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No.33
しおりを挟むデリー公爵家に着くと直ぐに応接室へと案内された。
「ラグーくん、パメラ良く無事に戻った」
応接室に入るとパリントン公爵がいて、安堵の表情を浮かべていた。
「お父様、ご心配を掛けて申し訳ありません」
「パリントン公爵様、ご心配をお掛けしました」
俺とパメラ様はパリントン公爵に向けて頭を下げた。
「うむ、二人が無事で何よりだ!所で、デビルマウスがいたと聞いたのだが?」
「先にパリントン公爵様に報告して参ります」と言って俺達より先にデリー公爵家に戻ったメイさんに報告を受けたのだろう。
パリントン公爵は既にデビルマウスが出た事を知っていた。
「そうですお父様、死ぬかと思いました」
戦った時の事を思い出したのか遠い目をするパメラ様
「かなり大柄なデビルマウスで、倒すのに本当に苦労しました……」
只でさえ強いのにドラゴンみたいになるわで本当に苦労したし、死にかけた。
「ラグーくんが金の冒険者だとしてもパメラと二人で良く倒せたものだ」
「お父様、本当にラグーは凄かった。ラグーがいなければ確実に私は命を落としていたでしょう。さすがお父様も認めた私の婚約者です」
笑顔のパメラ様にそう言われて嬉しいのだがなんか照れる。
「ほほう、パメラは本当にラグーくんが好きなのだな」
「お父様、好きではありません、愛しております」
「なっ!?」
パメラ様が余りにも堂々と言い放ったので思わず声が漏れた。
「それはいい!ラグーくん、これからもパメラをよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
パリントン公爵に返事を返すとパリントン公爵は表情を変えた。
「ラグーくん、デビルマウスが姿を変えたと聞いたのだが?」
「はい、仰る通りです。デビルマウスを追い詰め、止めを刺そうとした所で見た目ドラゴンに姿を変えました」
「その強さは?」
「恐ろしく強かったです。動きは目で追えず、気がついたら僕は攻撃を受けていて一撃で死にかけました」
「なるほど、それは金の冒険者一人で討伐出来るレベルなのか?」
「ムリです。僕もパメラ様に隙を作って頂けなければ死んでいたでしょう。恐らくプラチナでも厳しいと思います」
俺は戦ってみた感想を素直に述べた。
本当にあれは強かった。
一瞬死を覚悟したし、パメラ様がいなければここにはいないだろう。
「それほどの強さか……」
パリントン公爵は何かを考えるように顎に手を当てると口を開いた。
「ラグーくんだいたいの事は分かった。これはかなりの事態だと判断した。ワシはこれから皇城へと報告へ向かう。ラグーくんはゆっくりして行ってくれ!」
「分かりました、それでは失礼致します」
俺はパメラさまと応接室を出ようとしたその時、「そう言えば」とパリントン公爵の声が聞こえ足を止めた。
「ラグーくん、エリクサーを使ったんだって?」
その瞬間俺の膝が震えた。
ギギッと油の切れた機械のようにパリントン公爵に首を向けると俺は綺麗な土下座をした。
「申し訳ありませんでした!」
エリクサーはかなり高価で希少性が高い。
全くと言っていいほど手に入らず、店頭に並べばいくらの値が付くかは想像もできない程の値段になる。
いくらパメラ様の婚約者とは言え俺は平民だ。
平民ごときがデリー公爵家に保管してあったエリクサーをパメラ様とメイさんに飲まされたとは言え、使ってしまったのだ。
でも飲まなきゃ死んでいたかもしれない。
メイさんは内緒で持ってきたと言ってた。
そして使ったのは俺。
土下座をするしかないよね?
床に頭を擦り付ける俺はガタガタと震えている。
「ラグーくん、何をビクビクしてるのかは分からないが気にしなくていい!」
「本当ですか!」
俺は即座に立ち上がり喜びを表現した。
「ラグーくんはパメラの婚約者で、もはや我デリー公爵の家族だ!」
「あ、ありがとうございます」
家族と言われ嬉しくなった俺は目を潤ませ返事をしたのだが、
「まぁ、変わりに何かをやってもらうかもしれないがな?ふっふっふ」
意味深に笑うパリントン公爵もそうだが、エリクサーの変わりに何かをしてもらうとか怖すぎるんだが……
少し感動した俺の気持ちを返してほしい。
「お父様、意地悪はそれくらいにして下さい」
「パメラすまない、ラグーくんの反応が面白くてついな」
「全く、お父様は気に入った相手をからかうのは悪いクセですよ?」
「はっはっはっ!パメラよ言うではないか。それではワシは皇城に向かおう!」
「はい、お気をつけて下さい」
そしてパリントン公爵は応接室を出て行った。
エリクサーを使った事を咎められなかった俺は息を吐いた。
心臓に悪いから、からかうのは本当に止めてほしい。公爵の言葉は洒落にならないんだよ。
どっと疲れた俺もパメラ様と一緒に応接室を後にした。
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