先生……大好き。

中島健華

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前編

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わたしは高校生のころずっと好きだった人がいた。

それは家庭教師の菊池先生だった。

3つ上の先生は、女子校で一人っ子の私からしたら突然現れた同世代の男の人で、頭が良くてカッコいい先生にまんまとハマってしまった。


先生と同じ大学を第一志望にして、合格したら告白しようと必死で勉強して、見事に憧れの大学への切符は手に入れたのだけど


「アスカは、大学できっといいやつが見つかるから」

なんて、あっさりと私の恋は砕け散った。



あれから1年

大学に入ればきっと彼みたいな年上の先輩がたくさんいるのだろうと思ったけど、全然いなくてまったくのまぼろしだったんじゃないかと思った。


違う人を探そうと思えば思うほど、先生に会いたい気持ちは日に日に積もってしまって


先生のラインを開いて

久しぶりにラインのスタンプを送ってみた。


返事がなければ諦めようと思ったけど、

意外にもはやく返事がきて、

おなじスタンプと「ひさしぶり」「最近どうよ?」「彼氏でもできたか?」の三連投


「急にすみません」「できてないです」「好きな人すらいないです」と返すと、


「久しぶりに飯でもいくか?」の返信


テンポのいいやり取りについ浮き足立って、今月の空いてる日をすぐに送ると「今週末なら空いてる」と


あー、かわいくなるためにもう少しだけ予定を先に延ばせばよかったとも思ったけど、会いたい気持ちが抑えきれずに
瞬殺で「会います!」と返した。


先生が家庭教師で家に来ていたころは、私はいつも制服だったから、はじめて先生に私服姿を見せる


化粧だってちゃんとして、髪も巻いて、パックもして、食べるごはんの量も少し減らした。


うきうきしながら駅前で10分くらい待っていると、後ろから勢いよく誰かに肩を掴まれた。


「わっ!びっくりしたー!」


「まじいい反応(笑)ひさしぶりだなアスカ」


振り返るって、1年ぶりに見た先生は最後に会った時は茶髪で前髪を流していたのに、センター分けの黒髪になっていてあの当時より大人っぽくなっていて、やっぱりカッコよかった。


「お前、来んの早くね?」


「ちょっと気合入りすぎちゃいました」


なんだか久しぶりの先生は刺激が強くて
高校生の頃どんなテンションで話していたか、分からなくて思わず照れて下に顔を向ける。

するとクイッと顎を持たれて


「似合ってんじゃん、ワンピースも化粧も。」


と私が大好きな口角をあげる笑い方で微笑まれた



先生が選んでくれたお店は、おしゃれなカフェ&バーで夕時なこともあり周りにはカップルのような男女も多かった。

普段こういうところでデートしているのかなと思うと先生の彼女さんがうらやましくて堪らない。


「先生大丈夫なんですか?私と2人で彼女さんとかに怒られないですか?」


「あー実は最近別れたんだよね。だからそれは気にすんな。」



先生にとっては辛いことなのかもしれないけど、彼女がいないということになんだかホッとしてしまって思わず頬が緩みそうになるのをコーヒーを飲んでごまかす


「アスカはいいやついないの?学部とかサークルとか」


「それがいないんですよ、もともと女子高だからなのかもしれないですけど、男の子と上手く仲良くなれないっていうか今一歩踏み込めないっていうか」


「のわりに、俺には当時からぐいぐい来てたけどな」


「それは…なんていうか、若気の至りです」


「じゃあ、もう俺の事は好きじゃねぇの?」


さっきまでの表情とは一変してじっと真っ直ぐ瞳を覗いてくる先生、


「…1年前、先生は私のこと振ったじゃないですか」


「それは、当時は先生と生徒だったしこれからアスカは広い世界に出ていろんな異性に会うだろうからって断ったけど、1年経っていまも同じ気持ちでいてくれるなら俺はお前を自分のものにしたい」


「それってつまり…」


「俺、今全力でアスカのこと口説いてんだけど?」


まるでもう私からの答えは分かっているかのように片手で私の頬をつかむ先生


そんなことをされてしまったらもう私のほっぺは真っ赤っかで、口から出る答えは1つしかない


「好きです、先生」


「風麿」


「え…?」


「俺の名前、呼んでよ」


「ふう…ま…せんせい」


「先生いらねぇっつーの、まぁそこは徐々に慣れていけばいっか」


まさか叶うとは思わなかった想い。

こんな形で叶うなんて、夢みたいだ

そんなことを幸せすぎる頭でフワフワ考えながら、コーヒーカップの中を飲み下した先生をじっと見つめた。
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