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第一章
第14話「兄の背中」
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その日の放課後。
家に帰ろうとしていた俺のところへ、ひなの友達が飛び込んできた。
「ひなちゃんのお兄さん! だ、だれかに連れていかれちゃった!」
一瞬、理解できなかった。
でも次の瞬間、全身の血が逆流するみたいに熱くなって、
肩にかけていた学生カバンを放り投げ、走り出していた。
⸻
夕暮れの町を、名前を呼びながら探しまわる。
「ひな! どこだ! 返せぇ!」
息は切れて、足は重い。それでも止まれなかった。
すれ違う大人に声をかけ、交番に駆け込み、必死に訴える。
「妹が、誰かに……助けてください!」
自分でも驚くほど大声を張り上げていた。
⸻
やがて、角を曲がった先で小さな影を見つけた。
ボロボロの制服、片方だけない靴。
肩で息を切らしながらも、必死に走ってくる――ひなだった。
「ひな!」
駆け寄ると、ひなは俺を見るなり、力が抜けたみたいに倒れ込んできた。
「ひなちゃん!」と後ろから追いついた友達が泣きながら抱きしめる。
ひなは泣きじゃくりながらも、その小さな手で俺の服をぎゅっと掴んだ。
「大丈夫、大丈夫だ。もう心配すんな」
俺は震える肩を抱きしめ、何度もそう繰り返した。
⸻
その夜。
布団に潜り込んだひなは、すぐに眠りに落ちた。
目尻に涙の跡が残っているのに、寝顔はどこか落ち着いていて――
まるで何かを乗り越えてきたように見えた。
(……ひな。前は、もっと子どもっぽくて、すぐ泣いてばかりだったのに。
今日のひなは、怖がりながらも自分で抗って……なんだか、俺より大人みたいだった)
俺はそっと息を吐き、心の中でつぶやく。
(……俺も、兄として強くならなきゃな)
暗い部屋の中で、妹の小さな寝息を聞きながら、初めてそう強く思った。
家に帰ろうとしていた俺のところへ、ひなの友達が飛び込んできた。
「ひなちゃんのお兄さん! だ、だれかに連れていかれちゃった!」
一瞬、理解できなかった。
でも次の瞬間、全身の血が逆流するみたいに熱くなって、
肩にかけていた学生カバンを放り投げ、走り出していた。
⸻
夕暮れの町を、名前を呼びながら探しまわる。
「ひな! どこだ! 返せぇ!」
息は切れて、足は重い。それでも止まれなかった。
すれ違う大人に声をかけ、交番に駆け込み、必死に訴える。
「妹が、誰かに……助けてください!」
自分でも驚くほど大声を張り上げていた。
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やがて、角を曲がった先で小さな影を見つけた。
ボロボロの制服、片方だけない靴。
肩で息を切らしながらも、必死に走ってくる――ひなだった。
「ひな!」
駆け寄ると、ひなは俺を見るなり、力が抜けたみたいに倒れ込んできた。
「ひなちゃん!」と後ろから追いついた友達が泣きながら抱きしめる。
ひなは泣きじゃくりながらも、その小さな手で俺の服をぎゅっと掴んだ。
「大丈夫、大丈夫だ。もう心配すんな」
俺は震える肩を抱きしめ、何度もそう繰り返した。
⸻
その夜。
布団に潜り込んだひなは、すぐに眠りに落ちた。
目尻に涙の跡が残っているのに、寝顔はどこか落ち着いていて――
まるで何かを乗り越えてきたように見えた。
(……ひな。前は、もっと子どもっぽくて、すぐ泣いてばかりだったのに。
今日のひなは、怖がりながらも自分で抗って……なんだか、俺より大人みたいだった)
俺はそっと息を吐き、心の中でつぶやく。
(……俺も、兄として強くならなきゃな)
暗い部屋の中で、妹の小さな寝息を聞きながら、初めてそう強く思った。
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