マッチングアプリの男 顔がタイプの男編

４．会う約束

さちこはかつてマッチングアプリで出会った落ち武者の教えを守り、
会う前に一度電話したいと言って、日時を決めて電話することにした。
日曜の夜、銀行のATMに行くと夫に告げて電話するための外出準備をしていたが、
約束の30分前に彼から連絡が入った。

「こんにちは。買い物で外出してて、約束の時間には戻れないかも。
帰ったらラインしますね。すみません。」
（えー、まあ仕方ないけど。。。
買い物が理由って、なんかマイペースっぽくてひっかかる。。。）

「こんばんは。今からのが良ければ今から外出かけるけど、
帰ってのが良かったらまた連絡お待ちしています。」

15分経っても返信がなかった。

「やっぱり明日でもいいかな？平日なら何時ごろなら大丈夫ですか？」

しばらくすると

「ごめんなさいでした。今電車ですので、10分後以降なら大丈夫です。
平日なら21時以降くらいです。」
「外出できることになったからじゃあ15分後にかけるね。
2転3転してごめんね。」

電話をかけると、彼は電話に出るなり最初からずっとゲラゲラ笑っていた。
確かにラインでもほぼ文末に「笑」の文字が入っており、
ゲラと言う印象が強かったが、話してるこっちも楽しくなり、
ついつい1時間ほど話し込んでしまった。
週末に会う約束をして急いで家に帰った。

週末までラインでやり取りして、
彼が提案する恵比寿の居酒屋を予約してもらった。

彼は下戸なので、居酒屋というよりは
カップルがデートに使うようなチェーン店の創作料理屋を選んだ。

さちこも過去に何度か訪れたことのある店で
わざわざ恵比寿でここ？という感は否めなかったが、
まあ仕事が多忙の中一生懸命探してくれたと感謝してテンションは上がっていた。
ただ16:30という待ち合わせにはいささか疑問であった。
（待ち合わせは店の前だし、居酒屋はたいてい早くて17:00開店ではないのか？）

「17時でもいいけど。」と送ると
「早く会える方が嬉しい。」という言葉に浮かれてしまい、
予め開店時間を調べるのをすっかり忘れてしまった。