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39.前世の真実
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「本当は、あの方は婚約者のために心を砕いてくださっていたのよ。ニーナ姫は見せしめのため、もっと残酷に処刑されるはずだった。でも、あの方が必死になって庇ったおかげで、斬首刑になったの。わたくしは、このことを後から知ったわ……」
その事実を知り、ロゼッタは目を丸くする。
一言もニーナに声をかけることなく見捨てたと思っていたコーネリアスが、実は彼女を守るために行動してくれていたというのだ。
彼はずっと、心の片隅ではニーナのことを考えてくれていたのだろう。
ロゼッタは胸の奥がじんわりと熱くなるような気がした。
そして、ニーナが与えた影響が、想像よりも遥かに大きかったことを思い知る。
ニーナがこれほどまでブリジットの心に傷を残していったとは、思いも寄らなかったのだ。
もしかしたら、ブリジットはニーナに己を重ねて見ていたのかもしれない。嫁いできた王女として、明日は我が身と恐れを抱いていたのだろうか。
しかも、コーネリアスとブリジットの不仲は、ニーナが発端になっていたようだ。
それは単に、たまたま激動の始まりと重なったため、錯覚してしまったのかもしれない。
だが、ニーナが二人の関係に影響を与えていたのだと思うと、ロゼッタはいたたまれなくなる。
「……今はもう、おとうさまのことを恨んではいないんですか? 母さまは、おとうさまを嫌ってはいないのですか?」
ロゼッタがそっと問いかけると、ブリジットは静かに目を伏せ、頷く。
「ええ。あの方が国王となったからこそ、この国は平和になったと感謝しているの。それに……あの方がいなかったら、アイザックもロゼッタも生まれてこなかったもの」
慈愛に満ちた眼差しを息子に向け、ブリジットは微笑みかける。それはロゼッタにとって嬉しい言葉だった。
アイザックもそれは同じようで、恥ずかしそうに頬を染めている。普段は冷静な兄が照れる様子が可愛らしくて、ロゼッタはつい口元が緩んだ。
「……先代の国王陛下は、王として立派な方ではあったけれど、その分冷酷でもあったわ。戦が好きで、国を大きくすることに必死だった。かつての王太子殿下も、第二王子殿下も、同じような気性の方だったわ」
ふと思い出したように、ブリジットは語り始める。
「でも、あなたたちのおとうさまは違うでしょう? 先王陛下のように冷徹にはならず、民のことを大切にしてくださる素晴らしい国王陛下だわ」
そう言う彼女の瞳は、とても優しい光を灯していて、本気でそう思っていることがよくわかった。
「つまり、母さまはおとうさまのことを好ましく思っているのですね」
ロゼッタが思わずそう尋ねると、ブリジットは驚いたように瞬きをする。
「そうね……そうなのだろうと思うわ。でも、わたくしは嫌われているから……」
彼女は困ったように笑うと、小さく首を横に振ってみせる。
その事実を知り、ロゼッタは目を丸くする。
一言もニーナに声をかけることなく見捨てたと思っていたコーネリアスが、実は彼女を守るために行動してくれていたというのだ。
彼はずっと、心の片隅ではニーナのことを考えてくれていたのだろう。
ロゼッタは胸の奥がじんわりと熱くなるような気がした。
そして、ニーナが与えた影響が、想像よりも遥かに大きかったことを思い知る。
ニーナがこれほどまでブリジットの心に傷を残していったとは、思いも寄らなかったのだ。
もしかしたら、ブリジットはニーナに己を重ねて見ていたのかもしれない。嫁いできた王女として、明日は我が身と恐れを抱いていたのだろうか。
しかも、コーネリアスとブリジットの不仲は、ニーナが発端になっていたようだ。
それは単に、たまたま激動の始まりと重なったため、錯覚してしまったのかもしれない。
だが、ニーナが二人の関係に影響を与えていたのだと思うと、ロゼッタはいたたまれなくなる。
「……今はもう、おとうさまのことを恨んではいないんですか? 母さまは、おとうさまを嫌ってはいないのですか?」
ロゼッタがそっと問いかけると、ブリジットは静かに目を伏せ、頷く。
「ええ。あの方が国王となったからこそ、この国は平和になったと感謝しているの。それに……あの方がいなかったら、アイザックもロゼッタも生まれてこなかったもの」
慈愛に満ちた眼差しを息子に向け、ブリジットは微笑みかける。それはロゼッタにとって嬉しい言葉だった。
アイザックもそれは同じようで、恥ずかしそうに頬を染めている。普段は冷静な兄が照れる様子が可愛らしくて、ロゼッタはつい口元が緩んだ。
「……先代の国王陛下は、王として立派な方ではあったけれど、その分冷酷でもあったわ。戦が好きで、国を大きくすることに必死だった。かつての王太子殿下も、第二王子殿下も、同じような気性の方だったわ」
ふと思い出したように、ブリジットは語り始める。
「でも、あなたたちのおとうさまは違うでしょう? 先王陛下のように冷徹にはならず、民のことを大切にしてくださる素晴らしい国王陛下だわ」
そう言う彼女の瞳は、とても優しい光を灯していて、本気でそう思っていることがよくわかった。
「つまり、母さまはおとうさまのことを好ましく思っているのですね」
ロゼッタが思わずそう尋ねると、ブリジットは驚いたように瞬きをする。
「そうね……そうなのだろうと思うわ。でも、わたくしは嫌われているから……」
彼女は困ったように笑うと、小さく首を横に振ってみせる。
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