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第一章
第12話「影の手」
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夕暮れの住宅街。
習い事の帰り道、ランドセルを背負った小さな背中が、人気のない路地に吸い込まれていく。
俺はため息をつきながら歩いていた。
(はぁ……今日も疲れた。小学生の体力って、思ったより全然もたねぇな……めんどくせー)
そのときだった。
「やぁ、ひなちゃん。また会えたね」
背後から声。振り向けば――あの公園で声をかけてきた男。
薄笑いを浮かべながら、手には大きな袋。
「ちょっとだけ、手を貸してくれない? すぐそこなんだ」
(……来た。やっぱり、あのときの男だ。しかも、狙ってんのは俺……)
「すみません、私、急いで――」
言いかけた瞬間、男の腕が伸びてきて、ぐいっと俺の手首をつかんだ。
「ちょっとだけだから」
引きずられる。体が小さくて、抵抗が利かない。
必死に振りほどこうとするけど、足がもつれて転んだ瞬間、ランドセルが肩からずり落ちる。
「いやっ! 離せっ!」
声は高く、子供っぽく震えていた。
けれど中身は必死に冷静を装い、頭を回す。
(落ち着け……声を出せ。人目を集めろ。それしかねぇ……!)
「この人知らない! 助けて! 誰かぁっ!」
夕暮れの路地に響いた声。だが周囲は静かで、反応がない。
男は顔をしかめながらも俺を抱き上げ、そのまま路地の奥へ走り出した。
夕日の色が急速に遠ざかり、心臓が爆発しそうに脈打つ。
(クソ……めんどくせー……! でも、これはもう本当にやべぇ……!)
視界が揺れ、ランドセルの赤が地面を跳ねる。
やがて俺の叫び声も、夕暮れのざわめきにかき消されていった――。
習い事の帰り道、ランドセルを背負った小さな背中が、人気のない路地に吸い込まれていく。
俺はため息をつきながら歩いていた。
(はぁ……今日も疲れた。小学生の体力って、思ったより全然もたねぇな……めんどくせー)
そのときだった。
「やぁ、ひなちゃん。また会えたね」
背後から声。振り向けば――あの公園で声をかけてきた男。
薄笑いを浮かべながら、手には大きな袋。
「ちょっとだけ、手を貸してくれない? すぐそこなんだ」
(……来た。やっぱり、あのときの男だ。しかも、狙ってんのは俺……)
「すみません、私、急いで――」
言いかけた瞬間、男の腕が伸びてきて、ぐいっと俺の手首をつかんだ。
「ちょっとだけだから」
引きずられる。体が小さくて、抵抗が利かない。
必死に振りほどこうとするけど、足がもつれて転んだ瞬間、ランドセルが肩からずり落ちる。
「いやっ! 離せっ!」
声は高く、子供っぽく震えていた。
けれど中身は必死に冷静を装い、頭を回す。
(落ち着け……声を出せ。人目を集めろ。それしかねぇ……!)
「この人知らない! 助けて! 誰かぁっ!」
夕暮れの路地に響いた声。だが周囲は静かで、反応がない。
男は顔をしかめながらも俺を抱き上げ、そのまま路地の奥へ走り出した。
夕日の色が急速に遠ざかり、心臓が爆発しそうに脈打つ。
(クソ……めんどくせー……! でも、これはもう本当にやべぇ……!)
視界が揺れ、ランドセルの赤が地面を跳ねる。
やがて俺の叫び声も、夕暮れのざわめきにかき消されていった――。
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