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婚姻契約書
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ここは、王都にあるキンバリー家のタウンハウスで、貴族街の真ん中にあるらしい。
ハワード公爵家は王宮のすぐ側にあり、ハワード男爵家はキンバリー家の3軒隣にある。
王立貴族学院へも馬車で15分ほどの所にあるようで、子供達はこのタウンハウスから通っているのだとか。
エレノアが階段から落ちたのは、どうやら学院へと向かう子供達を見送ろうとした矢先だった。
夫は一足先に愛人宅へと向かった所で、そこには早々に知らせを出した。
そして、急ぎ戻ってきて、医師の診察結果を子供達と一緒に聞いた後、安静を指示してまた愛人宅へと向かったとか。
今、エレノアが寝ている部屋は、エレノアの自室ではなく、客間だと言う。
階段から落ちて、頭から血を流し意識不明だったので、一番近くの部屋へと運んだのだそうだ。
兎に角、心配した子供達がハワード男爵家の叔父ラルフに相談した所、すぐにやって来て姉の状態を見てラルフがハワード公爵家のアイリーンに伝え、今日の見舞いになったのだとか。
「だから、私が言ったじゃないですか。契約だとかじゃなくて、瀕死の妻を置いて愛人宅にいるのはおかしいだろうと、直ぐに父を呼び戻してってお兄様にも叔父様にも言ったのに」
マーガレットが感情的な声を上げた。
「確かに、意識の無いエレノア様を置いて出かけてしまう旦那様に、私も奥様をご心配じゃないのかと問いましたもの」
侍女のテラーも眉を寄せてそう言い出した。
「けれど、契約で水曜と木曜は別宅へ行くとなっているからと父上が言うから、それ以上は言えなくて」
ロバートが目を反らしながらそう言った。
契約書にはこうあった。
キンバリー家にハワード男爵家長女エレノアが嫁ぐ時、1億王国ドルを持参金とする。
またそれとは別に、同額の貸付をキンバリー家に行い20年での返済を求める。
エレノアに対して、キンバリー家は正妻として扱い、常日頃からその身心が健やかに有るようキンバリー家は務めなければならない。
またキンバリー家の跡取りはエレノアの産んだ子のみを相続者としなければならず、何人もそれ以外を認知することを禁ず~中略~
エレノアの身は、正しく伯爵夫人として扱い、瑕疵があってはならない。
貸付金、持参金共にキンバリー家の家政と執務に伴うことに使用することを定め、流用を許さない。
夫ジョン・キンバリーはエレノアに対して常に誠実に当たらなければならない。
但し、毎水曜と木曜はその限りではない。
この契約を破棄する時は、貸付金の即時返金は元より、持参金およびそれと同額の慰謝料を払うこととする。
「へえ、この但し書きを根拠にしているのね」
黙って契約書を読んでいたエレノアは、ラルフとロバートを見てそう言った。
「はい、そうです」
ロバートは困った顔をしながら返答した。
「少し聞きたいんだけれど、私と夫はどんな夫婦だったのかしら?私は夫のことを何て言っていたの?」
エレノアは侍女のテラーにそう問いかけた。
「仲睦まじいご夫婦でいらっしゃいました。ご結婚前は色々悲惨な生活をご想像されて、心乱れておられましたけれど、結婚式の後からはそれは穏やかになられて、」
テラーが嘗てのエレノアの言葉を話し始めた。
ハワード公爵家は王宮のすぐ側にあり、ハワード男爵家はキンバリー家の3軒隣にある。
王立貴族学院へも馬車で15分ほどの所にあるようで、子供達はこのタウンハウスから通っているのだとか。
エレノアが階段から落ちたのは、どうやら学院へと向かう子供達を見送ろうとした矢先だった。
夫は一足先に愛人宅へと向かった所で、そこには早々に知らせを出した。
そして、急ぎ戻ってきて、医師の診察結果を子供達と一緒に聞いた後、安静を指示してまた愛人宅へと向かったとか。
今、エレノアが寝ている部屋は、エレノアの自室ではなく、客間だと言う。
階段から落ちて、頭から血を流し意識不明だったので、一番近くの部屋へと運んだのだそうだ。
兎に角、心配した子供達がハワード男爵家の叔父ラルフに相談した所、すぐにやって来て姉の状態を見てラルフがハワード公爵家のアイリーンに伝え、今日の見舞いになったのだとか。
「だから、私が言ったじゃないですか。契約だとかじゃなくて、瀕死の妻を置いて愛人宅にいるのはおかしいだろうと、直ぐに父を呼び戻してってお兄様にも叔父様にも言ったのに」
マーガレットが感情的な声を上げた。
「確かに、意識の無いエレノア様を置いて出かけてしまう旦那様に、私も奥様をご心配じゃないのかと問いましたもの」
侍女のテラーも眉を寄せてそう言い出した。
「けれど、契約で水曜と木曜は別宅へ行くとなっているからと父上が言うから、それ以上は言えなくて」
ロバートが目を反らしながらそう言った。
契約書にはこうあった。
キンバリー家にハワード男爵家長女エレノアが嫁ぐ時、1億王国ドルを持参金とする。
またそれとは別に、同額の貸付をキンバリー家に行い20年での返済を求める。
エレノアに対して、キンバリー家は正妻として扱い、常日頃からその身心が健やかに有るようキンバリー家は務めなければならない。
またキンバリー家の跡取りはエレノアの産んだ子のみを相続者としなければならず、何人もそれ以外を認知することを禁ず~中略~
エレノアの身は、正しく伯爵夫人として扱い、瑕疵があってはならない。
貸付金、持参金共にキンバリー家の家政と執務に伴うことに使用することを定め、流用を許さない。
夫ジョン・キンバリーはエレノアに対して常に誠実に当たらなければならない。
但し、毎水曜と木曜はその限りではない。
この契約を破棄する時は、貸付金の即時返金は元より、持参金およびそれと同額の慰謝料を払うこととする。
「へえ、この但し書きを根拠にしているのね」
黙って契約書を読んでいたエレノアは、ラルフとロバートを見てそう言った。
「はい、そうです」
ロバートは困った顔をしながら返答した。
「少し聞きたいんだけれど、私と夫はどんな夫婦だったのかしら?私は夫のことを何て言っていたの?」
エレノアは侍女のテラーにそう問いかけた。
「仲睦まじいご夫婦でいらっしゃいました。ご結婚前は色々悲惨な生活をご想像されて、心乱れておられましたけれど、結婚式の後からはそれは穏やかになられて、」
テラーが嘗てのエレノアの言葉を話し始めた。
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