時は平成。発達障害だと知らなかった僕が、狂人から大人になるまで。(ほぼ実話)

カナリア

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人(命)がゴミのようだ!

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※表現が過激

阪神大震災のニュースは連日のように放送され、

新聞には、毎日大きな見出しで死亡者数が書かれる毎日。

まさに、ムスカのセリフを体現するように

バラバラとたくさんの人がゴミのように毎日死んでいった。


今でなら不謹慎と言われてしまうことがわかるけど、当時の僕は東京に住んでいることを大いに嘆いていた。

被災者が悲壮な心情をテレビで発するのを見るたびに


何で、僕の家は関西になかったのだろう。

そう思っていたのだ。

ああ、僕以外の人は

こんなにも簡単に家族は失うことができるのか。
こんなにも、
あまりにもあっけなく、
関西では親を亡くした子供が溢れかえっているのに

なぜ、この場所に

なぜ、僕はいることができなかったんだ!!


あまりに、理不尽なその嘆きは
声にすることも許されず、毎日公園のブランコを漕ぎながらため息をつき
安定の水をかぶりながら不貞腐れる日々が続いていたある日。

学校に転校生が同時に3人もきたのである


正直に、転校生が来たところで
嫌われ者の僕には関係がない、
それよりも家を関西に引っ越すにはどうすれば…そんなことばかり考えていたんだ。

そんな、僕の頭に衝撃的な声が届いた。

「転校生の、私です。震災で家を失い
お父さんの働く東京の会社の団地に引っ越してきました。皆さんよろしくお願いします」


…。

…!


ジーザス。何だこの出会いは。




転校生の3人は、まさかの被災者だったのである。

僕の住む地域は大きな会社の団地が沢山ある。

しかも転校生の私さんは、僕の家のすぐ近くにある
いっとき、頭を壁にうちつける治療ブームのあった僕が利用していた、
お気に入り壁がある
団地に引っ越してきたのだ。


なんてこったい。


この日、僕はおそらく初めて自分から
初対面の人に対して羨望の目をしながら言葉を選びつつ、慎重に話しかけた。



後に担任は、 

「僕くんが、自ら他人に興味を示すことができました。」

と、見当違いな褒め要素を親に話していたが

僕の頭は、そんな頭の成長をしているわけではなく

私さんに聞きたいセリフを思わずこぼれ落ちてしまわないように、

そう。

僕が、狐憑きと呼ばれてて
嫌われ者だと気付かれる前に
仲良くなろうと必死だったのだ。


ねえ、私さん

私さん。

私さん!!


お父さんの会社って言ってたよね?
お父さん、としか言ってなかったよね?



「お母さん」は、


君の、「お母さん」は死んでくれたのかい?

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