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センセイを巡る旅
再会の時
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センセイの壁画は無事そうと分かっても私の心は激しく動揺したまま。フラフラと駅の方に向かう。
そのまま気分が落ちたまま電車に乗り二駅揺られて降りて、気持ちを切り替えるために深呼吸する。
駅からの風景は何も変わらない。
わたしが通学していた時のまま。
駅前にはコンビニやラーメン屋、そして坂を登ると右にお世話になったパン屋が見えてくる。
変わらない雰囲気に私は安堵し暗い気持ちも解けていく。
懐かしくて楽しくて思わずニヤけも出てくる。
まもなく大学の正門にたどり着く。
門がしまっていて、右に受付の警備室が見える。
警備室を横目に大学の敷地に沿って伸びる右の道へと向かう。
大学のフェンスの中に駐車場が見えてくる。ここは職員専用駐車場で停まっている車も少ない。
そしてセンセイの車はやはり無いようだ。先程のオバサンが今日は日曜日とか言ってきたから当然かもしれない。
暑くて喉も乾いている。
私は喫茶店【Jack Beans】の扉を開けると軽やかなベルの音がなる。
カウンターの中からら無愛想にも見えるマスターが私をちらりと見てから「お好きな席にどうぞ」とボソッと伝えてくる。
ここは何も変わらない。その事になんかホッとする。
センセイがいつも座っていた席には既に違う人が座っていたので私はその席と観葉植物挟んで隣にある席に座る。
気が付けば十三時過ぎ。お腹も空いていたのでナポリタンとカフェオレとプリンを頼む。
喉がかわいていたので、先に出された水を一気に飲み干した。
タブレットを取りだす。無料WiFiがきている事を確認してニュースを見る。
竜巻のあった小学校の情報がもう上がっていた。十一時すぎに突如校庭に発生した竜巻は、しばらく校庭を徘徊したのち校舎方面に向かい校門から道路に出て、近隣の家を襲ってから消失したという。
塀を壊さず正門から出て行くとは随分礼儀正しい竜巻である。
とは言え校庭や周辺の家屋をボロボロにしているから優しいとも言えない。
竜巻は大したことなかったという事で、私は忘れることにした。
鉄板に載ったナポリタンでお腹を満たし、水で口をリセットしてからカフェオレとプリンを楽しむことにする。
センセイお気に入りのここのプリンは卵の味の強い堅めのタイプ。
濃厚なプリンの風味にビターなカラメルが加わることで、最高の味わいとなっている。
私はこれにミルクタップリのカフェオレを一緒に飲んで楽しむのが好き。
私は珈琲が少し苦手でブラックではとても飲めない。
だけどミルクの甘みの加わり珈琲に苦味を良い感じに柔らかく楽しめるカフェオレは大好き。
だからここでも、いつもたのむのはカフェオレ。
プリンとカフェオレの最高なマリアージュをとことん堪能してから店を後にした。
お腹も満たされ、プリンとカフェオレで心も満たされ、冷房の効いた空間により疲れも癒された。
私は次の目的地に向かうことにした。
大学より少し上の土地にあるホテル。
ここは泊まった事はないが、高台にあるために部屋から見える風景も絶景ならしい。
そこのロビーから2階への大階段の踊り場に飾られている。
クラシカルな柄の暗褐色の絨毯の引かれた重厚な木の階段、そした踊り場から左右に伸びる2階へ続く階段。
その空間自体も絵の額縁のようにその空間にハマっていて最高に素晴らしい。
センセイの絵は全体的に明るく柔らかい色合いなのに、決して軽くはなくこんなレトロな空間の中においても浮くことは無く、逆にそこだけ光を帯びているように輝いた空間を作り出す。
ここを私が気に入っているポイントはそれだけではなく、踊り場から2階に上がるまでの壁に小さめのセンセイの海の絵が飾られている。
それはまるで窓のようで、その小さな空間から先に外の景色が広がっているような錯角をさせる。
その為この空間は飽きることなく数時間も楽しめる。
私はエントランスから入り階段の下から、まず離れた距離でセンセイの絵を楽しみ、絵をジックリ見つめながらゆっくりと階段を登っていく。
