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~剣と誇り~
3-8 <呪いの騎士>
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その男は元老院の議員が一堂に会する会議室で愕然としていた。宮内官クロムウェル公爵の言葉が信じられなかったからだ。
フリデリック王子が、剣技の講師にテオドール・コーバーグを、兵法の講師にナイジェル・ラヴァティとガイル・ウィロウビーを任命したという報告したのである。
阻止するためにあれほど行動したのに関わらず、最も怖れていた事態になってしまった。
その男を何よりも驚かせたのは、コーバークという存在を嫌悪し警戒し怖れていたはずのクロムウェル公爵やヴォーデモン公爵が何故かその事態を容認したという事だ。
むしろ、笑みさえ浮かべて満足げな五大貴族のメンバーの反応も彼の理解を超えていた。
何故、皆、王宮に悪魔を引き入れたことに気がついてないのか? 恐ろしい存在が目の前に現れようとしているのに。
自分は上司を手伝って、資料を作ったから確かに覚えている。
何故……皆、忘れている? あの時、確かに我々の前で処刑された少年、テオドール・コーバーグの事。
今コーバーグ家で生き残っているのは三人。かつて十一歳だった娘キャサリン・コーバーグ、九歳だったユアン・コーバーグ、オーランド・コーバーグのみ。
書類上で投獄されたのは四人だが、長女は牢獄に行く前に、自分の上司により嬲り殺されている。
かつて上司が狂気に満ちた暗い笑みを浮かべ、いかにその娘を残忍に陵辱したかを自慢げに話しているのを、いつも聞かされていた。
上司は狂っていた、公爵夫人への歪んだ愛に。自分の求愛を拒んだくせに、平凡な男の元に嫁いだ美しき金眼の乙女を愛しながら憎んだ末の凶行である。
上司だった男が余興にと持っていったテオドールの生首を見つめられながら、大勢の男達に陵辱されボロボロになり動かなくなったという幼い少女。
自分はその場にもいなかったが、あまりにも何度も上司から語られた生々しい内容に、脳裏にその光景が浮かび上がり、未だに悪夢に悩まされる。
ならば、テオドール・コーバーグとは何者なのか? 関係のない誰かがなりすましているのか? しかし彼の顔は、亡きコーバーグ婦人にソックリだという。となると考えられる事は一つだけ、死者が蘇ったのだ。
何故、誰も恐ろしい事が目の前の起こっている事に気がつかない? 過去から続く恐怖の復讐劇。そう呪いは冤罪事件直後から始まった。実際にコーバーグを陥れた者が次々と破滅の道を辿っている。
あの時、金の眼の遺体と乙女を穢した者もこの世の何処にもいない。
なぜなら皆無残に死んでいったからだ。
上司は拷問にかけられ後、生きながら獣に喰われたらしい。醜く歪んだ苦悶の表情で陰惨な死体となって発見された。
自分は何もしてはいないが、同じように呪われるのではないかという恐怖が未だについてまわる。自分の名前の入ったかの忌まわしき書類はもう塵となっている。自分とコーバーグを結びつけるものは何もない筈だ。しかし相手は亡霊そんな事が救済の道に通じるか分からない。
どうすれば良い? 神に祈ればよいのか、亡霊に縋ればよいのか、どうすれば自分は救われるのか?
男の身体に嫌な汗が流れ続ける、身体の震えを止ることができなかった。
★ ★ ★
~三章完~
三章の主な登場人物
※※※過去※※※
フリデリック・ベックハード
アデレード王国の王子 十三歳 第一王位後継者
レジナルド・ベックハード
アデレード王国の王弟子 二十六歳
フリデリックの尊敬する従兄弟
金獅子師団長師団長 上級大将 金彩眼をもつ
第二王位後継者
バラムラス・ブルーム
王国軍 元帥 公爵家
レジナルドの上司
レゴリス・ブルーム
王国軍 紫龍師団師団長 上級大将
レジナルドの親友 バラムラスの息子
キリアン・バーソロミュー
元老員議員 按察官 二十一歳 公爵家
ダンケ・ヘッセン
フリデリック王太子近衛隊長 二十九歳
グレゴリー・クロムウェル
フリデリック王太子の史学の教師 伯爵家
ナイジェル・ラヴァティ
アデレード王国軍 第四連隊長
ガイル・ウィロウビー
アデレード王国軍 第二連隊長
テリー・コーバーグ
テオドール・コーバーグを名乗り王国軍に所属
第二十三連隊長 金環眼の持ち主
テオドール・コーバーグ
コーバーグ家長男
十三歳で処刑される
テオドール・ベッグバード
アデレード王国 第九代国王
金髪に金眼をもつ
ヴォーデモン公爵
元老員議員 執政官
クロムウェル公爵
元老員議員 宮内官
※※※未来※※※
