10年後も生きる為に、特種素材を求めて、異世界を旅する事になりました。《仮》

夕刻の灯

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第3章・炎帝龍の山

四十三話・辺境伯日誌・飛竜での調査記述「2」

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飛竜たちが飛んで来た。一際大きいのが一頭で治める長の竜だ。
俺は、その長の竜を呼んだわけだ
他にも四頭いるが…
その四頭は、あまり見ない竜だった。
いつもならば、共に来るのはもっと大きい子たちの筈だが?
窓を開けて、聞くしかないか
長の飛竜のジルヴァに向かって声をかける

「何時もの息子達は、今日はどうしたんだい?」

竜のジルヴァがこちらを見て口を開く。

「うーむ、今回息子達は、巣とその周辺を守っているぞ。」

巣に残ってるのか?
そこで私は、疑問に感じた。
いつもならば、他にもいる竜が巣をその周辺を守っているはずだ。
その疑問は直ぐに解消した。

「我らが始祖が一体、炎帝龍様の気が大分立っているようだ。その影響を受けてか、魔物達の動きが妙に活発なのだ。」

炎帝龍だと⁉︎
あの龍は、最強の龍帝エンペラードラゴン種で
国を容易く焦土に変えることができる。
人には、抗いようのない力…厄災でしかない。

「何時もの怒りかも知れぬが…今回のは、少し規模が大きいようにも感じる。」

皇帝陛下の召集はそれか?
いや…それだとしても、我々人間にはどうにもならない事柄だ。

「今回のお供はワシの孫だが、賢い子らばかりも連れて来たから問題なかろう?」

そういうと空から降りて来た。
大きな翼が風を起こしている。
庭の砂が舞い上がり始めた…
これ以上窓を開けていると、砂埃が執務室の中に入って来てしまう
竜が起こす風に押されて、動きにくくなっている窓をぎゅっと握って押さえ
窓をしっかりと閉める。

「あの…一体何を話していのですか?」

恐る恐る聞いて来た。
彼らが恐れるのも、無理はないか…
今さっき私と竜のジルヴァとで、会話していたわけだが
その会話の内容は、彼らには分からないのだろう

何故なら、私と竜が交わしていた言葉は竜の言葉で、その言葉を解する者にしか扱えない
その竜の言葉は、一般人には全く分からないのだから…

「心配ない、いつもと違う竜が居たから訳を聞いていただけさ…」

事実とは多少の異なることを教えた。
下手に、炎帝龍の事を教えるわけにはいない。
まだ、どうなっているのか分からない事だからな
いたずらに、彼らを更に怖がらせるのも癪だしな…

「そうですか…その、竜の言葉は…私達には、分かりませんので…」

申し訳なさそうにしているが
こればかりは仕方がない事だからな…

「大丈夫さ。さあ、竜が待ってるぞ庭へ行こう」

使者の者達を連れて屋敷の中を移動して
庭へと向かう。

竜達は、すでに庭に降り立っている。
その竜のそばに誰かいる
私の屋敷の執事とメイドだ

その執事とメイドが手に袋と杖持ってる
杖を袋に向かって使って、袋から大きな赤い塊を取り出して竜に向かって投げる
その投げられた塊を容易く竜が口で受け取り
アムアムっと美味しそう口を動かしている。
ジルヴァも他の飛竜たちと同様に食べている。
赤い塊の正体は、竜達彼らの大の好物の肉の塊だ。

あの袋は、アイテムバッグだから
まだたくさんあの中に入ってるはずだ
飛竜たちがその肉の塊を美味しそうに頬張る
その肉の塊は、帝国の名産品の牛の肉だ。
今日は、何を上げているのかな?

この帝国の名産品の牛は、いくつかの品種があるんだ。
白牛シロウシ赤牛アカウシ黒牛クロウシと呼ばれる牛だ。
それ以外にもいるらしが、それらは全て極めて貴重な希少種
万…いや億が一っとも言われるほどに数が少ないので、流通することがない
その為、この帝国の皇帝ですら口にできるか、できないか…微妙だそうだ。

「アレって、アレですよね?」
「ああ、間違いなく、アレだろうな…」
「アレをあんなに沢山…」

使者の者達がアレ、アレって連呼してる訳だが…
飛竜たちがたくさん食べている肉は、その数が少ない希少種ではないわけだが
それでもかなり高価な肉だ。
その肉の量と値段…かなりの出費になるんだが
それでも、私としては何ら問題ないんだ。
何故それだけの出費が問題ないのか?
それは…彼らの協力で得られるものに比べれば、はるかに安い出費だからだ。

「アレ高いのに…俺、アレを食った事ないですよ」
「俺も、アレを食った事ない…いや、記念日に少しだけ家内と食ったような…どうだったかな?」
「え⁉︎食べた事あるんですか?っで?どうでした味は⁉︎」
「いや…それが自分の分が少なすぎて、分からなかった。」

一般人には、手が届かないんだろうが
これをケチる訳にはいかないんだ。

第一に、彼らが巣を守る事で守護する地域は広大だ。
第二に、彼らの移動する速度は、一部例外が居るわけだが…他に追随を許さないほどに速い

彼らの飛行能力…
それは、帝国最速だ。
一般的な馬での移動の十数倍
帝国が使う鳥、大鷲や大隼のグランファルコンの三倍になる。

飛竜はらば、三日かかる日程が一日で済む
それは、迅速に対応出来るからな
本当にすごい事だからだ。
時は金なりとは、よく言ったものだ。

「アレックス様、準備が出来ましたよ。」

執事が横に来てそう告げた。
飛竜たちに目を向けると確かに、っと思った。
食事を終えて、騎乗するための装備を既に身につけている。

「分かった。では行ってくるよ。あとはよろしく頼むな」
「勿論でございますとも、それと…アレックス様ならば、心配ないとは思いますがお気をつけて下さい。」

そういうと、他のメイド達と一緒に屋敷の側まで離れた。
それは、飛竜たちが飛び立つ際に起こる事に備えてだ。
もしも巻き起こす風の突風が吹いたら
人間など容易く吹き飛ばされてしまう。

まず、そんな事にはならないだろうが
安全の為の措置だからな
ちゃんと離れているの確認してからジルヴァに騎乗する準備を進めて行く。
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