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学園祭の準備をしている件②
しおりを挟むガラガラと音を立てて扉が開くと有坂くんがこちらを見ていた。
僕と目があった有坂くんは口角を吊り上げて怪しい笑みを見せ、教室に入ってくる。
「言われてた時間より少し早かったかな?」
「有坂くん、大丈夫だよ」
話をしているのは北澤さんなのにチラチラと僕の方を見る有坂くんに言いたい事があるなら直接言えばいいのにと思ってしまう。
まるで僕を挑発するように視線を向ける有坂くんに僕も自然と意識して視線を向ける。
有坂くんの背に隠れる様にしている滝川さんは下を向いて僕の事を見る事はなかった。
『滝川さんは僕の事が嫌いなのだろうか?
一緒に過ごした日々は楽しかったと思っていたのは僕だけだったのだろうか?』
と思ってしまうと僕は滝川さんのに視線を向ける事も、話し掛ける事もできなかった。
「学園祭の衣装合わせよね?」
北澤さんが有坂くんに質問する。
「それ以外にここにくる理由は無いけど?」
「それもそうね、有坂くんは賢と一緒にしてね、杏は私と……」
北澤さんは滝川さんを見て気まずそうにしている。
そう言えば北澤さんと滝川さんが最近話してる姿を見た事がない。
(ケンカでもしてるんだろうか?)
北澤さんを見ようともしないで頷く滝川さんと気まずそうな表情をする北澤さんを見てそんな事を思う僕は仲良くしてほしいと思う。
滝川さんの素敵な笑顔が好きだから……
北澤さんは滝川さんに「いこ!」と言って滝川さんと二人で隣の教室へ移動した。
◇◇◇
杏ちゃんと北澤さんが教室から出ていき俺は染谷君と二人きになった。
最近は杏ちゃんと幸せな日々を過ごしているが、出会った頃の笑顔が消えてしまった杏ちゃんを見てると胸が苦しくなる。
『俺ではダメなのか?』と思ってしまう。
杏ちゃんの笑顔を見たい為に俺は自分なりに努力をしてきたつもりだ。
でも、たまに俺に向けてくれる杏ちゃんの笑顔はどこかぎこちなく感じてしまう。
今目の前にいる染谷君に向ける笑顔と、俺に向ける笑顔は明らかに違っていて、作り笑いで曇って見える。
そんな事を思う俺が染谷君に対して黒い感情を抱くのは必然だ。
「それで、俺はどうしたらいい?」
平然を装えない俺は染谷君にはどうしても強い口調になってしまう。
これでは余裕のない男に見えてダメだと思ってしまうが、染谷君を前にするとどうしても自分の感情を抑えきれない。
「えーっと、まず、採寸を計ります」
「わかった」
オドオドとする染谷君のどこがいいのかと思う。
俺に無くて染谷君にある物が全くわからない。
杏ちゃんだけじゃなく、北澤さんとも仲良くして染谷君は一途じゃない。
その点俺は杏ちゃん一筋縄で杏ちゃんしか見ていない。
杏ちゃんに嫌な思いはしてほしくないから他の女子とは極力喋らないようにしている。
俺の体にメジャーを当てている染谷君を下に見ながら俺の感情は荒ぶっていく。
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