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3話
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ただいまー。お先でしたー」
いつもの挨拶で売り場に戻ると、
やっぱり悠ちゃんも暇を持て余してたらしく、商品のディスプレイをよけて普段届かない所の細かい掃除をしていた。
「おかえりなさいでーす。
暇過ぎて暇過ぎて、今日の売り上げヤバイですよー」
「ねぇ……どうしよ……」
といっても私も悠ちゃんもただの平社員だから売り上げが低迷すると怒られるのは店長だ。
その店長は有給とって彼氏とラブラブ中。
まぁ、今の時期の暇な時しか有給とれないだろうからいいけれど。
ちょっと羨ましい。
「ボーっとしてるのもお客様からみたらよくないし、ディスプレイを変更したり掃除でもしよっかー」
「それなら、だいたいのところ終わっちゃいましたよぉ」
……悠ちゃんってば……相変わらず良く気がついてくれる。
さて、この余った時間。
いかにお客様に足を運んでもらうようにどう見せるかが、販売員の腕の見せ所だ。
「あっ!」
どうしたものかと悩んでいると、悠ちゃんがいきなり大きな声をだした。
「悠ちゃん、そんな大きな声だしたらお客様に迷惑…」
「前の眼鏡のショップに新しい人入ってる!しかもなかなかイケメン!」
前の眼鏡のお店はなかなかイケメンを集めているのが、そこの店長の趣味らしく、結構レベル高い男の人が多い。
店長曰くメガネ男子の流行りは廃れないし、眼鏡を作る時イケメンに調節してもらう方が嬉しいでしょ?との事で……
てゆーか、お客様が男性ならどうするの?
「やっぱりあそこのショップの男性、レベル高い人多い~!
合コンしてくれないかなー?」
「あのねぇ、悠ちゃん……」
そんな悠ちゃんに止めの言葉を吐いたまま、眼鏡ショップに視線移してフリーズ……
さっきの変な男の子……
いた……
眼鏡なんかかけて、爽やかさ倍増で。
あの変な男の子。
見た事がないと思っていたら、あそこのショップの新入り君だったんだ。
「新入り君、なかなかいい線いってますよね!
でも、ちょっと地味系?年上狙いで入社させたのかなぁ?」
聞こえない事をいい事に言いたい放題言いまくる悠ちゃん。
どうやら彼女のお眼鏡にはかなわなかったみたい。
「香奈さんはあーゆーのタイプですか?」
「へっ?私?!」
いきなりの質問にちょっと動揺したけど……
さっきのランチタイムの事を思い出して、考えてみる。
うーん……ない……
その理由は、ドリンクをくれたのは嬉しい誤算だったけど、それ以外の行動が私にとって腹立つ行動でしかなかったから。
「私は……ナシかなぁ……」
「あははっ!香奈さん、真剣に考え過ぎ!
ただ、タイプかどうか聞いただけですよぉ。
ほら、ガン見しちゃってたから爽やか眼鏡君、こっち見てますよ」
「えっ?!」
うわっ本当だっ!
噂の男の子はジッとこっち見てる。
でも、すぐに視線は外されて……先輩店員の話に耳を傾けていた。
その眼差しは真剣そのものなところを見ると、仕事は真面目そうね。
「香奈さん?さっきから、爽やか眼鏡君見過ぎじゃないですか?
