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しおりを挟む「うー、もうちょい、なんだけどなぁ……」
お風呂上がりでタンクトップにショートパンツというルームウェア姿の私。
今はショートパンツをショーツとともに膝までおろし、ベッドの上で、ぷりッとお尻を突き出し空気に晒した状態のうつ伏せになっている。
左手で手鏡を持ち、お尻の穴を映す。鏡が映しだす場所に、ブツを持った右手を近付けていく。
こんな事なら、お母さんが出かける前に入れてもらえばよかった。
お母さんは看護師。そして今日は夜勤のためにもう家を出てしまった。
ちなみにお父さんは警察官。同じく今夜は夜勤でいない。
私が小さな頃は、父と母で仕事の調整をして、ひとりっ子の私が夜ひとりになることなんて無かったけれど。
私も一昨日二十歳になった。もうすぐ短大を卒業するし、春からの就職先も決まっている。もう立派な……かどうかは分からないけれど、大人。
だから父も母も、ふたりの夜勤が重なっても誰かと代わってもらう必要が無くなった。
そんな大人な女性の私、のはずなのに。
今は、痔の薬が自分でお尻に入れられなくて、格闘中。
お尻に違和感を覚え、先日母の勤める病院で女医さんに診てもらいくだされた診断が、痔。
切れ痔と、軽い症状の内側のいぼ痔。
こんなうら若き乙女が痔なんて、と思ったけれど、けっこう女性に多いそう。
座薬を処方してもらった日から母に挿入してもらうことに。
でも、今日はうっかりしていた。母が夜勤でいないなんて。
母にしてもらうと、にゅるるんッて感じにすぐ入るのに。
自分だと全然うまくいかないよ~!
右手に座薬、左手に手鏡を持ち、なんとかお尻の穴へ薬を入れようと奮闘する。
「ん……、ふぅ……んぅ……」
なかなか入らなくて、もどかしくて、手は疲れてくるし、自然と息が荒くなってしまう。
ふ、と視界が陰った気がした。
「ひ、な?」
名前を呼ばれ、首だけ動かして声のした方を見上げる。
聞き覚えのある、私の大好きな低いのに甘さを含んだ声。
その声の持ち主が、私の部屋の電気の光を遮っていた。
逆光で、いまいち表情がよく見えない。
せっかくの眉目秀麗な顔なのに。残念。
お隣に住む深川優哉こと、ゆう君は顔良し頭良し運動神経良し、おまけに性格良しのハイスぺ男。
私よりも4つ年上で、今は一流企業に勤めている。
私の初恋の人。初恋というか、今でも好きな人。
仕事から帰ってすぐなのかな、スーツ姿がなんとも素敵。
普段はクールな印象、でも笑うと可愛いんだよなぁ、ゆう君。
「大丈夫?」
ベッドのすぐ脇に立つゆう君にそう聞かれて自分が今、下半身丸出しのあられもない格好をしている事を思い出した。
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