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序章 始まりで擦り潰される
1.あるあるスタートです
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「気が付きましたか?あなた死んでしまったのです。」
はい、きた~。
あるある転生ものね。
あれ?でもちょっと待って。これって俺のこと?
俺死んじゃったの?
思い返してみても直前の記憶がなんだか思い出せない。
「はい、あなたは死にました。信じられないと思いますので、証拠に今のあなたの姿を見ますか?」
俺の目の前にいるのは、ただ白い布を羽織っただけのような、胸元が開いてるずいぶんと露出が多いひらひらした素材のワンピース姿の金髪碧眼のお姉さんだ。
顔つきも到底日本人のそれではなく、ヨーロッパ?とかの白人っぽい。
そのお姉さんが何も持っていなかった手のひらに手品のようにサッと手鏡を手に出現させて俺を写した。
「お?スゲッ。手品?・・・というか、俺タマシイ?」
手鏡に映っているのは黄色く燃える炎そのもの。
俺は黄色く燃える魂になっていた。
よく考えてみると目で見てるわけではないのか、意識すると周囲も360度ぐるりと見渡せてる。不思議な感覚だ。
どう見ても口はないから、お姉さんとも心の声で話しているっぽい。
今いる空間もこの世のものとは思えない。
何もない。ただただ真っ白な空間だ。どこまで奥行があるのか、狭いのか、広いのかも判別できない。
さらには目の前の金髪碧眼のお姉さんの影さえも映っていない。
「理解していただけましたか?
私は女神ファラ。死んだ魂を導いています。
そう・・・。残念ながらあなたは死んでしまったのです。」
女神ファラと名乗ったお姉さんは同情すると言わんばかりに眉を落とし、悲しみの表情をする。
だがしかし、状況を把握した俺は、
「やったぜ!ハハハハハ!」
嬉しさのあまり、大声を上げて笑ってしまった。
心の底から嬉しさが込み上げてくる。顎が外れるくらい口を開けての大笑いが止まらない。口ないんだけど?
理由は決まっている。
ラノベの異世界転生ものみたいなことがほんとに死んでもあるんだと。
これほど嬉しいことはない!
「あの・・・あなたは死んだことに驚かないのですか?
死んじゃったのですよ!?もう好きな人とかに会えないんですよ?」
他の人とあまりに違う反応だったのか、声を上げて笑う俺に目の前の女神は驚愕を隠せないでいる。
「いや、もう37だったし、結婚もしてないし、好きな人も何にもない。特に未練もないっす。
早く転生させてください。」
「・・・・・」
言葉を失っていた女神は驚いた表情の後に少し寂しそうな顔をした。いや、あれは憐れんでたのかな?
何にも大切なこともなく、未練もない俺を残念な人だと思って憐れんでいたのかな?余計なお世話です。ほっといてください。
そのあとに何も言葉を発しないまま、女神はまた手品のように羽ペンと羊皮紙のようなものを出して、そこになにやらスラスラと書く。
ものの数秒で書き終わり、その刹那その羊皮紙が軽く青白く光った。
一瞬で消えた光の後に、どこから発せられたのか、《承認されました》の声が辺りに響いた。
「えっと、じゃああなたは転生希望ということでいいんですね?
前世でまじめに生きてきたので、もれなく天国の一番いい部屋もらえるはずだったんですけど。」
女神は視線を羊皮紙に向けたまま、言葉だけを俺に向ける。
どうやら、さっきの憐れみの表情と思った顔は、それではなく諦めの表情だったらしい。
だが、そんなことはどうでもいい。
ちょい待ち。女神はさらりとびっくりするようなことを言っている。
「えっ?天国?天国ってあの天国?俺いけるんですか?
じゃあもちろんそっちで!」
俺は喜々として声を弾ませる。
天国に行けるなんて最高だ。
ゴミみたいな生活はしていたが、悪人にならなくてよかったと過去を振り返る。
「えっ!?転生するんですよね?もう承認通っちゃいましたけど!?」
「いやいや、天国でお願いします。」
「いや、ですから承認が・・・」
「いえいえ、天国でお願いします。」
喜ぶ俺と、瞳孔開いちゃった女神。妙な問答を繰り返す。
それもすぐ終わり、女神はまた言葉を失い、表情は固まってしまった。
そして額にだんだん汗が流れ始めた。
あ、これダメなやつだ。
「すみません。承認されたのでもう覆せません。」
やっぱり。そんな気がした。
早とちり女神のおかげで俺は天国に行く機会をもれなく失った、というやつらしい・・・・。
「どうしてくれるんですか!天国行きたかったのに!