そして近くで絵ではなく、センセイの細やかな筆のタッチを楽しむ。
近くで見るからこそ分かる、この絵の繊細さ。
ネオ印象派画家とも称されるセンセイの絵は、見ている人を優しく包み込むそんな深みのあるオーラを放っている。
私はそのセンセイの絵が放つオーラに包まれて、心が癒されていくのを感じる。
「ここは今の時間は光の感じもよく海が綺麗だと思うよ。また夜景もまた良い感じなんだ」
私がセンセイの絵を堪能していると、心地よい柔らかい声が聞こえる。
「そんなに間近でシゲシゲ見られると恥ずかしいよ」
その声を発した人物は私の近くで立ち止まる。
ゆっくりとそちらに視線を向けると、センセイが立っていた。
黒いスラックスにブルーのストライプのシャツ。
それに白いサマージャケットという、格好が爽やかで相変わらず格好良い。
「この絵はホテルがリニューアルする時に注文を受けて描いたんだ。予め飾る空間も共にデザインしながら描くという楽しい経験をさせてもらった」
そう言って私の方を見て微笑む。
「センセイ!! センセイ!」
私が叫ぶとセンセイは驚いたように私の顔を見て目を見開く。
「え? なんで君がここに?」
先生は私の方に手を出してきたのでその手に触ろうとするがその前に下げられてしまう。
戸惑うセンセイを気にせず私はセンセイに近づきその腕に縋ろうもするが何故か私の手は宙を舞う。
「センセイ逢いたかった。ずっと……ずっと会いたくて探してた。
連絡も待ってたの!
あっでも、今、私スマホを取り上げられたから……連絡つけられなかったのか……でもこうして会えた!
やはり運命なんだね私たち……」
センセイの姿を見て嬉しくて涙が溢れてくるのを感じる。
溢れる涙と共に言葉もセンセイに言いたかった言葉が溢れてくる。
センセイは私の顔だけでなく、何故か横にチラチラと視線を動かす。
「皆、嘘バッカリ言うの!
センセイが死んだって、もう居ないって。
でもやっぱり嘘だった。こうして生きていた!
センセイと私の仲を引き裂くため、そんな嘘を言うなんて馬鹿よね……みんな」
センセイは不快そうに私を見下ろしてくる。自分を勝手に死んだ事にされたと言われたら嫌な気持ちになるのは当然だ。
「誰がそんな事を?
……どうやって死んだって?」
私は顔をブルブル振る。
「知らないよ! ただ皆センセイは事故で死んだとそればっかり……センセイが、私を置いて死ぬわけないものね! でしょ?」
「君には見えてない? この白いワンピースの子が」
先生は振り向き後ろに立っている誰かに話をするような動作をする。
「え? 何が言った?」
センセイが話しかけた方に視線を向けるが、そこには誰も居ない。
「いや……君は私の他に誰が見える? ここに」
私は辺りを見渡す。踊り場にいた人は足早に二階へと歩いていって。
階段の下では何故か私を不振そうに見上げる外国人家族がいるだけ。
「この踊り場には私とセンセイだけ! 二人っきりだよ!」
センセイは何か考え込むような仕草をする。
「君はなにをしているの? そして今どこに暮らしているの?」
「実家に……刑務所を出てから……」
センセイは、私をジッと見つめている。その事が嬉しい。
「……今日は何年何月何日だったかな?」
センセイの言葉に私は首を傾げる。
最近そんなの気にしたことないから忘れてしまっていた。
私はトートバッグに放り込んでいたタブレットを取り出す。上に書かれている数字を読む
「2027年7月11日みたい!」
言ってから私は首を傾げる。私が出所したのは六月。
それからかなり月日が経っていたように感じたから。
あれから一月くらいしか経過してないなんて事あるのだろうか?
センセイはポケットからスマホを取り出し、何か操作している。
「Xはまだ使っている?」
私は頷く。やはり私の愛の言葉はセンセイに届いていた!
「うん! センセイの名前から【渉る夢】の名前で! って知ってるよね?」
センセイは何故か溜息をつく。
「また、連絡する」
「え?! センセイ? センセイ行かないで!! 」
そういってセンセイは私に背を向けて二階へと歩き出してしまう。
私は慌ててセンセイに抱きつき止めようとするが。私の手はセンセイの身体を掴むこと出来ずに空を切る。
まるで手が身体をすり抜けたように見えたのは気の所為だろうか?