もしかして知り合い?」
カンのいい悠ちゃん。
はい、さっきちょっとした知り合いになりましたよ。
でも、わざわざ言う事もないと思って
「ううん、知らない人」
うん、知らない人だから嘘じゃない。
「ホントですかぁ?香奈さんが男の人に興味持つの珍しいから、てっきり知り合いとかだと…
あっ!もしかして昔の片思いの相手とか?」
「んなわけないでしょ?」
悠ちゃん夢見過ぎ 。
「でも、香奈さんが男の人の事そんなに見てるなんて不思議。 もしかしてさっきの休憩時間に何かありました?」 うっ……相変わらずとことん鋭い子だ。 そんな私の思いが顔に出てたのか 「えっ!マジですか?」 ホントに悠ちゃんにはかなわない。 「教えて下さいよ~!香奈さんだけズルい!」 両目をつむり、拳を握り締めて悶えている悠ちゃん。 ズルいの使い方間違ってないかい? 「いやっさっき、休憩時間一緒になっただけよ。 ホントそれだけ」 別にわざわざ説明するのも面倒だから、ここはもう大まかに言っておく。 女子はホントに異性が絡む話が好きだなぁ……とこの子を見ていたらつくづく思う。 ギャーギャー言う悠ちゃんを放置して、私はディスプレイの作業に取り掛かった。
「あっ!」
どうしたものかと悩んでいると、悠ちゃんがいきなり大きな声をだした。
「悠ちゃん、そんな大きな声だしたらお客様に迷惑…」
「前の眼鏡のショップに新しい人入ってる!しかもなかなかイケメン!」
前の眼鏡のお店はなかなかイケメンを集めているのが、そこの店長の趣味らしく、結構レベル高い男の人が多い。
店長曰くメガネ男子の流行りは廃れないし、眼鏡を作る時イケメンに調節してもらう方が嬉しいでしょ?との事で……
てゆーか、お客様が男性ならどうするの?
「やっぱりあそこのショップの男性、レベル高い人多い~!
合コンしてくれないかなー?」
「あのねぇ、悠ちゃん……」
そんな悠ちゃんに止めの言葉を吐いたまま、眼鏡ショップに視線移してフリーズ……
さっきの変な男の子……
いた……
眼鏡なんかかけて、爽やかさ倍増で。
あの変な男の子。
見た事がないと思っていたら、あそこのショップの新入り君だったんだ。
「新入り君、なかなかいい線いってますよね!
でも、ちょっと地味系?年上狙いで入社させたのかなぁ?」
聞こえない事をいい事に言いたい放題言いまくる悠ちゃん。
どうやら彼女のお眼鏡にはかなわなかったみたい。
「香奈さんはあーゆーのタイプですか?」
「へっ?私?!」
いきなりの質問にちょっと動揺したけど……
さっきのランチタイムの事を思い出して、考えてみる。
うーん……ない……
その理由は、ドリンクをくれたのは嬉しい誤算だったけど、それ以外の行動が私にとって腹立つ行動でしかなかったから。
「私は……ナシかなぁ……」
「あははっ!香奈さん、真剣に考え過ぎ!
ただ、タイプかどうか聞いただけですよぉ。
ほら、ガン見しちゃってたから爽やか眼鏡君、こっち見てますよ」
「えっ?!」
うわっ本当だっ!
噂の男の子はジッとこっち見てる。
でも、すぐに視線は外されて……先輩店員の話に耳を傾けていた。
その眼差しは真剣そのものなところを見ると、仕事は真面目そうね。
「香奈さん?さっきから、爽やか眼鏡君見過ぎじゃないですか?
もしかして知り合い?」
カンのいい悠ちゃん。
はい、さっきちょっとした知り合いになりましたよ。
でも、わざわざ言う事もないと思って
「ううん、知らない人」
うん、知らない人だから嘘じゃない。
「ホントですかぁ?香奈さんが男の人に興味持つの珍しいから、てっきり知り合いとかだと…
あっ!もしかして昔の片思いの相手とか?」
「んなわけないでしょ?」
悠ちゃん夢見過ぎ 。
「でも、香奈さんが男の人の事そんなに見てるなんて不思議。 もしかしてさっきの休憩時間に何かありました?」 うっ……相変わらずとことん鋭い子だ。 そんな私の思いが顔に出てたのか 「えっ!マジですか?」 ホントに悠ちゃんにはかなわない。 「教えて下さいよ~!香奈さんだけズルい!」 両目をつむり、拳を握り締めて悶えている悠ちゃん。 ズルいの使い方間違ってないかい? 「いやっさっき、休憩時間一緒になっただけよ。 ホントそれだけ」 別にわざわざ説明するのも面倒だから、ここはもう大まかに言っておく。 女子はホントに異性が絡む話が好きだなぁ……とこの子を見ていたらつくづく思う。 ギャーギャー言う悠ちゃんを放置して、私はディスプレイの作業に取り掛かった。
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