マルケス・グリント
見習い学芸員
ウォルフ・サクセンの弟子
ウォルフ・サクセン
宮内省 王立美術館 館長補佐
フリデリック・ベックバードの研究をしている
フリデリック王子が、剣技の講師にテオドール・コーバーグを、兵法の講師にナイジェル・ラヴァティとガイル・ウィロウビーを任命したという報告したのである。
阻止するためにあれほど行動したのに関わらず、最も怖れていた事態になってしまった。
その男を何よりも驚かせたのは、コーバークという存在を嫌悪し警戒し怖れていたはずのクロムウェル公爵やヴォーデモン公爵が何故かその事態を容認したという事だ。
むしろ、笑みさえ浮かべて満足げな五大貴族のメンバーの反応も彼の理解を超えていた。
何故、皆、王宮に悪魔を引き入れたことに気がついてないのか? 恐ろしい存在が目の前に現れようとしているのに。
自分は上司を手伝って、資料を作ったから確かに覚えている。
何故……皆、忘れている? あの時、確かに我々の前で処刑された少年、テオドール・コーバーグの事。
今コーバーグ家で生き残っているのは三人。かつて十一歳だった娘キャサリン・コーバーグ、九歳だったユアン・コーバーグ、オーランド・コーバーグのみ。
書類上で投獄されたのは四人だが、長女は牢獄に行く前に、自分の上司により嬲り殺されている。
かつて上司が狂気に満ちた暗い笑みを浮かべ、いかにその娘を残忍に陵辱したかを自慢げに話しているのを、いつも聞かされていた。
上司は狂っていた、公爵夫人への歪んだ愛に。自分の求愛を拒んだくせに、平凡な男の元に嫁いだ美しき金眼の乙女を愛しながら憎んだ末の凶行である。
上司だった男が余興にと持っていったテオドールの生首を見つめられながら、大勢の男達に陵辱されボロボロになり動かなくなったという幼い少女。
自分はその場にもいなかったが、あまりにも何度も上司から語られた生々しい内容に、脳裏にその光景が浮かび上がり、未だに悪夢に悩まされる。
ならば、テオドール・コーバーグとは何者なのか? 関係のない誰かがなりすましているのか? しかし彼の顔は、亡きコーバーグ婦人にソックリだという。となると考えられる事は一つだけ、死者が蘇ったのだ。
何故、誰も恐ろしい事が目の前の起こっている事に気がつかない? 過去から続く恐怖の復讐劇。そう呪いは冤罪事件直後から始まった。実際にコーバーグを陥れた者が次々と破滅の道を辿っている。
あの時、金の眼の遺体と乙女を穢した者もこの世の何処にもいない。
なぜなら皆無残に死んでいったからだ。
上司は拷問にかけられ後、生きながら獣に喰われたらしい。醜く歪んだ苦悶の表情で陰惨な死体となって発見された。
自分は何もしてはいないが、同じように呪われるのではないかという恐怖が未だについてまわる。自分の名前の入ったかの忌まわしき書類はもう塵となっている。自分とコーバーグを結びつけるものは何もない筈だ。しかし相手は亡霊そんな事が救済の道に通じるか分からない。
どうすれば良い? 神に祈ればよいのか、亡霊に縋ればよいのか、どうすれば自分は救われるのか?
男の身体に嫌な汗が流れ続ける、身体の震えを止ることができなかった。
★ ★ ★
~三章完~
三章の主な登場人物
※※※過去※※※
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アデレード王国の王子 十三歳 第一王位後継者
レジナルド・ベックハード
アデレード王国の王弟子 二十六歳
フリデリックの尊敬する従兄弟
金獅子師団長師団長 上級大将 金彩眼をもつ
第二王位後継者
バラムラス・ブルーム
王国軍 元帥 公爵家
レジナルドの上司
レゴリス・ブルーム
王国軍 紫龍師団師団長 上級大将
レジナルドの親友 バラムラスの息子
キリアン・バーソロミュー
元老員議員 按察官 二十一歳 公爵家
ダンケ・ヘッセン
フリデリック王太子近衛隊長 二十九歳
グレゴリー・クロムウェル
フリデリック王太子の史学の教師 伯爵家
ナイジェル・ラヴァティ
アデレード王国軍 第四連隊長
ガイル・ウィロウビー
アデレード王国軍 第二連隊長
テリー・コーバーグ
テオドール・コーバーグを名乗り王国軍に所属
第二十三連隊長 金環眼の持ち主
テオドール・コーバーグ
コーバーグ家長男
十三歳で処刑される
テオドール・ベッグバード
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金髪に金眼をもつ
ヴォーデモン公爵
元老員議員 執政官
クロムウェル公爵
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