのだが今週末いよいよ帰ってくる。
よく彼女を紹介すれば友人から羨ましがられるが、冗談じゃない。
良いのは見た目だけで性格は小悪魔を通り越した、唯我独尊女王様。
怒りっぽいし嫉妬深いし、もし仁菜の存在が知れたらハムスター諸共踏み潰されてしまいそうだ。
「いや、よくよく考えたら俺もちゃんと理由聞かなかったし」
……あぁ、そうだな。
私もちゃんと話してない。
「すいません、実は新聞の集金が来て……」
彰人さんの財布から払った、としゅんとしながら話すと、彰人さんが目を見張った。
「なんでそれを言わないんだよ。……って、その前に俺がちゃんと聞く耳持ってなかったか。……ごめ、」
「あ、謝らないでください……っ!」
慌てて、彰人さんの謝罪の言葉を遮る。
この話にはまだ続きがあるのだ。
「え?」
「あ、あの実は……。ネズミーランドのチケットくれるって言われて……、来月から夕日新聞を新しく……」
「はあぁ?」
案の定、さっきまでの珍しく優しげな顔はどこへやら。
たちまち般若と化す彰人さんの顔。
「しかもホテル宿泊券付きだっていうからっ」
「バカかっ、長い目で見たらチケット買った方が安いだろうが!それに都内に住んでてホテルなんて使わねぇだろっ」
「だってネズミーのホテル泊まってみたかったんだもんっ!」
そう、目の前の誘惑に負けて契約してしまったのだ。
そんな私に心底呆れたような彰人さん、はぁとため息をついて頬杖をついた。
「やっぱしばらく帰ってくるな。水嶋、こいつのこと頼めるか?」
「マジっすか!じゃ、るりるり一緒に帰ろうっ」
「なんでーっ。彰人さんさっきダメだって言ったじゃん!よその男の部屋になんか泊まらせないって!」
「そこまで言ってねぇよ」
あーあ、一瞬でもこいつに悪いことしたなと思ったのに。
とりあえず契約した分の新聞代はあいつに払わせよう。
「こんな気難しい先輩より、俺んとこに来た方がずっと暮らしやすいと思うんだけどなー」
「そうだな、こいつんちゲームやら漫画やらいっぱいあるだろうから、気が合う者同士楽しいと思うけど」
「い、嫌です……っ」
俺の目をじっと見つめて、必死に訴える。
しかし、なんでこいつは水嶋の目を見ようとしないんだろう。
ちょっとオタクっぽくておかしなところはあるけど、お前と同類じゃないか。
人見知りするような奴じゃないと思ってたんだけどな。
まさか、ひょっとして……。
しかし、聞こうと思っていたところで、ツインテールの店員に腕を引かれて連れて行かれてしまった。
仕事そっちのけで話しこんでいるこいつに、さぞかし業を煮やしていたのか、その店員の目は笑っていなかった。
あいつがいなくなると、がくっとうなだれる水嶋。
「さすがに、そんなに拒否られるとショック……。俺何か嫌われることしました?」
まぁ、るりるり連呼は気味悪がられるだろうけど。
あいつだって変人の分類、こいつと同じようなタイプなのに、どうしてこうもこいつを避けようとるするのか。
やっぱり……。
思わず、ニヤついてしまう。
「恥ずかしがってるだけかもよ」
「え?」
「あいつ、人見知りとかしないはずなのに。これだけお前と目合わせないのはやっぱりおかしいし」
「まさか、それって。俺に気があるってことですかっ?」
「わかんねぇけど」
水嶋はそんな俺の憶測を聞いただけで、分かりやすい程喜んでいる。
単純だなー、と思いながらにゃんにゃんバーグの顔半分まで食べたところ。
水嶋がスプーンを口に運びながら、おもむろに聞いてきた。
「ていうか、そろそろ涼香さん帰ってくるんじゃないですか?あの子と住んでるのバレたら殺されますよ?」
不意を突かれた水嶋の発言に思わずフォークを落としそうになる。
一瞬にして顔が強張る。
無理矢理口角を上げ不自然に笑って返した。
「ははは、それ冗談に聞こえないから」
「ははは、だって冗談じゃないですもん」
奴も口は笑っていれど、目は笑っていない。
大真面目で言っているのだ。
「……そうだよ、笑ってる場合じゃねぇよ」
突然、背けたい現実に直面させられ落ち込んで下を向く。
「どうすんですか?」
「どうするも何も隠し通すんだよ、帰ってきたら本当にあいつのことお前に頼むことになるかもな」
「まじっすか!わーい」
「……間違っても変なことするなよ?」
「分かってますよー。でもルリルリの格好してもらう位は良いでしょ?」
「しょうがないな、それであいつの面倒見てくれるなら」
涼香とは俺の彼女のことだ。街中で彼女とすれ違えば、10人中10人が振り向くような完璧な美貌とスタイルを持つ。
それを存分に魅せるかのような派手目な化粧に、やや露出度の高くスタイルが強調されるような服を着ていることが多い。
仕事は国際線のCAをやっていて、今ヨーロッパに行っているのだが今週末いよいよ帰ってくる。
よく彼女を紹介すれば友人から羨ましがられるが、冗談じゃない。
良いのは見た目だけで性格は小悪魔を通り越した、唯我独尊女王様。
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