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最終章 古代遺跡編
169、遺跡の中
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中は真っ暗だったので、空間石に入っていた雷球を取り出して辺りを照らした。するとそこには金属製なのか、いくつかの椅子やテーブル、さらには棚のようなものが残っている。
「うわぁ、凄くワクワクする。この金属は残るんだね」
マティアスがそう言って、椅子の背もたれだろう場所に顔を近づけた。
「本当だ……でもかなり錆びてるから、触ったら崩れるかも。それにしてもここまで残ってるなんて凄いけど」
恐る恐る近くのテーブルに触れてみると、表面がざらざらとしていて指は汚れたけど、触れただけで壊れるということはなかった。
これは金属なのだろうか。もしかしたら何か違う物質なのかもしれない。
「フィリップ様、引き出しを開けてみますか?」
パトリスが緊張の面持ちで棚を観察しながらそう聞いてくれたので、俺は頷きながらそちらへ向かった。
「壊れるかもしれないから、怪我をしないように注意してね」
「かしこまりました。ではフィリップ様とマティアス様は下がってお待ちください」
パトリスともう一人の冒険者が協力して引き出しに手を掛けると、錆びていることでかなり力が必要なようだったが……奇跡的にガコッという音と共に、大きめの箱が引き出された。
「中に何か入っています」
「本当? 残ってる物があるんだ」
冒険者の皆が危険がないことを確認してくれて、とりあえず問題ないと判断されたところで、その物は取り出されて床に置かれる。
少し離れたところから観察すると……よく見慣れた道具に見えてならなかった。
「ねぇ……これって、魔道具だったりしない?」
「僕もそう思ってた。でも魔道具についてはフィリップがティータビア様から授かった知識の中にあった物だよね? 過去にもそれがあったってこと……?」
マティアスが混乱している隣で、俺はある可能性が思い浮かんでいた。
もしかしたらこの世界は、ハインツが生きていた世界の未来だなんてことがあるのだろうか……でもそれなら色々なことの辻褄が合う。
ただ大きな疑問なのは、なぜあの世界がここまで衰退してしまったのかだ。魔道具も魔法陣魔法も、なぜ途絶えてしまったのか。
それが途絶えなければ、魔物によって人類が滅亡の危機に陥るなんてこともなかったはずだ。
「とにかく、もっと探索してみよう」
俺のその言葉に皆は頷いてくれて、それからは建物の奥へと慎重に向かっていった。崩れて瓦礫の下敷きにならないよう細心の注意を払い、魔物にも警戒しながら先へと進んでいく。
しかし予想外に建物の中に魔物はいなく、順調に探索を進めていると……一際広い部屋に辿り着いた。この部屋にある穴は俺たちが通ってきたものだけなことを考えると、ここが一番奥のようだ。
そんな部屋に何があるのかと言うと……ティータビア様の神像だった。
「やっぱりここはもともと教会だったんだ」
「神像があるってことは、そういうことだよね。でもこの神像、随分と精緻で大きいね……こんなところにずっと放置されてたはずなのに」
マティアスのその言葉に、確かにと疑問が生まれる。石で作られてたとしても、もう少し劣化があっても良い気がする。いくら地下に埋もれていたことで雨風に晒されていなかったとしても、水が染み込んできたり虫や魔物が入り込んだこともあったはずだ。
「特殊な素材で作られてるとか?」
そんな仮説を立てながら、神像の下に向かった。なぜか目を奪われてしまう魅力がある神像に、導かれるように手を伸ばすと――
ひんやりとした質感を手のひらに感じた直後、突然体がふわっと浮くような感覚を覚えた。
突然の事態に瞳を瞑ってしまい、開いた時には……そこは暖かな光に包まれた不思議な世界だった。
「ここ、どこ?」
「うわぁ、凄くワクワクする。この金属は残るんだね」
マティアスがそう言って、椅子の背もたれだろう場所に顔を近づけた。
「本当だ……でもかなり錆びてるから、触ったら崩れるかも。それにしてもここまで残ってるなんて凄いけど」
恐る恐る近くのテーブルに触れてみると、表面がざらざらとしていて指は汚れたけど、触れただけで壊れるということはなかった。
これは金属なのだろうか。もしかしたら何か違う物質なのかもしれない。
「フィリップ様、引き出しを開けてみますか?」
パトリスが緊張の面持ちで棚を観察しながらそう聞いてくれたので、俺は頷きながらそちらへ向かった。
「壊れるかもしれないから、怪我をしないように注意してね」
「かしこまりました。ではフィリップ様とマティアス様は下がってお待ちください」
パトリスともう一人の冒険者が協力して引き出しに手を掛けると、錆びていることでかなり力が必要なようだったが……奇跡的にガコッという音と共に、大きめの箱が引き出された。
「中に何か入っています」
「本当? 残ってる物があるんだ」
冒険者の皆が危険がないことを確認してくれて、とりあえず問題ないと判断されたところで、その物は取り出されて床に置かれる。
少し離れたところから観察すると……よく見慣れた道具に見えてならなかった。
「ねぇ……これって、魔道具だったりしない?」
「僕もそう思ってた。でも魔道具についてはフィリップがティータビア様から授かった知識の中にあった物だよね? 過去にもそれがあったってこと……?」
マティアスが混乱している隣で、俺はある可能性が思い浮かんでいた。
もしかしたらこの世界は、ハインツが生きていた世界の未来だなんてことがあるのだろうか……でもそれなら色々なことの辻褄が合う。
ただ大きな疑問なのは、なぜあの世界がここまで衰退してしまったのかだ。魔道具も魔法陣魔法も、なぜ途絶えてしまったのか。
それが途絶えなければ、魔物によって人類が滅亡の危機に陥るなんてこともなかったはずだ。
「とにかく、もっと探索してみよう」
俺のその言葉に皆は頷いてくれて、それからは建物の奥へと慎重に向かっていった。崩れて瓦礫の下敷きにならないよう細心の注意を払い、魔物にも警戒しながら先へと進んでいく。
しかし予想外に建物の中に魔物はいなく、順調に探索を進めていると……一際広い部屋に辿り着いた。この部屋にある穴は俺たちが通ってきたものだけなことを考えると、ここが一番奥のようだ。
そんな部屋に何があるのかと言うと……ティータビア様の神像だった。
「やっぱりここはもともと教会だったんだ」
「神像があるってことは、そういうことだよね。でもこの神像、随分と精緻で大きいね……こんなところにずっと放置されてたはずなのに」
マティアスのその言葉に、確かにと疑問が生まれる。石で作られてたとしても、もう少し劣化があっても良い気がする。いくら地下に埋もれていたことで雨風に晒されていなかったとしても、水が染み込んできたり虫や魔物が入り込んだこともあったはずだ。
「特殊な素材で作られてるとか?」
そんな仮説を立てながら、神像の下に向かった。なぜか目を奪われてしまう魅力がある神像に、導かれるように手を伸ばすと――
ひんやりとした質感を手のひらに感じた直後、突然体がふわっと浮くような感覚を覚えた。
突然の事態に瞳を瞑ってしまい、開いた時には……そこは暖かな光に包まれた不思議な世界だった。
「ここ、どこ?」
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