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聖魔祭編
ねむいけど偽物と闘います。
しおりを挟む「なるほど、だからあの時俺に接触したわけか」
「なんとことだか分からんな」
あくまでシラを切る偽悠太。本物の悠太は偽悠太と会話をすればするほど苛立っていく。
「じゃあそろそろ戦おうかねぇ」
「おい、その口調を今すぐやめろ」
「───!?」
突然凛に並外れな殺気が降り注ぐ。そのあまりにも異常な殺気に凛は苦笑いをしてしまう。
「とんだ化け物を相手にしてしまった気分になってしまうわね。とりあえずこれでいいかしら」
「おいおいおい、俺の姿でその喋り方をされると気持ち悪いな」
「貴方がこれをご所望したんでしょ?だったら我慢しなさい」
「仕方ないか。で、なんで俺の姿で来たんですか?」
「ひ・み・つ♡」
「おぇーー」
悠太はそのあまりにもの気持ち悪さに吐き気が疼く。
「さて、両者準備が整いました!序列ニ位の生徒会長『鳴神凛』選手対『霧谷悠太』選手、試合開始です!」
その開始宣言とほぼ同時に凛は腰に下げていた剣を引き抜く。一方悠太はいつも常備しているなまくら剣をだるそうにしながらそれを振ることなく肩上にのせた。
「あら、その剣で大丈夫なの?私はこの剣があるからいいけれども」
「ええ、これで大丈夫ですよ」
「そう。それじゃあいくわよ」
しかしそれから数秒、一向に攻める気配がない。不思議に思った悠太は、目線を凛から剣に移すと、先ほどまで傷一つ付いていなかったはずの剣の断片に魔力と思われる紫色の筋が剣先めがけて徐々に刻まれていっていた。
「おいおいまじかよ」
それを見た時悠太は苦笑いをせざる負えない、何故ならそれは───
「驚かないのね」
「いえ、さすがに驚きましたよ。まさか俺の技術までも真似られるとはね」
そう、今凛が使ったのは悠太の技術、同調をせずに剣に魔力を流し込み剣を大幅に強化する技である。それは悠太にしかできない代物だった。しかし凛は目の前でやってのけている。
「でも驚いただけです」
「へぇ~、余裕だわね。じゃあこれはどうかしら?【鎌鼬】」
「あらよっと!」
異常すぎる速度の気流が悠太を襲うが、それを顔色一つ変えずに真っ向から叩き潰した。
「へっ?」
凛もまさか真っ正面から叩き潰されるとは思っていなかったのか、間抜けな声音を漏らす。
「凄いな、それ第六剣術でしょ?俺以外のやつが使うところ久々に見たわ」
「あれをいとも簡単に潰したのになんとも思っていないなんてあなたとんだ化け物ね」
想像以上の規格外さに凛は驚きを隠しきれない。
「だけどもしあなたが彼の方ならば当然かもしれないわね」
そして剣術ではなく"第六剣術を放った"という事実だけに驚きを見せる悠太に凛は何故か納得といった表情を浮かべていた。
凛が放った『鎌鼬』、それは常人では為し得ない圧倒的な剣速の究極であり、人の認識すらも超越するといわれている。しかしもとから使えたわけではない。凛は悠太の強化技術と同調を組み合わせたことでなんとか鎌鼬を実現することができたのだ。そしてこの剣速は五皇聖魔でさえ見切るのは至難の技であろう。その神速を軽く凌駕する術を悠太は「ひょいっ」と軽く躱したのだ。
「でもこれでわかったわ。貴方には私の本気をぶつけないと到底勝てないってことにね!!」
その言葉とともに凛から荒れ狂った黄色い雷光が迸る。
「おぉーっと!雷の魂が宿っているかのように凛さんの身体から雷が荒れ狂うように溢れ出ております!」
「凄いですね、ここまでの魔力濃度は僕も殆ど見たことありませんね」
「ふふふ、どう怖気付いた?」
「いえ、特には」
悠太はその圧倒的な魔力を肌に感じながらも顔色一つ変えない。凛もそれをやせ我慢だとは思わなかった、自身が思う人であればそれが当たり前だとそう信じて。
一方未だだるそうにしている悠太は凛の底知れない才能に内心驚愕していた。
(俺の技術を使っているとはいえさっきの剣術は結構驚いたな。さらにこの魔力内に俺の魔力も薄っすらと感じる。俺の力をあの技術から吸収してるってどんだけ凄いんだよ!まあ会長は無意識だがら気づいてないと思うけどりいやぁ久々にすんごいひと見つけたわ)
「それじゃあ耐えれるものなら耐えてみなさい。これが私の最高で最強の剣術、【雷鋒】!!!!」
怒濤の雄叫びとともに身体中に散りばめられたその膨大な量の雷を纏った剣で、鋭い神速の連撃を放つ。その迅雷はただの飾りではない、触れればたちまち人間の細胞すらもを全て焼け尽くし、辺り一面が無と化す程の威力を誇った十四連撃の剣術なのだ。そんな大技を沢山の生徒達、人が居るところで放つわけにはいかないだろう。しかし悠太なら、彼の方であればと信じ、加減することなく全力で剣を振るう。
「うおっ!」
さすがの悠太も凄まじい攻撃に後退りする。そしてなんとかいなそうとなまくら剣で縦横無尽に振るう。剣と剣が激しく打ち合う中で悠太は凛の凄さに少し感激する。
(すげぇ、俺の脳から身体に伝わる伝達信号、そして剣の技術までも吸収してやがる)
技術とは経験であり努力の結晶だ。どれだけ真似しようとしても出来ないもの。凛は悠太の規格外な能力の一部を扱うことで、無意識に悠太の剣導本来の技術を盗むことができたのだ。その盗んだ技術によってこの短時間の間に異常なほどの急成長をし、威力とスピードが大幅に向上したのだ。凛が持つ相手の能力を自分に取り込むその才能に悠太は感激していたのだ。
「はあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
凛の最後の一撃が悠太に向けて放たれる。悠太もその光の閃光になまくら剣で迎え撃つ。
剣と剣が交じり合った瞬間闘技場に戟音が響き渡る。そしてその衝撃波にその場にいた生徒達は目を瞑り、未だ姿が見えない二人の勝敗の行方に息を呑む。
そして闘技場に静寂が訪れる中、その場にいた生徒達が見たのは何故か呆然と立っている凛であった。一方の悠太は全身傷だらけの状態で倒れていた。
「か.....勝ったの?」
「おぉーっと決まったー!この決闘の勝者、ヴァルシィ学園生徒会長鳴神凛ー!!!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぁぉぁぉおお!!!!!!!!」」」」」
「う、うそ.....」
闘技場にいた生徒達が歓喜に震える中、フィールドの真ん中にいた一人の少女が、倒れ伏している少年を絶望の光が宿った瞳で見下げていた。その少女が立っている位置からは少年の顔が見えなかった、それゆえに少女は少年の変化に気づくことはなかった。そう、その少年が薄っすら笑っていることに。
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