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聖教国戦
エピソード25 VS暴走愛戦士アーディル
しおりを挟むマルシアの戦闘場所から離れた場所に結界魔法で捕縛した魔術師団員を連れ去ると、その範囲をアーディルの出来る極限まで広げて、ほの暗く見渡す限り端が見えない、言わば亜空間のような、そんな場所を作り出した。
アーディルは、ペトラ程では無いにしろ、魔力量も多く全属性の魔法をかなり高度な物まで習得していた。
それは、聖女イズミの書いた聖女の手引き書の中に、
『魔法は属性によって出来る出来ないが決まる訳では無く、寧ろ固定概念によって出・来・な・い・と思い込むことで出来なくなる、つまり出来ると思えば出来るものなのである。
魔法を自分の脳裏でイメージ化出来るかどうか、それが大切。あとは、魔力次第と言える。
魔力が多ければ雑なイメージでも具現化出来てしまうこともあるが、どれほど詳細にイメージしようとも魔力が足りなければ具現化しない』
そう書いてあった。
これは、聖女イズミの世界で有名な魔・法・の・常・識・なのだそうだ、魔法の無い世界なのに。
アーディルは修行部屋で読んだ聖女聖典には、確かに多くの魔法についての記載があり、空間魔法というモノを利用して亜空間を作ったり、付与してマジックバッグなる何でも収納出来る便利な物があったり、この世界ではまだ誰も使っていない魔法も知ることが出来た。
ちなみに、マジックバッグの別名は四次○ポケットと言うのだとか。
それはさておき、空間魔法を使って、闘技場を用意出来た。
アーディルは、ペトラ程では無いにしろ(2度目)帝国では魔物との戦いに明け暮れていた、戦闘狂みも強い。
そして、魔物から魔力抽出と言う秘匿によって祖国を魔物に蹂躙され、皇帝と家族、帝国民や忠臣をたくさん失って、ペトラと同じか寧ろそれ以上に、聖教国に対して怒り、報復をしようと強く願っていた。
今から始まるのは亜空間デスマッチ、悪に染まった聖教国の、教皇の剣を徹底的に叩きのめしてやろうぞ!と気力満タンである。
「さあ、始めましょうか。一切、手加減はしませんわよ」
アーディルが周りを見回し冷たい微笑でそう告げ、広がる空間に次ぎ次ぎと魔方陣を同時に何十何百と展開していき、指を鳴らした。
パチンッ
すると、全ての魔方陣から閃光が迸り、瞬時に防御魔法で避けなかった魔術師たちの体を貫いた。
ぎゃあ!グワ!ガッ!!
あちらこちらで、閃光に体を貫かれた衝撃と痛みの声が上がった。
魔術師団員とは、神官の中で魔力量が多く、多彩な魔法を習得していて、特に攻撃魔法が得意な戦闘要員である。
戦闘要員だが、身体的な優位性が高いものは聖騎士団へ、魔力が多いもの魔法が得意な者は魔術師団へと別れて聖教国の治安、ではなく教皇個人の身の安全を守る為に存在している、結局神職者である。
だから、聖騎士団よろしく、この世界で聖・教・国・に戦いを挑むような無法者は居ないので、教会本部で鍛練をするだけで実戦経験など無いに等しい。
魔術師団も魔物討伐に向かう聖巫女と同行することはあるが、魔物との戦闘は聖巫女が行うのが常であるので、アーディルと経験値が全く違う。
あっという間に、数える程しか残らなかった。
「はあ、本当にダメな奴らばかりだ。後ろにさがっていろ、邪魔だ」
黒髪に紅い目、鼻筋の通った高い鼻、微笑を称えた薄い唇はきれいな弧を描いている、漆黒に金糸で豪奢に刺繍の入った洒落た神官服を纏った美丈夫がアーディルの前に進み出た。
「アーディルいや、見違えた。美しく熟れたな、人妻とは良いものだ。年下の夫に不満は無いのかな?まあ不満が無くとも私と楽しんでみないかな?」
気だるげな眼差しに軽薄そうな口調、相手が拒否することなぞ端から考えも浮かばないと言う自信あふれる姿のこの男、かつての聖女のちを引く由緒正しい聖教会神官の家系出身で魔術師団長 ベリアス=ヴァーチュズである。
「さあさあ、先制はボクから【悪魔の花嫁】」
前に進み出た直後、アーディルに向かって放った魔法は、使役魔法、しかも彼ら一族しか知らない秘技である。
アーディルの体を黒い靄が包み、それが口から鼻から皮膚から身体の中に侵入する。
それは血液に乗って身体中を巡り、一周した瞬間に全ての主導権をベリアスに握られ奴隷とされてしまうのだ。
アーディルは目も閉じず、口許には微笑みを浮かべてベリアスを見つめていた。
「なに、君もボクを望んでいるのから?経産婦とは言え、その美しい肢体には興味があるからね。君にも楽しませてあげよう。感覚器官だけは残しといてあげようね、ラブドールではつまらないからね」
赤い舌でチロリと唇を舐めて目を細めてアーディルを見た。
「さあ、この変わった空間から出て、すぐにボクの部屋へと行こう」
ベリアスが一歩一歩と近づいて、アーディルの肩に手を触れた瞬間、
バチバチバチ!!と雷がベリアスの脳天に直撃して、一瞬にして彼の意識を狩り取った。
「不埒な手で触らないで頂戴。わたくしの身も心も、髪一房でさえも、夫だけの物。お前のような色魔に見られるのすら気分が悪い。フンッ」
アーディルは指1本動かさずに、勝負に勝った。
始めに多数の魔方陣を展開した時には既に、この雷撃が準備されていたのだ。
魔法はイメージの勝負、彼女は女を弄ぶ趣味のあるベリアスが自分に手を出そうとするイメージが有り有りと目に浮かんだ。
だからそれを時限スウォッチとイメージしていたのだ。
アーディルを包んでいた靄は、彼女の身を包む光の結界に阻まれて浄化されて消えた。
【魅了!フラッシュ】
アーディルは両手でハート型にして残った魔術師たちに向けてビームを出した。
お尻の小さな女の子をイメージした。
「膝を突いて頭を下げなさい」
「ははあ!」
アーディルの命令に、残りの魔術師団員たちが一斉に従った。
「お前、お前は魔術師団長室へ案内しなさい。残りのお前たちはお互いに逃げれないように捕縛しあいなさい。団長は私が捕縛魔法で捕縛して、マジックバッグに収納していくわ」
アーディルが団長を魔法で拘束して、マジックバッグに押し込んだ。
団員たちはお互いがくんずほぐれずに縄で縛りあっていった。
指名された男、副団長に団長室へと案内させ、その室内を検分し、必要なものは、マジックバッグへ。
聖教会について情報を集めるために.
アーディルは魔術師団を掌握したのだった。
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