あなたは迷える子羊を導くのが仕事なんじゃないんですか!?
ちゃんと説明するのがあなたの役目なんですよね!?」
「だって、わかっている風だったので・・・。それに毎日何人にも何人にも同じことを説明しているから、つい・・・。」
「あなたはプロじゃないんですか?たまには気を抜いてもいいなんて、怠慢といわれてもしょうがないんじゃないですか?」
上司がよく言ってくる理詰めっぽい言葉を浴びせてみる。よく聞けばと大したこと言ってないが、雰囲気出せば意外と効くもんだ。
女神の顔がどんどん青くなっていく。
「どう責任とるつもりですか!」と煽る俺。
「わかりました。チートでも物でもなんでも1つ差し上げますので、何とか転生してもらえないでしょうか!?」
目を閉じて、泣きそうな表情な女神。
両手を握り合い、祈るように俺に懇願する。
どこの世界でも女神でも一緒だな。非があると、なんとか機嫌を取ることに必死だ。しらんけど。
そして1つチートをゲーーーット!
ん?なんだ1つだけか。
あ、いいこと思いついた。
「じゃあ女神様の体裁もあるでしょうから、今回は転生しますよ、今回は!」
俺は恩着せがましく言った。しかし次とかあるのかな?
「ありがとうございます。それではこの羊皮紙の下の空欄になんでも1つ書いてください。
上の方はあなたのステータスなので気にしないでください。」
女神は羽ペンを渡してきた。羊皮紙はふわふわと浮かびながら俺に近寄ってくる。
近づいてくる羊皮紙を見ると簡単な英語と数字で書かれていてなんとか理解することができた。
死後の世界まで共通なんてどんだけなの英語。
「本当に何でもいいんですよね?書いたら即承認なんですよね?」
「なにかすごいものを書こうとするのですね。わかりました。リミットは外しておきます。えい。」
女神は手に短い錫杖を出現させ、円を描くように振るう。
女神が奇跡を起こしている様ではあるのだが、俺にはもうその声に威厳を感じない。全く。
「女神様ありがとうございます。」
俺はあざとくお礼を言って笑顔を作った、つもり。俺そういえば魂のままだった。
羽ペンを受け取った手?黄色い炎が伸びてるだけだった。でも持ててる。なんかおもろい。
俺はその手で羊皮紙に記入を始めた。紙は固くて、浮いたままで書ける。
「ずいぶんかかりますね。一番下の空欄にですよ。」
羊皮紙が光り、またどこからか声が聞こえる。
《承認されました》
女神はほっとした顔をした。
羊皮紙はふわふわと女神の所に戻っていく。
女神は一応確認のために、目を通した。
その大きい目が瞬時に倍近く見開く。
「ひええーーーーっ!!!!!」
女神は魂が抜けるかのように奇声を発して驚いた。
その声を聴いて俺はニヤリ。
「訂正!訂正!」
女神は慌てて錫杖をぶんぶん振っている。
《できません》《できません》
どこからか声が何度も響く。
「さあ、女神様。」
そう声を上げた俺は手を握ったり開いたりして感触を確かめる。
一瞬のうちにもとの人間の姿に戻っていた。しかも若かった20年くらい前の全盛期の身体だ。
実は先ほどの羊皮紙のステータスの所にも書き足したのだ。
Age 0 の所に+20
Level 1 の所に+MAX
HP 10 の所に+∞
MP 0 も+∞
全部に+∞を付けといた。
そしたら即20歳の時の身体になったのだ。
でも髪も顔も前と一緒だけど。さらには裸だけど。
そして空欄に書いたもの。それは・・・。
「女神ファラ様。もうあなたは俺の所有物です。
あなたの身も心も、スキルも加護も全て。」
そう。勝手にステータスも書き加えていたが、女神が言っていた一番下の空欄に書いたのは、
『女神ファラ』
事もあろうに、俺はもらえるものとして、女神ファラの名前を書いたのだ。
俺の言葉を聞いたからか、どうにもできないことが既に分かっているからか、女神はがっくりと膝と手を床について打ちひしがれた。
さあ、期待していただいた皆さま。これからがお待ちかねの時間です。
カオスゲージ
〔Law and order +[95]++++++++ Chaos〕
はい、きた~。
あるある転生ものね。
あれ?でもちょっと待って。これって俺のこと?
