マッチングアプリの男 大仏君編

６．可愛げ

聞きたいことは聞けたし、性格も問題なさそうだった。
何よりなんでも褒めてくれるし、ポジティブに受け取ってくれるのが心地よかった。
会うのが楽しみになってきたが、期待を膨らませている彼、
しかも結婚願望のある彼にいつ既婚と告げるべきか悩み始めた。

翌日の夜、ラインがきた。

「こんばんは！お仕事は在宅ですか？」
「こんばんは。半々くらいです。」
「明日は出社ですか？昨日みたいに遅いと大変かなと思って。」
「うん　明日は仕事だから今日は早く寝ないと。笑　大仏は仕事？」
「明日、自分も仕事だよ！もっと早く連絡したらよかった。
普段、月曜に会議があってなかなか寝られない。」

（＜もっと早く連絡したらよかった。＞
なんてかわいいこと言うんだ。年下いいかも。）

「そーなんだ。ごめんね。私も早く連絡すればよかったね。
お仕事コンサルってプロフに書いてたね。コンサルの会議って凄そう。笑　
準備大変なの？月曜から寝不足になると１週間長く感じるよね～」
「フランチャイズの店舗を指導するSVという職種で、
明日は全国の運営会議でさらされないように準備してる。。。
お酒飲まなければ寝たら元気回復するよ！朝が一番元気！！」

（まあ仕事に対してポジティブなコメントだから合格。
朝が一番元気ってあっちのことか？さすが４０歳）

「へえ、なんか大変そうだね。体壊さないように頑張ってね。
確かに寝たら回復するよね！」
「ありがとう！仕事があるときは何時ごろに寝てるの？」
「２３時くらいには寝なきゃって思うんだけど　
ついつい日付変わりそうになってることもよくある。大仏は？」
「だいたい１時くらい。そろそろ寝ないといけないね。」
「そーなんだ睡眠時間少ないんだね。
今日ももう２３時だもんね。
普段あまりテレビ観ないんだけどついつい観てたら遅くなっちゃった。」

少しテレビ番組の話をしてその日のやり取りは終了した。

彼の詮索してこない姿勢が心地よかった。
今日も既婚の話をするタイミングはなかったことに
少し罪悪感のようなものを感じた。
それだけ、彼に対して好意的になっているということであろう。

本命の彼から１週間連絡が来ないがこのさみしさを大仏が埋めつつあった。