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No.26
しおりを挟む俺はアマリさんに渡された地図を頼りにゴブリン討伐へ向かった。
初めての魔物討伐に不安はあるが魔法も使えるようになったし大丈夫だろう。
道中デスラビットを見つけ試しに火属性魔法『 火の柱』を放ったがオーバーキルだった。
デスラビットを中心とした半径十メートルが焦土と化し全てが灰になった。
余りの威力にかなり驚きはしたがゴブリン討伐への手応えを感じた。
地図に載る場所に近付くと体に魔力を循環させ身体強化をした。
そして息を殺しゴブリンが出てくるのをじっと待った。
しばらくするとゴブリンが三匹現れ俺は魔法の準備を始めた。
( 火の柱がオーバーキルだったからウインドー辺りで行けるかな?)
ゴブリンが横一列に並んだ瞬間を狙い俺は魔法を放った。
「ウインドー!」
風の刃が横一列に並んだ三匹のゴブリンの首を次々と跳ねると側にあった大きな木に当たりそのまま木をなぎ倒した。
ドーン!と大きな音を立てて木が倒れるとその音に反応したのかゴブリン達が集まって来て俺はあっと言う間に囲まれてしまった。
「これヤバくない?」
俺が呟くとゴブリンは奇声を上げ一斉に俺に向かって襲いかかって来た。
慌てて土魔法『 土の壁』を発動させゴブリン達を遮ったが壁の中に二匹のゴブリンが入り込んでいた。
「グエェェェェェェェェ!」
と二匹のゴブリンは唸りこん棒を振り上げ俺に向かって襲いかかって来る。
でも俺にはゴブリンの動きが見えていた。
それはまるでスローモーションの様にゆっくりとした動きだった。
俺は振り下ろされるこん棒を難なく交わし、力一杯ゴブリンの顔目掛け拳を振り抜くと拳が当たった瞬間ゴブリンの頭が弾け飛んだ。
返り血が俺に掛かり嫌な匂いが鼻を突く。
「臭っ!マジ、ゴブリン臭いわ!」
小説でゴブリンを臭い設定にしたのを後悔した。
仲間が一瞬で殺られて怯んだのか、もう一匹のゴブリンは動こうとはしなかった。
動かないゴブリンはただの的。
俺はウインドーを発動させ残るゴブリンの首を落とした。
下手に殴ってまた血を浴びたらキツイのが主な理由だけどね。
二匹のゴブリンを始末した俺はとりあえず地べたに座った。
壁の外ではまだゴブリンが奇声を上げているが壁を越えてくる気配は無いので大丈夫だろう。
それにしてもラグーはチートではないだろうか?拳一撃でゴブリンの頭粉砕とかちょっと強すぎる。
自分で書いた小説の世界なのに強さの基準が分からなくなってきた。
主人公の皇子ラミラスよりもラグーの方が強い気がするのは気のせいか?
考えても仕方無いのでまずは壁の外で煩いゴブリンどもを殲滅しようかな。
「イメージ、イメージ」
呟き発動する魔法のイメージを固めていく。
壁の外から半径十メートル四方を爆炎で包み、一気に弾き飛ばす。
「こんなもんかな?」
練り上げた魔力を空に向け放った。
放たれた炎の固まりは空で拡散し、壁の回りに着弾すると激しい爆音と爆風が吹き荒れた。
その威力に耐えきれず俺を囲む土壁にヒビが入る。
俺は慌ててアースウォールを発動させ土壁を追加して行くがそれも破壊され発動が追い付かない。
そしてアースウォールをもう一度発動させた所で魔力欠乏による脱力感に襲われた。
「ヤバイ、ヤバイこんな時に!」
俺は膝から崩れ落ち、発動した土壁にヒビが入るのを見ていた。
少しして爆音と爆風が止み、何とか耐えきった最後の土壁を見ながら辺りに静寂が訪れた所で意識を失った。
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