64 / 128
シーズン1
64.山積みな招待状
「お義兄様…」
ユリはゆっくりと立ち上がり、落ち着いた足取りでシリルお兄様に歩み寄った。その姿には、一切の敵意や焦りはなく、むしろ静かな威厳すら漂っていた。
「メイを守るためなら、どんな犠牲も惜しくはない。俺の行動は恐らくですが、正しいのでは?」
その言葉に、シリルお兄様は少し目を伏せ、深く息を吐いた。疲れた表情の中に、わずかな後悔と迷いが見え隠れしている。
「そういう意味では正しいな。すまない。また無礼を働いてしまった。気が動転しているんだ。」
彼の言葉に、ユリは静かに微笑んだ。その笑顔は、挑発でも勝利の表情でもなく、ただ相手を受け入れる穏やかなものだった。
「でしょうね。お義兄様が必要としている件は両親とも話はついています。どうされますか?」
シリルお兄様は一瞬動揺したように目を見開いたが、すぐに険しい表情に戻る。そして、ユリを鋭い目で見据えた。
「待て、ユリドレ・レッドナイト。あまりにも知りすぎている。知っていることを全て話せ。信用できない。」
その強い言葉にも、ユリは微動だにせず、穏やかな態度を崩さなかった。
「良いでしょう。ですが、明日でもよろしいですか?」
「…何故だ。」
「お疲れでしょうし、少し頭を整理されたほうが良いですよ。俺は逃げませんよ。」
その冷静な返答に、シリルお兄様は少し肩の力を抜いたように見えた。そして短く「…わかった。休ませてもらおう。」と応じた。
ユリが手で軽く合図を送ると、待機していた使用人が現れ、丁寧な仕草でシリルお兄様を別の賓客室へと案内していった。その背中を見送りながら、私は胸の奥に言いようのない不安が広がるのを感じた。
そして、自室に戻った私たちは、ベッドの上に腰を下ろしていた。ユリが隣で黙って座っていると、その温かい存在が私を安心させてくれる。けれど、私はどうしても気になってしまい、彼に問いかけた。
「ユリ、どうしてそんなにお兄様のことを知っているの?」
彼は私の手を握り、穏やかに微笑んだ。その笑顔には、全てを包み隠そうとする意図があるのが分かった。
「ん?メイを…いや、ブルービショップ家を相手にしているから、何通りもの可能性を考えて慎重に行動しているだけですよ。そのうちの1つが的中したまでです。」
彼の答えは曖昧だったけれど、その言葉に込められた確信に、私はそれ以上追及することを躊躇した。
「ユリ、疲れない?大丈夫?」
私が心配そうに尋ねると、彼はさらに微笑みを深め、私の手をそっと引き寄せた。
「メイが側にいる限り、俺は疲れを知りません。」
その言葉に胸がじんわりと温かくなる。こんなにも私を大切に思ってくれる彼の存在が、私の全てを支えているのだと改めて感じた。
「そう?私にできることがあったら何でも言ってね?」
その瞬間、彼は一瞬だけいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「なら、今癒してもらっても?」
突然、ズイッと距離を縮めてきたユリの顔が、ほんの数センチ先にある。鼻が触れそうなほどの近さに、私の頬が一気に熱くなる。
「え!?今から!?」
「正直、途中で邪魔されて腹が立っておりまして。それに今“何でも”と…。」
その表情は冗談半分のように見えて、目には本気の色が宿っている。
「ず、ずるいわ!ユリ!!だから、その顔で言われたら断れないって…。」
気づけば、ユリの手が私の肩に触れて、そっと押し倒されていた。彼の瞳には、私への愛情と情熱が溢れていて、私はただその感情を受け止めるしかなかった。
「母上に感謝しないといけませんね。」
彼の言葉に、私は困惑しながらもユリの行動に引き込まれていった。部屋の中に広がる静かな夜の空気が、私たちを優しく包み込んでいた。
――――――――
―――――
翌日、目が覚めると昼過ぎだった。
カーテンの隙間から柔らかな光が差し込み、私はまどろみの中でゆっくりと目を開けた。少しぼんやりした頭でベッドから起き上がり、部屋を見渡す。すると、目に飛び込んできたのは、ルーと遊ぶユリの姿だった。
ユリは小さな木の積み木を使って塔を作り、それをルーが嬉しそうに壊している。そんな二人の穏やかな光景を見て、私は思わず微笑んだ。すると、ユリがすぐに私に気づき、柔らかな声で言った。
「おはようございます、メイ。」
その声に続いて、ルーが少しつたない言葉で「おあよー!ままー!」と嬉しそうに叫んだ。その愛らしい声が胸に染み渡る。
「おはよう、ルー。ユリ。」
私も自然と笑顔になりながら返事をする。しかし、次の瞬間、ふと昨夜の出来事が頭をよぎり、胸の奥がドキッとする。
