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第一章
第1話「めんどくさい生活の始まり」後編
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授業が終わり、放課後。
ランドセルを背負って帰る頃には、もう肩に食い込む紐の跡が痛いくらいだった。
家に帰り着いた瞬間、俺は玄関でへたりこんでしまった。
「ひな、どうしたの? そんなに疲れて……」
母さんがスリッパを履いたまま慌てて寄ってくる。
「……ううん、大丈夫。ちょっと、足が……」
必死に子どもっぽく言葉を選んだつもりだが、内心では叫んでいた。
(マジで重労働だろコレ!毎日こんなの運んでたら腰やられるわ!)
母さんは俺のランドセルをひょいと取り上げると、笑った。
「小学生は体が小さいんだから、無理しちゃだめよ。ほら、手洗ってご飯にしましょ」
差し出された手は、温かかった。
前の人生じゃ、もう二度と感じられなかった“母親に手を引かれる感覚”。
胸の奥がじんわりして、思わず俯いてしまう。
「……ありがと」
夕飯の食卓は、賑やかだった。兄貴が部活の愚痴をこぼし、父さんは相槌を打ちながらも新聞を片手にしている。母さんは「ちゃんと食べなさい」と俺の皿に煮物を取り分けてくれた。
(……なんだこれ。夢みたいだな。俺が欲しかった“普通の家族の時間”じゃないか)
その夜。布団にくるまり、天井を見上げる。
疲れはあるけど、不思議と心は軽い。
でもやっぱり、胸の奥からあの言葉が勝手に浮かんでくる。
「……めんどくせー」
小さな声で呟いて、自分で笑ってしまった。
小学生の声なのに、中身は四十五歳のオッサン。
どう考えても先が思いやられる。
けど――
(ま、せっかくの“二度目の人生”だ。少しくらい面倒でも……やってみるか)
瞼がゆっくり重くなり、意識が沈んでいった。
こうして、俺——いや、如月ひなの新しい日々が始まった。
ランドセルを背負って帰る頃には、もう肩に食い込む紐の跡が痛いくらいだった。
家に帰り着いた瞬間、俺は玄関でへたりこんでしまった。
「ひな、どうしたの? そんなに疲れて……」
母さんがスリッパを履いたまま慌てて寄ってくる。
「……ううん、大丈夫。ちょっと、足が……」
必死に子どもっぽく言葉を選んだつもりだが、内心では叫んでいた。
(マジで重労働だろコレ!毎日こんなの運んでたら腰やられるわ!)
母さんは俺のランドセルをひょいと取り上げると、笑った。
「小学生は体が小さいんだから、無理しちゃだめよ。ほら、手洗ってご飯にしましょ」
差し出された手は、温かかった。
前の人生じゃ、もう二度と感じられなかった“母親に手を引かれる感覚”。
胸の奥がじんわりして、思わず俯いてしまう。
「……ありがと」
夕飯の食卓は、賑やかだった。兄貴が部活の愚痴をこぼし、父さんは相槌を打ちながらも新聞を片手にしている。母さんは「ちゃんと食べなさい」と俺の皿に煮物を取り分けてくれた。
(……なんだこれ。夢みたいだな。俺が欲しかった“普通の家族の時間”じゃないか)
その夜。布団にくるまり、天井を見上げる。
疲れはあるけど、不思議と心は軽い。
でもやっぱり、胸の奥からあの言葉が勝手に浮かんでくる。
「……めんどくせー」
小さな声で呟いて、自分で笑ってしまった。
小学生の声なのに、中身は四十五歳のオッサン。
どう考えても先が思いやられる。
けど――
(ま、せっかくの“二度目の人生”だ。少しくらい面倒でも……やってみるか)
瞼がゆっくり重くなり、意識が沈んでいった。
こうして、俺——いや、如月ひなの新しい日々が始まった。
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