10年後も生きる為に、特種素材を求めて、異世界を旅する事になりました。《仮》

夕刻の灯

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第3章・炎帝龍の山

七話・治癒魔法''キュア"

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「カーディナル、ボルドー聞いてくれ…オレは、この二人を助ける。手を貸して欲しい。」

そのオレの言葉にボルドーは、驚きを隠せなかった。

『な⁉︎アイ様⁉︎貴方は正気なんですか⁉︎』

ボルドー、オレの正気を疑っているようだが
彼には、オレが正気なのは、充分に分かっているんだろう…
しかし、オレの出した答えが常軌を逸していると感じているんだろうな

『そうですわよ!何もアイ様がこの者達のためにリスクを冒す必要ありませんよ!!』

カーディナルも強い口調で頑なに反対する

「反対するのは分かるけど、オレは助けたいんだ」
『アイ様の助けたい、っという気持ちは、分からなくはないですが。しかし…』

ボルドーの話にカーディナルが割り込んで来た

『アイ様、貴方はお忘れなんですの?この世界の人間が貴方にした仕打ちを』

ボルドーが眉にシワを寄せた

「っ!!」

オレは、言葉を出せなかった。

『私達は決して忘れませんよ?そして許せません!』

ボルドーが彼らの方に向かって、殺意を露わに

『必要とあらば、こいつらを皆殺しにして見せましょう!!』

彼らのいる方へと魔法を放とうとした

「よせ!!ボルドー!殺すなよ!!」

オレは慌てて、ボルドーを止めた
ならば彼らをどうするのかと
…しばらく問答を繰り返していたが


カーディナルがこう切り出した

『結論が出ないのなら、決まるまでこの場から出さなきゃいいのよ?』

この場所から出さない…つまり

「このホームワールドからか?」
『そうですわよ、この中ホームワールドの事は、世界イレベリアの連中には決して知られないですわ』

このホームワールドは、ボルドーが空間魔法で作り出した空間

『確かに…この中と外は、完全に切り離されている』
「なら、彼らにこの中にいて貰えばいいって事?」
『そうですわね。それに助けるのなら、そろそろ治癒しないといけないですわ』

一先ずは、結論が出た
彼らをまずは、助けるが…出すか出さないかは
助けたい後から判断することなった。

重傷な二人に高度な治癒魔法であるキュアを使う事になった
キュアで助けた後のことは別として…

『それでは、行きますわよ?』

カーディナルは、定位置のボルドーの頭の上に乗っている

「うん、頼むよ」
『キュア』

カーディナルは、ボルドーの上に乗ったまま
治癒魔法のキュアを行使し始めた。
カーディナルの体を覆っている羽根の一つ一つが火がついたように赤い光を放ち始めた
そして、カーディナルの体が眩く燃えたように光った
その炎の光が重傷の二人を包み込む
その光景は一見まるで
二人の体を荼毘に付しているようにも見える
しかし、それは…違う
深く傷ついた事で血や生命力など失われたモノを
カーディナルの治癒魔法が魔力を変換して
急速に再生させているのだ

しばらくすると炎の煌めきが徐々に収まった
これで、キュアは完了したのだろうか?

「カーディナルどう?上手くいったの?」
『…ええ…上手く…行きましたわ。』

カーディナルの声が普段よりも弱く聞こえる

「カーディナル大丈夫?」
『ええ…だ、大丈夫です…わ』

カーディナルは平気だと言うが
明らかに様子がおかしい
ひょっとして、このキュアって危ないんじゃないのか?

「カーディナルこのキュアを使うのは、君にも危険なんだな?」
『勿論です。アイ様、キュアは高度な上位の魔法です。迂闊には使えません』

なら、オレは、カーディナルに無理をさせたって事か?
しかし、なぜ…カーディナルとボルドーは、その事をオレに教えてくれなかったんだろうか?
何か理由があるんだろう…
なんにせよ、無理をさせてしまった事に変わりはない。

「カーディナル、オレの頼みで君に無理をさせて、申し訳ない。」

カーディナルに頭を下げる

『いいえ、良いのですわよ。これは、私が自分で望んだ事ですわ。』

カーディナルの望んだ事?
あんなに、キュアを使うのを拒んだのに?

『アイ様、私達…契約守護獣は、主人の願いを叶えられる事が1番嬉しいのです。』

ボルドーがオレにそう告げた。
そして…二人は、こう言った

『ボルドーの言う通りですわ。そして…それ以上に貴方のことが1番好きですわ。』
『そうです。だからこそ、私達は貴方の身の安全を1番に考えます』

オレの身の安全を考えているから…
だからこそ…ボルドー達は、オレの事が世界の人々にバレる恐れのあるキュアを使うのを拒んだんだろう
オレは、二人がオレ事を1番に考えていてくれているという事を全く、考えていなかった。

ただ救いたいって事だけで、後先の事を考えずに
オレは、身勝手な事を決めてしまった。
本当に…二人には、申し訳ない。
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