「って!お兄様とお話する約束は!?」
慌ててそう叫ぶと、ユリはまるで予想していたかのように穏やかな笑みを浮かべた。
「すみません、メイがあまりにも気持ちよさそうに眠っておりましたので、朝のうちに済ませてしまいました。」
「えっ、もう話したの?それならどうして起こしてくれなかったの?」
私は少し焦ったように問いかける。兄との重要な話し合いを自分が見逃してしまったことが、妙に落ち着かない。
「メイが昨晩の…少し激しくしてしまったので、疲れているのはわかっていましたし、シリル様もそれを理解しておられました。お話は無事に終わりましたので、心配はいりませんよ。」
ユリの声は優しく、まるで全てが問題なく進んでいると確信させるかのようだった。その言葉に、少しだけ安堵しながらも、何となく腑に落ちない気持ちが残る。
「お兄様はなんて?」
「感謝をされました。」
「それだけ?」
「はい。」
ユリの簡潔な答えに、何か物足りなさを感じながらも、それ以上の追及は控えるべきだと直感的に思った。
「そう…。でも、やっぱり私も聞きたかった。」
「大丈夫ですよ、メイ。お義兄様はしばらくこの家で療養されるようですから、いつでも話す機会はあります。それに、今日もいくつか予定があるでしょう?」
「そうね。」
ユリの冷静な言葉に、再び安心感が広がった。そして同時に、彼が常に私たちのことを考え、先回りして行動してくれていることが伝わり、感謝の気持ちが湧き上がる。
「わかったわ。でも、本当に無茶はしないでね。もう私はユリ無しじゃ生きていけないんだからね!」
そう言うと、ユリは嬉しそうに微笑み、私の手をそっと握り返した。その笑顔を見ると、胸がじんわりと温かくなる。
「この笑顔を守りたい」――そんな思いが自然と湧き上がる。
私は改めて、これからやるべきことに心を向けた。ルーの未来を守るためには、今の幸せに甘んじるだけではいけない。社交界に出て、しっかりとルーの後ろ盾を固めなければならないと、強く心に誓った。
昼食を終えた後、ユリとルーが遊んでいる声を背に、私は書斎に腰を下ろし、机に山積みされた招待状の束を見つめた。封筒の色や装飾はさまざまで、それぞれの送り主がどれほど力を入れているかがうかがえる。私はその数の多さに気が遠くなる思いだった。
「これ、全部私宛なのね。」
呟きながら、一つ手に取り、中身を確認する。きらびやかな金箔の文字が目に飛び込むが、内容は「ぜひお越しください」という型にはまった文面。それでも送り主の名が、各界の名士や貴族たちで埋め尽くされているのを見て、私はため息をついた。
「メイ、あなたの存在は今や注目の的ですからね。」
ユリが書斎のドア枠に寄りかかりながら言った。その言葉には軽い調子を装いつつも、誇らしさが滲んでいるのがわかる。
「う…過去の自分が憎い。」
つい本音が漏れる。前世では名家の娘として育った経験が、今や完全に裏目に出ている。社交界における立ち回り方を知っていることが、かえって自分をこの状況に追い込んでいるように感じた。
「俺がちゃんと付き添いますから、そんなに気構えなくても良いですよ。茶会も俺が透明になって側についています。」
ユリがそっと私の肩に手を置き、優しく微笑む。その言葉に少し救われる気持ちになったが、同時に苦笑も浮かんだ。
「ユリ、それって、私に誰かが意地悪しないように監視するってこと?」
「もちろんです。あなたに嫌な思いをさせる者は許しませんからね。」
その真剣な表情に、思わず頬が緩む。ユリの過保護とも言える態度は、時に呆れるけれど、確かな愛情が伝わってくる。
「まずはどれから行くべきかしら…?」
私は積み上げられた招待状の中から、いくつかを手に取って内容を確認した。送り主の名前を見て、日程を確認する。あまり気の乗らないものもあれば、興味を引かれるものもある。
「お茶会や小規模な集まりに順次出席すればいいと思います。」
ユリが冷静に助言する。彼の言葉は的を射ていて、私の考えを整理してくれる。
「そうね。大規模なパーティーより、まずは小さな集まりから慣らしていったほうがいいかもしれないわね。」
ユリはゆっくりと立ち上がり、落ち着いた足取りでシリルお兄様に歩み寄った。その姿には、一切の敵意や焦りはなく、むしろ静かな威厳すら漂っていた。
「メイを守るためなら、どんな犠牲も惜しくはない。俺の行動は恐らくですが、正しいのでは?」
その言葉に、シリルお兄様は少し目を伏せ、深く息を吐いた。疲れた表情の中に、わずかな後悔と迷いが見え隠れしている。
