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第三王子の初夜(スデーションタ視点)
な、なんだこれはぁぁぁあッ!?
俺はこの日を待っていた。
本当に楽しみにしていたんだ。
結婚式後、夫婦の寝室まで花嫁には着替えるのを待ってもらい、ウェディングドレスを俺の手で脱がせるのを。
そして新妻の一糸纏わぬ姿を、オオオッパイを直にこの目で見る瞬間を!
それ、なのに……
イリュージョン!?
俺はイリュージョンでも見せられているのか!?
いつも俺の腕に押しつけていたオッパイはどこへ消えた!?
ダンスを踊る時、視線を少し下げると目の前にあった胸の谷間はどこへいった!?
ふと手元に違和感を覚えて、手に持っていたウェディングドレスに目を向ける。
先ほど脱がせたばかりの、ネムセーニのドレス。
胸のあたりに、何やら様々な物がくっついていてズシリと重い。
な、なんだこれはぁぁぁあッ!?
問い詰めると、胸の柔らかさそっくりの分厚い詰め物とそれをしっかり支えるワイヤーがドレスに縫いつけられているのだと言う。
まさか、これが……これがネムセーニの胸の正体だったのか!?
ガックリとうなだれる。
魅力的なオッパイだと、思っていたのに……。
「ちょっと、なにいきなり入れようとしてるのよ!!」
夜の営みのため身体を重ねようとしたら、ネムセーニが抵抗するようにグッと肩を押してくる。
「いくらアソコが短くて小さいからって、いきなり入れたら痛いに決まってるでしょ!!」
き、気にしている事を……!
「な、なんだ短くて小さいとは!! 他の男のを見たことがあるのか!!」
「無いわよ!! でも明らかに短くて小さいでしょ!!」
繊細な俺のアソコが萎えて、ますます小さくなってしまった。
「ネムセーニこそ、その胸は偽物じゃないか!」
「偽物じゃないわ。あなたが勝手に勘違いしてただけじゃない。偽物っていうのは、お義兄様が私にプレゼントしたアクセサリーの事を言うのよ」
結婚のお祝いにネックレスとイヤリングをプレゼントするよ、と上の兄の王太子殿下がラカスデギサ商会の者を呼んでネムセーニにアクセサリーを選ばせてくれた。
ラカスデギサ商会の者は、兄上に紹介されて俺も何度かふたりきりで会ったことのある男の商人。
ラカスデギサ商会の男と兄上、俺とネムセーニの四人に囲まれたアクセサリーケースの中は、宝石の光でキラキラと輝いている。
ネムセーニは迷わず一番大きな石のついたネックレスとイヤリングを選んだ。
すると兄上が「このアクセサリーの中で、それだけは宝石ではなくイミテーションだけどいいのかな。でもネムセーニ嬢はそれが気に入ったんだものね」と言う。
今さら他のに変えたいなんて言うこともできず、ネムセーニは後でたいそう悔しがっていた。
本物の宝石がよかったと愚痴るのはいいけれど、俺に当たるのはやめてほしい。
その後ベッドの上で、俺はネムセーニに「痛い、ヘタクソ!」と罵られながらも何とかコトを済ますことができた。
初夜とは、こんなにも心が削られるものなのだろうか。
――俺がシブツリトー侯爵家当主となって数日後、ラカスデギサ商会の男が俺を訪ねてきた。
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