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真夜中の創一郎

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 目の前で愛しいお姫様が眠っている。
 しかも、自分の腕の中で。
 だが、手を出すことはできない。
 ああ、これはいったい何の拷問だろうか。

 花のふわりとした髪を撫でる。
 本当に、可愛らしい寝顔だ。
 無防備で、安心しきっている。
 俺のことを信用してくれているのだろう。
 もう少し、男として、警戒してくれてもいいのに。

 ずっと見ていたかったが、パンツの中でパンパンになった俺の屹立が、もうそろそろ限界だと訴えている。
 ……花の隣で処理して宥める訳にもいかない。
 起こさないように、そぅっと花の頭の下から腕を引き抜き、未練がましく頬に口づけをしてから静かにベッドをおりる。


 余計な音がかき消されるように、シャワーを全開にした。
 浴室の椅子に全裸で腰かけ、背中にシャワーを浴びる。

 硬く猛々しい姿になった自分自身の肉棒を握り、ゆっくりと手を動かす。
 目を閉じると浮かぶのは、蕩けたような花の表情。

「……花ッ……」

 俺が唇を少し舐めただけで、ねだるように口を開け、目を潤ませている。
 キスをしたことがないと言っていた。
 初めてだから、余計に感じやすかったのかもしれない。

 あの表情を見られるのは俺だけだと思うと、男の征服欲が満たされるのを感じる。
 何も知らなかった花に、舌を差し込み、あの甘い口中を余すところなく犯したのは俺だ。

 誰にも、誰にも渡したくない。

 俺の舌に絡められた、花の艶めかしい淫らな舌の感触。
 俺の手に確かに触れた、女を感じさせる滑らかで柔らかな太腿。
 より深いキスに、可愛らしく身体を震わせる花。

 もし、もしあの時、あのまま……ショーツをおろして先に進んでいたら……。

 自然と肉棒を擦る手の動きが速くなってくる。

「……クッ……ぅ……」

 花はキスさえ初めてだった。恐らくショーツに隠された女の部分には、誰も触れたことなどないだろう。
 ショーツを剥ぎ取り、誰も触れたことのない花の敏感な場所に手を這わせる。

 最初はそっと。優しく触れるだけ。
 それだけでも、花はビクッと驚くから。
 大丈夫だよというように、優しく撫でる。

 ――ぁぅ……ゃッ……ンッ……

 割れ目を指の腹で撫でると少しずつ潤んできて、花の口から零れる愛らしい嬌声。
 敏感な突起部分をくにくにと親指で丁寧に広げながら、潤みの入り口に中指を挿れる。
 少しでも指を挿れる時の痛さが紛れるように、舌を絡めるキスをした。

 中に挿れた指で、花の感じるところを探す。
 俺の指が動くたびに、ピクッピクッと花の腰が動いた。
 唇を離すと、とろんと蕩けるような表情の花。
 本当はもっと慣れさせてあげたいけれど、もう、俺が我慢できない。

 花、花、挿れたいッ

 彼女がコクンと頷き、許しを得た俺は蜜口にグッと肉棒を差し込んだ。

 ――んッ、ン…… 

 身体をよじらせながら、花が甘い声で啼く。
 その声に煽られて、俺の動きは一段と激しさを増した。
 花は初めてなのに、俺のを入れられて気持ちよさそうに淫らに喘ぐ。

「ゥ……んんッ……花ァ……ゥゔっんッ」

 どぴゅっどぴゅっ、と欲望だらけの白い液が身体から放出される。
 はぁっはぁっと肩で息をしながら欲望の塊がシャワーに流されていくのを眺めていた。

 好きな女の淫らな姿を想って夜中に自慰行為をするなんて、思春期かと自分にツッコミを入れたくなる。
 ……でも、これから、こんな生活が続きそうな、そんな予感が、した。

 はぁぁぁ、まぁ、可愛いお姫様を守るためだから、姫を守る役目を仰せつかった騎士はなにかと我慢するしかないよな。
 俺に、そのままの俺でいいと生きる力を与えてくれた花には、自分が選んだ相手といつか幸せになってもらいたい。

 息が整ってくると、頭も少し冷静になってきた。

 ……花は、俺のことをどう思っているんだろう。
 少なくとも嫌い、ではないはずだ。

 たとえ甘えたい欲求があるからといって、嫌いな相手にあんなに自分から近づいてきたりはしないだろう。
 花は、……いったいどうして、あんな風に俺を何度も煽ってくるんだ。

 俺を……試しているとしか思えない。
 迂闊に手を出して、危険な男認定されて、花が離れていくのは……嫌だ。

 でも、膝の上に座ってきたり、自分からキスしてきたり、試すにしても少しやり過ぎな気もする。
 もしかして、俺のことが……好き、とか?

 首を横に振る。……いや、違うな……。

 好きか、というと、そうとは考えられない。

 好きならば、俺が婚約のことを親や会社に伝えたいといったら、喜ぶはずだろう。
 本当の婚約者になるんだから。

 なのに花は、言うのはやめた方がいい、と言った。
 俺と本気で婚約するつもりは、一切ないということか。


 そぉっとベッドに戻って横になる。
 花が隣にいてくれることが、涙が出そうになるくらい嬉しかった。

 誰にも、誰にも渡したくない。

 少なくとも、嫌われてはいない。
 恐らく今、花の一番近くにいる男は俺だろう。
 もしかしたら、少しずつ少しずつ距離を縮めていけば、花に選んでもらえる男になれるかもしれない。

 ふと、花の小さな手のひらが目に入った。
 そっと自分の手を重ねると、きゅっと握りしめられる。
 反射的なものだったに違いない。そこに花の意思はない。

 でも花が、可愛くて、温かくて、愛おしすぎて。
 俺の、手を選んでくれたと信じたかった。

 絶対に、花は誰にも渡さない。花に選ばれる男にならなければ。

 握られた手を、軽く握り返す。
 近くに花を感じて、幸せな気持ちに満たされながら眠りについた。
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