俺死んじゃったの?
思い返してみても直前の記憶がなんだか思い出せない。
「はい、あなたは死にました。信じられないと思いますので、証拠に今のあなたの姿を見ますか?」
俺の目の前にいるのは、ただ白い布を羽織っただけのような、胸元が開いてるずいぶんと露出が多いひらひらした素材のワンピース姿の金髪碧眼のお姉さんだ。
顔つきも到底日本人のそれではなく、ヨーロッパ?とかの白人っぽい。
そのお姉さんが何も持っていなかった手のひらに手品のようにサッと手鏡を手に出現させて俺を写した。
「お?スゲッ。手品?・・・というか、俺タマシイ?」
手鏡に映っているのは黄色く燃える炎そのもの。
俺は黄色く燃える魂になっていた。
よく考えてみると目で見てるわけではないのか、意識すると周囲も360度ぐるりと見渡せてる。不思議な感覚だ。
どう見ても口はないから、お姉さんとも心の声で話しているっぽい。
今いる空間もこの世のものとは思えない。
何もない。ただただ真っ白な空間だ。どこまで奥行があるのか、狭いのか、広いのかも判別できない。
さらには目の前の金髪碧眼のお姉さんの影さえも映っていない。
「理解していただけましたか?
私は女神ファラ。死んだ魂を導いています。
そう・・・。残念ながらあなたは死んでしまったのです。」
女神ファラと名乗ったお姉さんは同情すると言わんばかりに眉を落とし、悲しみの表情をする。
だがしかし、状況を把握した俺は、
「やったぜ!ハハハハハ!」
嬉しさのあまり、大声を上げて笑ってしまった。
心の底から嬉しさが込み上げてくる。顎が外れるくらい口を開けての大笑いが止まらない。口ないんだけど?
理由は決まっている。
ラノベの異世界転生ものみたいなことがほんとに死んでもあるんだと。
これほど嬉しいことはない!
「あの・・・あなたは死んだことに驚かないのですか?
死んじゃったのですよ!?もう好きな人とかに会えないんですよ?」
他の人とあまりに違う反応だったのか、声を上げて笑う俺に目の前の女神は驚愕を隠せないでいる。
「いや、もう37だったし、結婚もしてないし、好きな人も何にもない。特に未練もないっす。
早く転生させてください。」
「・・・・・」
言葉を失っていた女神は驚いた表情の後に少し寂しそうな顔をした。いや、あれは憐れんでたのかな?
何にも大切なこともなく、未練もない俺を残念な人だと思って憐れんでいたのかな?余計なお世話です。ほっといてください。
そのあとに何も言葉を発しないまま、女神はまた手品のように羽ペンと羊皮紙のようなものを出して、そこになにやらスラスラと書く。
ものの数秒で書き終わり、その刹那その羊皮紙が軽く青白く光った。
一瞬で消えた光の後に、どこから発せられたのか、《承認されました》の声が辺りに響いた。
「えっと、じゃああなたは転生希望ということでいいんですね?
前世でまじめに生きてきたので、もれなく天国の一番いい部屋もらえるはずだったんですけど。」
女神は視線を羊皮紙に向けたまま、言葉だけを俺に向ける。
どうやら、さっきの憐れみの表情と思った顔は、それではなく諦めの表情だったらしい。
だが、そんなことはどうでもいい。
ちょい待ち。女神はさらりとびっくりするようなことを言っている。
「えっ?天国?天国ってあの天国?俺いけるんですか?
じゃあもちろんそっちで!」
俺は喜々として声を弾ませる。
天国に行けるなんて最高だ。
ゴミみたいな生活はしていたが、悪人にならなくてよかったと過去を振り返る。
「えっ!?転生するんですよね?もう承認通っちゃいましたけど!?」
「いやいや、天国でお願いします。」
「いや、ですから承認が・・・」
「いえいえ、天国でお願いします。」
喜ぶ俺と、瞳孔開いちゃった女神。妙な問答を繰り返す。
それもすぐ終わり、女神はまた言葉を失い、表情は固まってしまった。
そして額にだんだん汗が流れ始めた。
あ、これダメなやつだ。
「すみません。承認されたのでもう覆せません。」
やっぱり。そんな気がした。
早とちり女神のおかげで俺は天国に行く機会をもれなく失った、というやつらしい・・・・。
「どうしてくれるんですか!天国行きたかったのに!