慌てて追いかけるとセンセイはわたしを待つことなく、二階の廊下を進んでいく。
その姿が忽然と消え、私は呆然と佇むしかなかった。
その後ずっとセンセイの名前を呼ぶがその姿は現れる事はなかった。
そのまま気分が落ちたまま電車に乗り二駅揺られて降りて、気持ちを切り替えるために深呼吸する。
駅からの風景は何も変わらない。
わたしが通学していた時のまま。
駅前にはコンビニやラーメン屋、そして坂を登ると右にお世話になったパン屋が見えてくる。
変わらない雰囲気に私は安堵し暗い気持ちも解けていく。
懐かしくて楽しくて思わずニヤけも出てくる。
まもなく大学の正門にたどり着く。
門がしまっていて、右に受付の警備室が見える。
警備室を横目に大学の敷地に沿って伸びる右の道へと向かう。
大学のフェンスの中に駐車場が見えてくる。ここは職員専用駐車場で停まっている車も少ない。
そしてセンセイの車はやはり無いようだ。先程のオバサンが今日は日曜日とか言ってきたから当然かもしれない。
暑くて喉も乾いている。
私は喫茶店【Jack Beans】の扉を開けると軽やかなベルの音がなる。
カウンターの中からら無愛想にも見えるマスターが私をちらりと見てから「お好きな席にどうぞ」とボソッと伝えてくる。
ここは何も変わらない。その事になんかホッとする。
センセイがいつも座っていた席には既に違う人が座っていたので私はその席と観葉植物挟んで隣にある席に座る。
気が付けば十三時過ぎ。お腹も空いていたのでナポリタンとカフェオレとプリンを頼む。
喉がかわいていたので、先に出された水を一気に飲み干した。
タブレットを取りだす。無料WiFiがきている事を確認してニュースを見る。
竜巻のあった小学校の情報がもう上がっていた。十一時すぎに突如校庭に発生した竜巻は、しばらく校庭を徘徊したのち校舎方面に向かい校門から道路に出て、近隣の家を襲ってから消失したという。
塀を壊さず正門から出て行くとは随分礼儀正しい竜巻である。
とは言え校庭や周辺の家屋をボロボロにしているから優しいとも言えない。
竜巻は大したことなかったという事で、私は忘れることにした。
鉄板に載ったナポリタンでお腹を満たし、水で口をリセットしてからカフェオレとプリンを楽しむことにする。
センセイお気に入りのここのプリンは卵の味の強い堅めのタイプ。
濃厚なプリンの風味にビターなカラメルが加わることで、最高の味わいとなっている。
私はこれにミルクタップリのカフェオレを一緒に飲んで楽しむのが好き。
私は珈琲が少し苦手でブラックではとても飲めない。
だけどミルクの甘みの加わり珈琲に苦味を良い感じに柔らかく楽しめるカフェオレは大好き。
だからここでも、いつもたのむのはカフェオレ。
プリンとカフェオレの最高なマリアージュをとことん堪能してから店を後にした。
お腹も満たされ、プリンとカフェオレで心も満たされ、冷房の効いた空間により疲れも癒された。
私は次の目的地に向かうことにした。
大学より少し上の土地にあるホテル。
ここは泊まった事はないが、高台にあるために部屋から見える風景も絶景ならしい。
そこのロビーから2階への大階段の踊り場に飾られている。
クラシカルな柄の暗褐色の絨毯の引かれた重厚な木の階段、そした踊り場から左右に伸びる2階へ続く階段。
その空間自体も絵の額縁のようにその空間にハマっていて最高に素晴らしい。
センセイの絵は全体的に明るく柔らかい色合いなのに、決して軽くはなくこんなレトロな空間の中においても浮くことは無く、逆にそこだけ光を帯びているように輝いた空間を作り出す。
ここを私が気に入っているポイントはそれだけではなく、踊り場から2階に上がるまでの壁に小さめのセンセイの海の絵が飾られている。
それはまるで窓のようで、その小さな空間から先に外の景色が広がっているような錯角をさせる。
その為この空間は飽きることなく数時間も楽しめる。
私はエントランスから入り階段の下から、まず離れた距離でセンセイの絵を楽しみ、絵をジックリ見つめながらゆっくりと階段を登っていく。
そして近くで絵ではなく、センセイの細やかな筆のタッチを楽しむ。
近くで見るからこそ分かる、この絵の繊細さ。
ネオ印象派画家とも称されるセンセイの絵は、見ている人を優しく包み込むそんな深みのあるオーラを放っている。
