時は平成。発達障害だと知らなかった僕が、狂人から大人になるまで。（ほぼ実話）

学んだ僕は強く、バカだった

親が僕を叩かなくなったことで、僕は浮かれていた。

それは、そこに愛を感じたからだ。


なーんてことはなく、親の弱点「世間体」様を味方にすることができたからだ。

今までは、狐憑きの子供を持つ可哀想な母親から一転、子供を虐待する家庭に早変わり。

「世間体」を気にする「お母さん」は大ダメージだ。

これには、僕は少なからず興奮を覚えた。僕を憎悪の対象としか見る目線はいつだってキツく、時に害虫か死体を見るような目つきしか僕にできない親が
今は、世間様の視線におびえているのだから。


この頃には、僕は発達障害として正式に認めらなくとも
支援級の出入りや見学に連れてかれるレベルには学校は気づいてくれ、普通級ながらも初めて僕の気持ちを聞いてくれる配慮のある担任と出会えることができた。

綺麗に笑う女性の先生だ。

僕は僕の気持ちを初めて大人に話した。
そして初めて、僕の生活がおかしいことを気づき始めた。

なんとびっくり、普通の家の「お母さん」や「お父さん」は子供を叩いたり首を絞めなりしないらしい！
それを知った僕は、初めて


そう、初めて


親に憎悪と嫌悪を持った。

小学校4年の春である。

とはいえ、何ができるわけではない。
家に帰る時間を極力遅くして、頭に水をかける毎日だ。

どうやったら、僕は自由になれるのか
そればかり考えていた。

そして、そのチャンスが僕にやってきた。

その年の僕は、校内の作文コンクールでクラスの代表となり、見事チャンスをものにしたのである。
しかし、それはあっけなく取り消された。

内容があまりにも子供が書くことではなかったからである。

作文のタイトルは「みかぎり」

子供から親を見限ることができない世の中を憂いた作文である。
僕から親を捨てられないなら、親が僕を捨ててくれればきっとみんな楽になるのに。

この作文を代表に押したのは担任の先生で、取り消したのは校長先生。

代表の作文は、全校集会の日に壇上で朗読するからだ。

担任の先生は次の春に他の学校に飛ばされた。

バカな僕は、僕の作文がきっかけで大切な恩師を失うこととなったのだ。

世の中ってやつは、またも非常である。


先生を見送る日、僕は泣いた

これ以上に僕を見てくれる先生には出会えないだろうと。


先生は綺麗な顔で笑って
大丈夫、あなたは素敵な大人になれる。
きっと次の担任も素敵な先生だからね、
私校長先生にお願いしたからね。

今は辛いけど、優しい心を大切に。


そしてなるだけ早く、独り立ちしなさいと。



そして、その言葉は僕の目標となり
見事、１８で家を出ることとなるのだが

先生の願いは虚しく、次の担任はバイオレンスな人であったのは今では笑い話だ。