嫌われ者だった俺が転生したら愛されまくったんですが

夏向りん

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恋人編

路地裏

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初めてお互いを晒しあった数日。
今日もいつもと変わらず、お菓子を開発し続けているが、最近は順調に進んでおり、いくつかは完成に近づいてきた。
レンとも喧嘩したりすることなく仲良くやれている。なかなか素直にはなれないが、それでも一緒にいると安心できる。


おおお、
やっぱりここはいいな。
心躍ると言うか。
俺は、2度目となる街に来ていた。
最近は城から出る必要を特に感じていなかったため、レンとサキさんぐらいしか話す人がいなかった。
だから気分転換に街まで歩いてきたと言うわけだ。
しかし、前とは違い隣にレンはいない。
一応レンには言ってきたが、周りには誰もいないのが少し不安だったりする。
前の世界だったら常に隣に人がいないのが当たり前だったのに、不思議なものだ。
それだも街には見慣れないものがたくさん並んでいて、見飽きない。
いくつか気に入ったものを購入して、ぶらぶらとしていると不意に声をかけられた。
「ねえ、あんたアツキよね?」
…誰ですか。
知らない人に急に声をかけられた上に呼び捨てで呼ばれるとか、いい思いはしない。
まあきっとレン絡みだろうが。
「ちょっとこっちきて」
そう言って連れて行かれたのはドラマとかでよく見る路地裏だった。
そこには数人の女性たちがいて、きっと最初に声をかけてきた人の仲間なんだろうなというのは安易に想像できる。
いくら相手が女性でもこっちがぼこぼこにされてしまいそうな雰囲気なのがきつい。
「どうしてあんたみたいな平凡な奴がレン様の隣にいるの?」
びっくりするぐらい定番な台詞を投げてくる。
「…偶然?」
「何言ってんのよ!こっちは、認めてもらうために必死に!頑張って来たのに!」
こっちに向けられた射抜くような視線に怖気づきそうになるがよくよく見てみると涙が溜まっていた。
そしてそれを皮切りに周りの女性たちも言葉を投げかけてくる。
それらはたしかに俺に向けられたものであったが、どうにもならないような気持ちを俺にぶつけているようでもあった。
「…アツキ!!」
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