私はそのセンセイの絵が放つオーラに包まれて、心が癒されていくのを感じる。
「ここは今の時間は光の感じもよく海が綺麗だと思うよ。また夜景もまた良い感じなんだ」
私がセンセイの絵を堪能していると、心地よい柔らかい声が聞こえる。
「そんなに間近でシゲシゲ見られると恥ずかしいよ」
その声を発した人物は私の近くで立ち止まる。
ゆっくりとそちらに視線を向けると、センセイが立っていた。
黒いスラックスにブルーのストライプのシャツ。
それに白いサマージャケットという、格好が爽やかで相変わらず格好良い。
「この絵はホテルがリニューアルする時に注文を受けて描いたんだ。予め飾る空間も共にデザインしながら描くという楽しい経験をさせてもらった」
そう言って私の方を見て微笑む。
「センセイ!! センセイ!」
私が叫ぶとセンセイは驚いたように私の顔を見て目を見開く。
「え? なんで君がここに?」
先生は私の方に手を出してきたのでその手に触ろうとするがその前に下げられてしまう。
戸惑うセンセイを気にせず私はセンセイに近づきその腕に縋ろうもするが何故か私の手は宙を舞う。
「センセイ逢いたかった。ずっと……ずっと会いたくて探してた。
連絡も待ってたの!
あっでも、今、私スマホを取り上げられたから……連絡つけられなかったのか……でもこうして会えた!
やはり運命なんだね私たち……」
センセイの姿を見て嬉しくて涙が溢れてくるのを感じる。
溢れる涙と共に言葉もセンセイに言いたかった言葉が溢れてくる。
センセイは私の顔だけでなく、何故か横にチラチラと視線を動かす。
「皆、嘘バッカリ言うの!
センセイが死んだって、もう居ないって。
でもやっぱり嘘だった。こうして生きていた!
センセイと私の仲を引き裂くため、そんな嘘を言うなんて馬鹿よね……みんな」
センセイは不快そうに私を見下ろしてくる。自分を勝手に死んだ事にされたと言われたら嫌な気持ちになるのは当然だ。
「誰がそんな事を?
……どうやって死んだって?」
私は顔をブルブル振る。
「知らないよ! ただ皆センセイは事故で死んだとそればっかり……センセイが、私を置いて死ぬわけないものね! でしょ?」
「君には見えてない? この白いワンピースの子が」
先生は振り向き後ろに立っている誰かに話をするような動作をする。
「え? 何が言った?」
センセイが話しかけた方に視線を向けるが、そこには誰も居ない。
「いや……君は私の他に誰が見える? ここに」
私は辺りを見渡す。踊り場にいた人は足早に二階へと歩いていって。
階段の下では何故か私を不振そうに見上げる外国人家族がいるだけ。
「この踊り場には私とセンセイだけ! 二人っきりだよ!」
センセイは何か考え込むような仕草をする。
「君はなにをしているの? そして今どこに暮らしているの?」
「実家に……刑務所を出てから……」
センセイは、私をジッと見つめている。その事が嬉しい。
「……今日は何年何月何日だったかな?」
センセイの言葉に私は首を傾げる。
最近そんなの気にしたことないから忘れてしまっていた。
私はトートバッグに放り込んでいたタブレットを取り出す。上に書かれている数字を読む
「2027年7月11日みたい!」
言ってから私は首を傾げる。私が出所したのは六月。
それからかなり月日が経っていたように感じたから。
あれから一月くらいしか経過してないなんて事あるのだろうか?
センセイはポケットからスマホを取り出し、何か操作している。
「Xはまだ使っている?」
私は頷く。やはり私の愛の言葉はセンセイに届いていた!
「うん! センセイの名前から【渉る夢】の名前で! って知ってるよね?」
センセイは何故か溜息をつく。
「また、連絡する」
「え?! センセイ? センセイ行かないで!! 」
そういってセンセイは私に背を向けて二階へと歩き出してしまう。
私は慌ててセンセイに抱きつき止めようとするが。私の手はセンセイの身体を掴むこと出来ずに空を切る。
まるで手が身体をすり抜けたように見えたのは気の所為だろうか?
慌てて追いかけるとセンセイはわたしを待つことなく、二階の廊下を進んでいく。
その姿が忽然と消え、私は呆然と佇むしかなかった。
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