あなたは迷える子羊を導くのが仕事なんじゃないんですか!?
ちゃんと説明するのがあなたの役目なんですよね!?」
「だって、わかっている風だったので・・・。それに毎日何人にも何人にも同じことを説明しているから、つい・・・。」
「あなたはプロじゃないんですか?たまには気を抜いてもいいなんて、怠慢といわれてもしょうがないんじゃないですか?」
上司がよく言ってくる理詰めっぽい言葉を浴びせてみる。よく聞けばと大したこと言ってないが、雰囲気出せば意外と効くもんだ。
女神の顔がどんどん青くなっていく。
「どう責任とるつもりですか!」と煽る俺。
「わかりました。チートでも物でもなんでも1つ差し上げますので、何とか転生してもらえないでしょうか!?」
目を閉じて、泣きそうな表情な女神。
両手を握り合い、祈るように俺に懇願する。
どこの世界でも女神でも一緒だな。非があると、なんとか機嫌を取ることに必死だ。しらんけど。
そして1つチートをゲーーーット!
ん?なんだ1つだけか。
あ、いいこと思いついた。
「じゃあ女神様の体裁もあるでしょうから、今回は転生しますよ、今回は!」
俺は恩着せがましく言った。しかし次とかあるのかな?
「ありがとうございます。それではこの羊皮紙の下の空欄になんでも1つ書いてください。
上の方はあなたのステータスなので気にしないでください。」
女神は羽ペンを渡してきた。羊皮紙はふわふわと浮かびながら俺に近寄ってくる。
近づいてくる羊皮紙を見ると簡単な英語と数字で書かれていてなんとか理解することができた。
死後の世界まで共通なんてどんだけなの英語。
「本当に何でもいいんですよね?書いたら即承認なんですよね?」
「なにかすごいものを書こうとするのですね。わかりました。リミットは外しておきます。えい。」
女神は手に短い錫杖を出現させ、円を描くように振るう。
女神が奇跡を起こしている様ではあるのだが、俺にはもうその声に威厳を感じない。全く。
「女神様ありがとうございます。」
俺はあざとくお礼を言って笑顔を作った、つもり。俺そういえば魂のままだった。
羽ペンを受け取った手?黄色い炎が伸びてるだけだった。でも持ててる。なんかおもろい。
俺はその手で羊皮紙に記入を始めた。紙は固くて、浮いたままで書ける。
「ずいぶんかかりますね。一番下の空欄にですよ。」
羊皮紙が光り、またどこからか声が聞こえる。
《承認されました》
女神はほっとした顔をした。
羊皮紙はふわふわと女神の所に戻っていく。
女神は一応確認のために、目を通した。
その大きい目が瞬時に倍近く見開く。
「ひええーーーーっ!!!!!」
女神は魂が抜けるかのように奇声を発して驚いた。
その声を聴いて俺はニヤリ。
「訂正!訂正!」
女神は慌てて錫杖をぶんぶん振っている。
《できません》《できません》
どこからか声が何度も響く。
「さあ、女神様。」
そう声を上げた俺は手を握ったり開いたりして感触を確かめる。
一瞬のうちにもとの人間の姿に戻っていた。しかも若かった20年くらい前の全盛期の身体だ。
実は先ほどの羊皮紙のステータスの所にも書き足したのだ。
Age 0 の所に+20
Level 1 の所に+MAX
HP 10 の所に+∞
MP 0 も+∞
全部に+∞を付けといた。
そしたら即20歳の時の身体になったのだ。
でも髪も顔も前と一緒だけど。さらには裸だけど。
そして空欄に書いたもの。それは・・・。
「女神ファラ様。もうあなたは俺の所有物です。
あなたの身も心も、スキルも加護も全て。」
そう。勝手にステータスも書き加えていたが、女神が言っていた一番下の空欄に書いたのは、
『女神ファラ』
事もあろうに、俺はもらえるものとして、女神ファラの名前を書いたのだ。
俺の言葉を聞いたからか、どうにもできないことが既に分かっているからか、女神はがっくりと膝と手を床について打ちひしがれた。
さあ、期待していただいた皆さま。これからがお待ちかねの時間です。
カオスゲージ
〔Law and order +[95]++++++++ Chaos〕
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