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お城奪還編
第68話 予定通り
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ドカンッ!! ガスッ!! ザシュッ!!
「ギャァァァァァ」
「グエッ……」
「うわぁぁぁ……」
アストリナ城の正面扉の前。
その前に横たわる三人のゼニールの私兵達。
総勢五名の兵士達の半数以上が、地面でのたうち回っている。
「まだやるのっ? 大人しく観念しなさーーいっ!!」
「そうだそうだ!! ボクも本気出しちゃうぞぉ」
「……右に同じく」
ゼニールの私兵達と対峙するレイ達は、各々の武器を相手に向け威勢よく叫んでいた。
そんな三人の様子をポカーンとした表情で眺めるアル。
その隣で自分の事のように勝ち誇った表情のシナモンに、アルは肘でチョンと合図する。
「何か…… 強すぎないすか? あの人達……」
筋骨隆々な肉体に、剣や槍で武装するゼニールの私兵。
その兵達をいとも簡単に倒していた三人の姿を見て、アルは少し背筋が凍る思いをしていた。
「当然なのですよ! ふふん」
「いやっ、何でお前が余裕ぶってんだよ……」
シナモンの様子に若干呆れながらも、アルは先程までの緊張が嘘のように心が軽くなった気がした。
(この様子だと城内も手薄だよな…… 何だよ…… めっちゃ楽勝じゃん……)
そんなアル達の姿をバルコニーの上から見ていたゼニールは、青筋を立てて手すりを叩いている。
「そんなガキ相手に何してるゼニ! 早く立つゼニよっ」
「まぁまぁゼニールさん。 そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。 ふふっ」
怒り狂うゼニールに対し、レドルジは涼し気な表情で言葉をかけた。
その言葉に激昂したゼニールは、レドルジの胸ぐらを掴み声を荒げる。
「ここで何してるゼニ! さっさとお前も行くゼニよ!! お前のせいで兵が居ないゼニよ? どう責任取るつもりゼニか!!」
レドルジは胸ぐらを掴んでいる手を力を込めて握ると、急に無表情になり静かに呟く。
「離してもらえますか?」
感情の無い冷酷な目で睨まれたゼニールは、気圧されるように胸ぐらを掴んでいる手をパッと離す。
しかし怒りが収まらないのか、改めてレドルジを睨むと吐き捨てるように言葉を発した。
「フンッ! この役立たずが!! もうお前は首ゼニよっ! そこを退くゼニ!!」
ゼニールはそう言うと、ドンッとレドルジの胸を押しバルコニーから城内へと入りこむ。
そしてバルコニーの入り口の横に設置されたレバーに手をかけ、大声で叫ぶ。
「役立たず共は全員、死ぬが良いゼニ!」
ガターーーンッ!! ギギッ…… ギギギギッ…… ギーーーーーーー……
ゼニールが両手で体重をかけ重いレバーを下ろすと、城の正面扉がゆっくりと開いていく。
その様子を見たアルは急に嫌な予感がして、大声で前方に居るレイ達に声をかける。
「オイっ!! 何してる! こっち戻れっ!」
アルの言葉にハッとした三人は、正面扉から目を背けずに後ろ歩きでアル達の元へと戻った。
一方ゼニールの私兵達は、怪我をしている者達の元へと駆け寄った兵が一人。
もう一人は、何かに怯えるようにゆっくりと正面扉から遠ざかっていた。
グルルルルルルゥゥゥゥ……………
正面扉の奥から異様な程に低く重い、唸り声が聞こえてくる。
明かりの無い城内の為、声の主の姿までは確認出来ない。
(この声って…… まさか…… な訳無いよな……?)
が、アルはその聞き覚えのある唸り声を聞き、背中に凍るような汗が流れていた。
「ゲハハハッ! みっ、皆死ねば良いゼニ!!」
ゼニールがバルコニーまでやってくると、手すりから身を乗り出し下品な声で笑っている。
その後ろに控えるレドルジは、無表情のままアル達の方へと視線を向けていた。
(さて…… まさかゼニールさんがレバーを下ろすとは予想外でしたが……。 まぁ、概ね【予定】通りといった所ですかね。 このまま何事も無く、喰われてくれれば良いんですが……)
開け放たれた正面扉の奥からゆっくりと歩を進め、皆の前に姿を現した唸り声の主。
巨大な戦鎚を手に持った全身漆黒の化け物は、アル達や兵士達を品定めするように見回していた。
「なっ、何なのです? あの化け物は……」
異様なその姿に恐怖を顕にするシナモンに、レイがゴクッと息を飲み静かに呟く。
「あっ…… あれ…… 【神狼】…… だよね?」
「んなっ!!」
「…………っ」
レイの言葉に驚きの声を上げるシナモン。
そしていつもは無感情のリナが【神狼】という言葉を聞くと、目を見開き今にも飛びかからんといった様子を見せていた。
アルはその様子に気付きガッとリナの腕を握ると、皆に目配せしながら静かに呟く。
「やめろ! 良いか? 皆、動くなよ?」
(同じじゃないとは言え、自分の母親を殺し、国を滅ぼしたっていう化け物が目の前に居るんだから…… 無理もないか……)
【神狼】はゆっくりと回りを見回すと、怪我をしている兵とそれを介抱していた兵に視線を送る。
「ひっ…… ヒィィィィ」
ジロっと睨まれた四人の兵士達は、恐怖のあまり動けずに居た。
「くっ…… 来るなぁぁ……」
介抱していた兵士が向けた剣の切っ先は、カタカタと震えながら【神狼】を指している。
一方、正面扉から遠ざかっていた兵士は、その様子を確認すると意を決したように逃げ出した。
「あっ、馬鹿っ!」
アルがそう叫ぶのと同時に、【神狼】の標的は背を向けて逃げ出した兵に定まった。
ダンッ………… ドスンッ!!!
