14 / 17
ヤット タビニデル
ミッション1-10 襲来
しおりを挟む
「いや、まさか王子ご自身がいらっしゃるなんて、驚きましたよ。ようこそ。ウチの酒の味は、どうです?」
驚きを隠せていない店長が、矢継ぎ早に質問を並べるのが聞こえる。
これあれですよ。王子の目的次第じゃさらに騒がしくなるよっ。
そんでもって私は何となく気まずくて振り向けずにいた。
ファーストコンタクト以来、王子、初登場なんですけど!なに?何だろ?胸騒ぎがする!
「明日、この街を出ます」
やったぜ!
「その前に、どうしてももう1度、会いたい人がいて…」
背中を向けていても分かる王子の色気を含ませたため息。じっと動かない視線。
そして、さらにまずいのは洗う食器がなくなったことだろうか…。
「て、店長。終わりました!」
「ああ!なら裏の掃除だ!」
「はい!」
私の焦りが通じたのか、それとも情報屋として知ったのか。
店長は明らかに私を王子から遠ざけようとしてくれている。
ありがとうございます店長。このご恩は忘れry。
「待って」
断りもなくカウンター内に入ってきた王子が優雅な所作で私の手を取る。私の背中には冷や汗が流れる。
「今夜。どうか少しだけ貴方の時間を下さい」
「いやです」
つい、即答してしまった
◆ ◆ ◆
俺は落としそうになった食器を意地でも落とすまいとしながらカウンターの店長さんに渡す。そして素早くおっちゃんを振り返ると、腕組みして目を閉じてもんっのすんごい渋面で口を真一文字に結んでいた。
おい、ちょっとおっちゃん。話がある。いつの間に王子がこんなにこじらせてたのか説明しろ。
睨みながら念じてみたが、おっちゃんは微動だにしない。
え?何?俺、王子を殴る勢いだけどいいの?
「いやあ!王子さま。お酒に弱かったんですね?」
すぱん!と手刀で王子の手を叩き落として俺はにっこり笑ってみせる。
「ちょっ、兄!」
ダメだ妹!ここで気を遣ったら付け入られる!
妹を背に隠しながら王子とおっちゃんの出方を待つ。他の客も突然のことに完全に観客状態だ。
「ふふ、本当に過保護なんですね」
微笑む余裕のある王子に内心で舌打ちしながら俺の王子警戒レベルを上げていく。
いくら何でも初対面以降、2度目の接触の今日でデートに誘ってんじゃねぇぞ!!
「ええ。世界一かわいい俺の妹ですから」
真剣に答えれば、王子の微笑みが深みを増す。
「お願いです。妹さんとお話をさせて下さい」
「引き際の悪い男は好かれませんよ?」
即答しただろうが俺の妹は。
◆ ◆ ◆
重い、空気が重い。兄が背中に隠してくれていなかったら、逃げ出すレベルだ。
ああっ店長!せっかくの離れるチャンスをムダにしてごめんなさいっ。
静まり返る店内。心臓が爆発するんじゃないかってくらい音を立てている。
そこに、この静けさを破る聞き覚えのある声がした。
「え?みんな、どうしたの?」
「お、王子様?!」
ヒロインちゃんと幼馴染くん!
何気にちゃんと見るのは初めてだけど、幼馴染くんは分かりやすい王道ツンデレ系の外見をしていた。
わー、かわいい。じゃなかった…。
王子とヒロインちゃんのセットなんて危なすぎるのでは?!
そんなことに気を取られていると、王子がヒロインちゃんを振り返っている。
「おや、先日のお嬢さんではありませんか。お話してくれた、お手伝いに来たのですか?」
へ?王子ってばヒロインちゃんと面識あるの?先日とは何のお話ですか?
ポカンとしてしまう私と、渋面の兄とおじさまと店長。幼馴染くんはヒロインちゃんと王子の顔を交互に見て慌てていた。
驚きを隠せていない店長が、矢継ぎ早に質問を並べるのが聞こえる。
これあれですよ。王子の目的次第じゃさらに騒がしくなるよっ。
そんでもって私は何となく気まずくて振り向けずにいた。
ファーストコンタクト以来、王子、初登場なんですけど!なに?何だろ?胸騒ぎがする!
「明日、この街を出ます」
やったぜ!
「その前に、どうしてももう1度、会いたい人がいて…」
背中を向けていても分かる王子の色気を含ませたため息。じっと動かない視線。
そして、さらにまずいのは洗う食器がなくなったことだろうか…。
「て、店長。終わりました!」
「ああ!なら裏の掃除だ!」
「はい!」
私の焦りが通じたのか、それとも情報屋として知ったのか。
店長は明らかに私を王子から遠ざけようとしてくれている。
ありがとうございます店長。このご恩は忘れry。
「待って」
断りもなくカウンター内に入ってきた王子が優雅な所作で私の手を取る。私の背中には冷や汗が流れる。
「今夜。どうか少しだけ貴方の時間を下さい」
「いやです」
つい、即答してしまった
◆ ◆ ◆
俺は落としそうになった食器を意地でも落とすまいとしながらカウンターの店長さんに渡す。そして素早くおっちゃんを振り返ると、腕組みして目を閉じてもんっのすんごい渋面で口を真一文字に結んでいた。
おい、ちょっとおっちゃん。話がある。いつの間に王子がこんなにこじらせてたのか説明しろ。
睨みながら念じてみたが、おっちゃんは微動だにしない。
え?何?俺、王子を殴る勢いだけどいいの?
「いやあ!王子さま。お酒に弱かったんですね?」
すぱん!と手刀で王子の手を叩き落として俺はにっこり笑ってみせる。
「ちょっ、兄!」
ダメだ妹!ここで気を遣ったら付け入られる!
妹を背に隠しながら王子とおっちゃんの出方を待つ。他の客も突然のことに完全に観客状態だ。
「ふふ、本当に過保護なんですね」
微笑む余裕のある王子に内心で舌打ちしながら俺の王子警戒レベルを上げていく。
いくら何でも初対面以降、2度目の接触の今日でデートに誘ってんじゃねぇぞ!!
「ええ。世界一かわいい俺の妹ですから」
真剣に答えれば、王子の微笑みが深みを増す。
「お願いです。妹さんとお話をさせて下さい」
「引き際の悪い男は好かれませんよ?」
即答しただろうが俺の妹は。
◆ ◆ ◆
重い、空気が重い。兄が背中に隠してくれていなかったら、逃げ出すレベルだ。
ああっ店長!せっかくの離れるチャンスをムダにしてごめんなさいっ。
静まり返る店内。心臓が爆発するんじゃないかってくらい音を立てている。
そこに、この静けさを破る聞き覚えのある声がした。
「え?みんな、どうしたの?」
「お、王子様?!」
ヒロインちゃんと幼馴染くん!
何気にちゃんと見るのは初めてだけど、幼馴染くんは分かりやすい王道ツンデレ系の外見をしていた。
わー、かわいい。じゃなかった…。
王子とヒロインちゃんのセットなんて危なすぎるのでは?!
そんなことに気を取られていると、王子がヒロインちゃんを振り返っている。
「おや、先日のお嬢さんではありませんか。お話してくれた、お手伝いに来たのですか?」
へ?王子ってばヒロインちゃんと面識あるの?先日とは何のお話ですか?
ポカンとしてしまう私と、渋面の兄とおじさまと店長。幼馴染くんはヒロインちゃんと王子の顔を交互に見て慌てていた。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる