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訓練
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須田の膝の上で心音を聞きながら体を預けていると、今まで感じたことのない安心感に包まれて眠りに落ちるまではいかないが、うつらうつらとしていた
どのくらい時間が経ったか分からないが、河野か沢井のどちらかが体を起こす音で、眠気が飛び現実世界へと引き戻された
「帰ろか?」
上條の声が聞こえたことで、起き上がったのが沢井の方だと気がつく
「ん……ちゃんと寝てぇわ」
「せやな」
2人の会話が終わると福部も膝に眠っていた河野を優しく揺さぶり起こして帰る支度を始める
みんなが動き始めたことで、彰人も膝から降りて準備をしようとすると、須田はぎゅっと軽く抱きしめてから下ろしてくれた
「少しゆっくりできた?」
リュックを背負おうと荷物をまとめてると、先に準備を終えた須田から声をかけられた
「う、ん……ちょっと寝ちゃいそうだった」
うとうとしていた事に少しだけ恥ずかしくなりながらそう答えると、なぜか須田は安心したような顔をした
「そっかそっか……まぁ、この後少し訓練始めるし休めたならよかった」
他の4人も荷物をまとめ終え、ぞろぞろと部屋を後にすると各々の家の方向に向かって歩き出したため、すぐに彰人と須田は2人で歩く事になった
「場所、どこがいい?」
「あ……全然考えてなかった……」
「だよな、俺も。Play用のホテルは流石にハードルいきなりぶち上げてるからどっちかの家でやる?」
須田の言葉に頷き、彰人が慣れてる場所の方がいいという事で、大学近くにある自宅に向かった
「ここ、です」
「なんか、友達の家入る時ってわくわくするわ!あんま人の家行ったことないし」
表情からして本当に楽しそうにしている須田がなんだかおかしくて、鍵を開けながら笑ってしまった
「あ、何お前笑ってんの!いや別にあれよ?友達少ないとかじゃないかんね?みんなが来るだけだから」
全く見当違いなことを言う様子がさらにおかしくて、小さく声を上げて笑うと、須田は不服そうに何かぼやいた
「須田さんが友達少ないなんて、僕思ってないなぁって。きっとみんな来るからだろうなってわかってたもん」
彰人がドアを開けながら振り返って笑って見せると、須田はきゅっと眩しそうに目を細めた
「……そっか、ならいいけどさ……おじゃましまーす」
2人で狭い玄関に入ると、電気をつけられていないとはいえ夏至の前で日が長いせいか、奥にある窓から西日が差し込んで赤く照らされていた
「何もないので、ベッド座っててもらっていいですか?」
言葉の通りベッドとローテーブル、本棚があるだけでほとんど生活感のない室内に少しだけ驚いた表情をする須田をベッドへと案内して、飲み物をとりに彰人は台所に戻っていった
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