天国からのラブレター

桜の花の妖精

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天国からのラブレター

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桜の花びらが空から静かに舞い落ちる。都心の公園の一角、彩られたベンチに一人の女性、梨香が座っていた。彼女の手には、折り畳まれた手紙が握られていた。

「梨香へ」

手紙を開くと、すぐに彼女の目に涙が溢れた。この文字、この筆跡は、彼女が一番愛した男性、直樹からのものだった。直樹は一年前の交通事故で亡くなっていた。

「梨香、
もし、この手紙を読んでいるなら、僕はもうこの世界にはいないだろう。事故に遭う前に書いて、もしもの時のために残しておいたんだ。

僕たちの時間は短かったけど、一緒に過ごした日々は、僕の人生の中で最も美しい宝物だった。君が笑うと、世界が明るくなるように感じたし、君が泣くと、僕の心も震えた。

この手紙を読む君が悲しんでいると思うと、胸が痛むよ。でも、君に伝えたいことがある。

生きている間、僕たちは数えきれない制約に縛られている。時間、距離、現実…。でも、今、天国から君を見ている僕は、すべての制約から解放されている。

だから、悲しみの中で迷わないで。君の未来には、まだまだ素晴らしいことが待っている。そして、僕はいつでも、君の側にいる。

最後に、一つお願いがある。この公園で、桜の花が舞う春の日に、僕のために笑顔を見せてほしい。それだけで、僕の心は満足するから。

永遠に君を愛している、
直樹より」

涙を拭いながら、梨香は桜の木の下で空を見上げた。そして、心からの笑顔を浮かべた。彼女は知っていた、直樹が今も、彼女の側にいることを。
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