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40.約束
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「父上はとても不器用で照れ屋なだけで、嫌いではないと思いますよ」
今まで黙っていたアイザックがおもむろにそんなことを言うと、ブリジットは驚いた様子を見せる。
「あら……あなたがそんなことを言ってくれるなんて珍しいわね。でも……ふふ、ありがとう。だと良いわね……」
それから彼女はどこか切なげな笑みを浮かべ、そう呟く。まるで、叶わない夢を見るような口調だった。
「そうですよ。おとうさまは母さまのことを大切に思っています! ただ、どうしようもなく不器用で、気持ちを伝えるのが下手なだけなんです!」
ロゼッタは力強く断言しながら、ニーナの記憶をたどり始める。
昔のコーネリアスも、感情表現が下手だった。
思えば、ニーナの好きだった花を贈ってくれる優しさを見せてくれたときも、無表情でぶっきらぼうだった。
その後、関係が冷えていったのは、おそらくいずれ処刑されるニーナに心を寄せないようにするため、素っ気なくしていたのだろう。
当時の彼はそうするしかなかったのかもしれない。しかし、今なら別の方法があるはずだ。
「あの、母さま、わたしに任せてくれませんか? きっと母さまたちを仲良くしてあげられる方法があるはずです」
だからロゼッタは、真剣に訴えかけた。
わずか六歳の少女にすぎないロゼッタが、長年の不仲だった二人を和解させると言っているのだ。どれだけ荒唐無稽な話なのかはわかっている。
それでも、ニーナの記憶を持って生まれた自分は、絶対に成し遂げなければならないと思った。
コーネリアスとブリジットがお互い幸せになれる未来を、どうしても実現させたかったのだ。
そうすることで、ニーナも救われるような気がした。
「……そんなこと、できるのかしら」
呆気にとられた様子でブリジットはポツリとそう漏らす。不安げではあったが、期待するような眼差しをしているのがわかる。
「はい。任せてください」
「お願い……しても、いいの……?」
わずかにためらう様子を見せた彼女だったが、ロゼッタが大きく深く頷くと、意を決した様子で聞いてくる。
「もちろんです」
ロゼッタは力を込めてはっきりと答える。それを聞いたブリジットは感極まったように目を潤ませた。
「……こんなこと、まだ幼いあなたに頼むなんてどうかしているのだと思うけれど……でも、あなたなら、なんだかわたくしもうまくいく気がしてきたわ……」
そこで言葉を切った彼女は一度深呼吸をし、目元に浮かんだ涙を拭いてから再び口を開いた。
「ロゼッタ、どうかお願いするわ。わたくしたち、家族を仲直りさせてちょうだい……」
「はい、必ず。母さまとの約束を果たします……!」
ロゼッタは決意を込めた声で応え、胸の前でぎゅっと拳を握った。
今まで黙っていたアイザックがおもむろにそんなことを言うと、ブリジットは驚いた様子を見せる。
「あら……あなたがそんなことを言ってくれるなんて珍しいわね。でも……ふふ、ありがとう。だと良いわね……」
それから彼女はどこか切なげな笑みを浮かべ、そう呟く。まるで、叶わない夢を見るような口調だった。
「そうですよ。おとうさまは母さまのことを大切に思っています! ただ、どうしようもなく不器用で、気持ちを伝えるのが下手なだけなんです!」
ロゼッタは力強く断言しながら、ニーナの記憶をたどり始める。
昔のコーネリアスも、感情表現が下手だった。
思えば、ニーナの好きだった花を贈ってくれる優しさを見せてくれたときも、無表情でぶっきらぼうだった。
その後、関係が冷えていったのは、おそらくいずれ処刑されるニーナに心を寄せないようにするため、素っ気なくしていたのだろう。
当時の彼はそうするしかなかったのかもしれない。しかし、今なら別の方法があるはずだ。
「あの、母さま、わたしに任せてくれませんか? きっと母さまたちを仲良くしてあげられる方法があるはずです」
だからロゼッタは、真剣に訴えかけた。
わずか六歳の少女にすぎないロゼッタが、長年の不仲だった二人を和解させると言っているのだ。どれだけ荒唐無稽な話なのかはわかっている。
それでも、ニーナの記憶を持って生まれた自分は、絶対に成し遂げなければならないと思った。
コーネリアスとブリジットがお互い幸せになれる未来を、どうしても実現させたかったのだ。
そうすることで、ニーナも救われるような気がした。
「……そんなこと、できるのかしら」
呆気にとられた様子でブリジットはポツリとそう漏らす。不安げではあったが、期待するような眼差しをしているのがわかる。
「はい。任せてください」
「お願い……しても、いいの……?」
わずかにためらう様子を見せた彼女だったが、ロゼッタが大きく深く頷くと、意を決した様子で聞いてくる。
「もちろんです」
ロゼッタは力を込めてはっきりと答える。それを聞いたブリジットは感極まったように目を潤ませた。
「……こんなこと、まだ幼いあなたに頼むなんてどうかしているのだと思うけれど……でも、あなたなら、なんだかわたくしもうまくいく気がしてきたわ……」
そこで言葉を切った彼女は一度深呼吸をし、目元に浮かんだ涙を拭いてから再び口を開いた。
「ロゼッタ、どうかお願いするわ。わたくしたち、家族を仲直りさせてちょうだい……」
「はい、必ず。母さまとの約束を果たします……!」
ロゼッタは決意を込めた声で応え、胸の前でぎゅっと拳を握った。
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