Please me

金木犀

文字の大きさ
30 / 67
訓練

5


「なーに彰人、顔真っ赤にして。恥ずかしかったん?お子ちゃまだなぁ!」

少しだけ暗い雰囲気を紛らわすように、須田は赤みの取れない顔をする彰人のこと茶化すと

「……っ!だって!」

お子様扱いに憤慨して頬を膨らましながら抗議すると、けらけらと笑い声を上げながら頭を撫でられた

「ちょっと!須田さん、子ども扱いしないでってば!」

抗議後もなお続ける須田に噛み付くようにそういうと、少しだけ驚いた表情を見せた

「そっちの方がいいな」

「え?」

「ん?いやー、彰人ずっと敬語で俺たちと話すからさ、今みたいに砕けた感じで話してくれた方がいいなーって」

先程までの茶化すための笑みではなく、純粋に嬉しそうに笑う須田の顔を見て今度は別の意味で照れて顔が赤くなる

「あの、えっと……がんばりま……頑張るね?」

敬語を使わないは使わないで緊張して何故か疑問系になりつつも返事をすると笑いながら再び撫でてくれた

「……ん、あれ?みんな来てたの?」

話し声に気がついたのか、河野も起き上がって少しだけ寝癖のついた髪のまま眠そうに目を擦っていた

「あれ、起きたの拓哉」

福部が膝から起き上がったパートナーに声をかけると河野は小さくあくびを漏らしながら頷いた

「ふぁ……うん」

少しだけぼんやりとしながら座っている河野に、福部は須田から受け取った飲み物を渡した

「須田達が買ってくれたんだよ」

「あれ……ありがとう、ごめんね」

福部から受け取りながら河野は礼を述べると、早速蓋を開けてお茶を飲み、再び福部の膝に戻っていった

「みんな疲れてそうだし今日はのんびりして解散しよっか」

河野や沢井がCareを受けた直後ということもあり、休ませるためにと福部が提案をするとその場にいた全員が頷いた

沢井も起こしていた体を上條の膝に横にすると、静かに目を閉じた

「しんどかったら一緒に帰るで?」

頭を撫でながら上條がそういうと、沢井は目を閉じたまま膝の上で首を振った

「ん……」

その様子に上條は短く返事をすると、そのままスマホを取り出し枕となっていた

彰人はその様子を見ていて、信頼し合うパートナーがいる羨ましさのようなものを感じた

須田は常に彰人に気を遣ってくれており、何かあればすぐに護ってくれる存在ではあるものの、どうしてもまだ心の底から信頼しているかと言われると引っかかるものがあった

「彰人?」

「なん……なぁに?」

「こっちおいで」

須田から声をかけられて振り向くと、彼は自分の膝を軽く叩きながら手招きした

前みたいに抱っこするのかと思って近寄って行き膝に座ると少しだけ驚いた顔をしたため、意図していたのが違った行動なのだと気が付き慌てて降りようとしたが、一度乗ってしまった体を抱きしめられ動けなくなる

「膝枕俺もしてぇなって思ったけどこっちの方がいいわ」

口角を緩ませながらそういうと彰人の肩に顔を埋めるように抱きしめられ、首に触れる須田の髪の毛がくすぐったくあったがそのまま体重を預けるように目を閉じた

全員が静かに過ごすサークル室には、誰かが持ってきた風鈴の音と一緒に、6月中旬の初夏の風が流れていた
感想 6

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

世界で一番優しいKNEELをあなたに

珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。 Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。 抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。 しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。 ※Dom/Subユニバース独自設定有り ※やんわりモブレ有り ※Usual✕Sub ※ダイナミクスの変異あり

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

魔性の男

久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。 最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。 そう、思っていた。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。