嫌われ者だった俺が転生したら愛されまくったんですが

兄編

有り難いけど

「お、やっほー。またあったねえ」
「…またですか」
そう、最近何故か俺が行くところ行くところでフォルさんに出会う。
どういう嫌がらせなんだと一度聞いたことがあったが、偶然だよ、としか答えてくれなかった。
「そんなうんざりしないでって。今日はお土産持ってきたの」
「持ってきたってもう完全に待ち伏せてますよね」
「ん？なんのこと」
にこっと笑ってそれ以上何も言わないからむしろ恐怖を覚えてしまう。
「まあもういいですけど」
「うれしーな。じゃあはいこれ」
「なんですかこれ」
「この前行った国のお菓子。好きなんだよね？」
一瞬変なものではないかと疑ったが、素直に他の国のお菓子を食べられるなんて有り難い。
「ありがとうございます！」
「いえいえ～。ていうかそんなに敬語じゃなくていいからね。」
「それはちょっと…」
「ふふ、まあいつかね。じゃあ」
「はあ…」
しょっちゅう俺の前に現れるくせにすぐに帰っていく。
それほど多忙だというのに何で俺なんかに構っているのだろうか。
まあ俺が考えても仕方のないことか。
「ん、おいし」
フィルさんが去ってからもらったお菓子を食べてみると想像した以上に美味しかった。
後でお礼をしなくては。