「そういう意味では正しいな。すまない。また無礼を働いてしまった。気が動転しているんだ。」
彼の言葉に、ユリは静かに微笑んだ。その笑顔は、挑発でも勝利の表情でもなく、ただ相手を受け入れる穏やかなものだった。
「でしょうね。お義兄様が必要としている件は両親とも話はついています。どうされますか?」
シリルお兄様は一瞬動揺したように目を見開いたが、すぐに険しい表情に戻る。そして、ユリを鋭い目で見据えた。
「待て、ユリドレ・レッドナイト。あまりにも知りすぎている。知っていることを全て話せ。信用できない。」
その強い言葉にも、ユリは微動だにせず、穏やかな態度を崩さなかった。
「良いでしょう。ですが、明日でもよろしいですか?」
「…何故だ。」
「お疲れでしょうし、少し頭を整理されたほうが良いですよ。俺は逃げませんよ。」
その冷静な返答に、シリルお兄様は少し肩の力を抜いたように見えた。そして短く「…わかった。休ませてもらおう。」と応じた。
ユリが手で軽く合図を送ると、待機していた使用人が現れ、丁寧な仕草でシリルお兄様を別の賓客室へと案内していった。その背中を見送りながら、私は胸の奥に言いようのない不安が広がるのを感じた。
そして、自室に戻った私たちは、ベッドの上に腰を下ろしていた。ユリが隣で黙って座っていると、その温かい存在が私を安心させてくれる。けれど、私はどうしても気になってしまい、彼に問いかけた。
「ユリ、どうしてそんなにお兄様のことを知っているの?」
彼は私の手を握り、穏やかに微笑んだ。その笑顔には、全てを包み隠そうとする意図があるのが分かった。
「ん?メイを…いや、ブルービショップ家を相手にしているから、何通りもの可能性を考えて慎重に行動しているだけですよ。そのうちの1つが的中したまでです。」
彼の答えは曖昧だったけれど、その言葉に込められた確信に、私はそれ以上追及することを躊躇した。
「ユリ、疲れない?大丈夫?」
私が心配そうに尋ねると、彼はさらに微笑みを深め、私の手をそっと引き寄せた。
「メイが側にいる限り、俺は疲れを知りません。」
その言葉に胸がじんわりと温かくなる。こんなにも私を大切に思ってくれる彼の存在が、私の全てを支えているのだと改めて感じた。
「そう?私にできることがあったら何でも言ってね?」
その瞬間、彼は一瞬だけいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「なら、今癒してもらっても?」
突然、ズイッと距離を縮めてきたユリの顔が、ほんの数センチ先にある。鼻が触れそうなほどの近さに、私の頬が一気に熱くなる。
「え!?今から!?」
「正直、途中で邪魔されて腹が立っておりまして。それに今“何でも”と…。」
その表情は冗談半分のように見えて、目には本気の色が宿っている。
「ず、ずるいわ!ユリ!!だから、その顔で言われたら断れないって…。」
気づけば、ユリの手が私の肩に触れて、そっと押し倒されていた。彼の瞳には、私への愛情と情熱が溢れていて、私はただその感情を受け止めるしかなかった。
「母上に感謝しないといけませんね。」
彼の言葉に、私は困惑しながらもユリの行動に引き込まれていった。部屋の中に広がる静かな夜の空気が、私たちを優しく包み込んでいた。
――――――――
―――――
翌日、目が覚めると昼過ぎだった。
カーテンの隙間から柔らかな光が差し込み、私はまどろみの中でゆっくりと目を開けた。少しぼんやりした頭でベッドから起き上がり、部屋を見渡す。すると、目に飛び込んできたのは、ルーと遊ぶユリの姿だった。
ユリは小さな木の積み木を使って塔を作り、それをルーが嬉しそうに壊している。そんな二人の穏やかな光景を見て、私は思わず微笑んだ。すると、ユリがすぐに私に気づき、柔らかな声で言った。
「おはようございます、メイ。」
その声に続いて、ルーが少しつたない言葉で「おあよー!ままー!」と嬉しそうに叫んだ。その愛らしい声が胸に染み渡る。
「おはよう、ルー。ユリ。」
私も自然と笑顔になりながら返事をする。しかし、次の瞬間、ふと昨夜の出来事が頭をよぎり、胸の奥がドキッとする。
「って!お兄様とお話する約束は!?」
慌ててそう叫ぶと、ユリはまるで予想していたかのように穏やかな笑みを浮かべた。
「すみません、メイがあまりにも気持ちよさそうに眠っておりましたので、朝のうちに済ませてしまいました。」
「えっ、もう話したの?それならどうして起こしてくれなかったの?」
私は少し焦ったように問いかける。兄との重要な話し合いを自分が見逃してしまったことが、妙に落ち着かない。
「メイが昨晩の…少し激しくしてしまったので、疲れているのはわかっていましたし、シリル様もそれを理解しておられました。お話は無事に終わりましたので、心配はいりませんよ。」
ユリの声は優しく、まるで全てが問題なく進んでいると確信させるかのようだった。その言葉に、少しだけ安堵しながらも、何となく腑に落ちない気持ちが残る。
「お兄様はなんて?」
「感謝をされました。」
「それだけ?」
「はい。」
ユリの簡潔な答えに、何か物足りなさを感じながらも、それ以上の追及は控えるべきだと直感的に思った。
「そう…。でも、やっぱり私も聞きたかった。」
「大丈夫ですよ、メイ。お義兄様はしばらくこの家で療養されるようですから、いつでも話す機会はあります。それに、今日もいくつか予定があるでしょう?」
「そうね。」
ユリの冷静な言葉に、再び安心感が広がった。そして同時に、彼が常に私たちのことを考え、先回りして行動してくれていることが伝わり、感謝の気持ちが湧き上がる。
「わかったわ。でも、本当に無茶はしないでね。もう私はユリ無しじゃ生きていけないんだからね!」
そう言うと、ユリは嬉しそうに微笑み、私の手をそっと握り返した。その笑顔を見ると、胸がじんわりと温かくなる。
「この笑顔を守りたい」――そんな思いが自然と湧き上がる。
私は改めて、これからやるべきことに心を向けた。ルーの未来を守るためには、今の幸せに甘んじるだけではいけない。社交界に出て、しっかりとルーの後ろ盾を固めなければならないと、強く心に誓った。
昼食を終えた後、ユリとルーが遊んでいる声を背に、私は書斎に腰を下ろし、机に山積みされた招待状の束を見つめた。封筒の色や装飾はさまざまで、それぞれの送り主がどれほど力を入れているかがうかがえる。私はその数の多さに気が遠くなる思いだった。
「これ、全部私宛なのね。」
呟きながら、一つ手に取り、中身を確認する。きらびやかな金箔の文字が目に飛び込むが、内容は「ぜひお越しください」という型にはまった文面。それでも送り主の名が、各界の名士や貴族たちで埋め尽くされているのを見て、私はため息をついた。
「メイ、あなたの存在は今や注目の的ですからね。」
ユリが書斎のドア枠に寄りかかりながら言った。その言葉には軽い調子を装いつつも、誇らしさが滲んでいるのがわかる。
「う…過去の自分が憎い。」
つい本音が漏れる。前世では名家の娘として育った経験が、今や完全に裏目に出ている。社交界における立ち回り方を知っていることが、かえって自分をこの状況に追い込んでいるように感じた。
「俺がちゃんと付き添いますから、そんなに気構えなくても良いですよ。茶会も俺が透明になって側についています。」
ユリがそっと私の肩に手を置き、優しく微笑む。その言葉に少し救われる気持ちになったが、同時に苦笑も浮かんだ。
「ユリ、それって、私に誰かが意地悪しないように監視するってこと?」
「もちろんです。あなたに嫌な思いをさせる者は許しませんからね。」
その真剣な表情に、思わず頬が緩む。ユリの過保護とも言える態度は、時に呆れるけれど、確かな愛情が伝わってくる。
「まずはどれから行くべきかしら…?」
私は積み上げられた招待状の中から、いくつかを手に取って内容を確認した。送り主の名前を見て、日程を確認する。あまり気の乗らないものもあれば、興味を引かれるものもある。
「お茶会や小規模な集まりに順次出席すればいいと思います。」
ユリが冷静に助言する。彼の言葉は的を射ていて、私の考えを整理してくれる。
「そうね。大規模なパーティーより、まずは小さな集まりから慣らしていったほうがいいかもしれないわね。」
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく
星乃和花
恋愛
縁談に悩む子爵令嬢リゼットが助けを求めたのは、名門侯爵家の長男アルフレッド。
穏やかでやさしく、理想のお兄様のような彼は、「君のことは僕が見ている」と甘く手を差し伸べてくれる。
送り迎え、花や手紙、完璧なエスコート。
守られているだけのはずが、気づけば周囲には「彼女はもうノースウェル侯爵家のもの」という空気ができあがっていて――。
ふわふわ優しいのに、実はかなり策略家。
やさしく逃げ道をなくしてくるお兄様系ヒーローに、恋愛に疎い令嬢がじわじわ囲い落とされていく、甘くて幸せな溺愛ラブストーリー。
――「待つよ」と言いながら、外堀はきっちり埋めてくる――
(完結済ー本編10話+後日談2話)
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。