地面を蹴り飛ぶように兵を追うと、手に持っていた戦鎚で兵を叩き伏せる。
「ぐぇっ…………」
先程まで兵が居た場所には大きな穴が空き、その穴の中に先程まで兵だったモノがあった。
「グルルルルルルゥゥゥゥ……」
低い唸り声を上げながら、次なる獲物に照準を合わせた【神狼】。
「ひぃぃぃ」
悲鳴を上げる兵士達を見て、レイはギュッとメイスを握り駆け出そうとしていた。
「よせっ!」
「でも! ほっとけない」
「忘れたのか? 何があってもシナモンを守るんだろ?」
「そっ…… んん……」
アルは焦ったようにレイの腕を掴み、必死の思いで止めていた。
(やっぱバレリアの言った通り、弱い奴から狙ってやがるな……)
リナは怒りに、シナモンは恐怖に震え、レイは悔しさが滲み出るような表情をしている。
アズサも表情が強張っていたが、アルは皆に視線を送ると小さな声で呟く。
「良いか? いつでも動けるよう構えとけよ? ただ、絶対にバラけるなよ? 良いな?」
念を押すように話すアルの言葉に対し、誰一人返答が無い。
そんなアル達を他所に、【神狼】はゆっくりと兵士達の元へと近づいていく。
「グルルゥゥゥ」
下腹に響くような異様に低い唸り声を聞き、怪我をしている兵士は腰が抜けて動けない。
一方、震えながらも剣の切っ先を向けた兵は、恐怖のあまり自棄になってしまう。
「うっ、うっ…… うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
奇声とも取れるような大きな叫び声を上げると、剣を握りしめ【神狼】へと斬りかかる。
ヒュン! ドンッ…… グシャッ…………
斬りかかる兵に対し【神狼】は、手に持つ巨大な戦鎚で殴りつける。
戦鎚の残像が見えたと同時に風切り音が聞こえると、アストリナ城の壁が鮮血で赤く染まった。
「ひっ、ひぃぃぃぃぃ」
尻もちをつきながら後ずさる兵士達に照準を定めた【神狼】は、高く飛び上がる。
ブォン!! ドンッ……
巨大な戦鎚を両手で持ち振りかぶると、兵士達めがけ思い切り振り下ろす。
先程まで兵士達が居た場所からは絶命の声も聞こえず、ただ大きな穴だけが残る。
その穴は鮮血で赤く染まり、肉塊と血と泥が混ざったモノで満たされていた。
「あっ、あわわわっ」
「ひっ!! どっ、どうするです!?」
あわあわ言うアズサと、恐怖のあまりアルに抱きつくシナモン。
「グルルルル……」
その声を聞いた【神狼】は低い唸り声を上げると、標的をアル達へと定めていた。
「ギャァァァァァ」
「グエッ……」
「うわぁぁぁ……」
アストリナ城の正面扉の前。
その前に横たわる三人のゼニールの私兵達。
総勢五名の兵士達の半数以上が、地面でのたうち回っている。
「まだやるのっ? 大人しく観念しなさーーいっ!!」
「そうだそうだ!! ボクも本気出しちゃうぞぉ」
「……右に同じく」
ゼニールの私兵達と対峙するレイ達は、各々の武器を相手に向け威勢よく叫んでいた。
そんな三人の様子をポカーンとした表情で眺めるアル。
その隣で自分の事のように勝ち誇った表情のシナモンに、アルは肘でチョンと合図する。
「何か…… 強すぎないすか? あの人達……」
筋骨隆々な肉体に、剣や槍で武装するゼニールの私兵。
その兵達をいとも簡単に倒していた三人の姿を見て、アルは少し背筋が凍る思いをしていた。
「当然なのですよ! ふふん」
「いやっ、何でお前が余裕ぶってんだよ……」
シナモンの様子に若干呆れながらも、アルは先程までの緊張が嘘のように心が軽くなった気がした。
(この様子だと城内も手薄だよな…… 何だよ…… めっちゃ楽勝じゃん……)
そんなアル達の姿をバルコニーの上から見ていたゼニールは、青筋を立てて手すりを叩いている。
「そんなガキ相手に何してるゼニ! 早く立つゼニよっ」
「まぁまぁゼニールさん。 そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。 ふふっ」
怒り狂うゼニールに対し、レドルジは涼し気な表情で言葉をかけた。
その言葉に激昂したゼニールは、レドルジの胸ぐらを掴み声を荒げる。
「ここで何してるゼニ! さっさとお前も行くゼニよ!! お前のせいで兵が居ないゼニよ? どう責任取るつもりゼニか!!」
レドルジは胸ぐらを掴んでいる手を力を込めて握ると、急に無表情になり静かに呟く。
「離してもらえますか?」
感情の無い冷酷な目で睨まれたゼニールは、気圧されるように胸ぐらを掴んでいる手をパッと離す。
しかし怒りが収まらないのか、改めてレドルジを睨むと吐き捨てるように言葉を発した。
「フンッ! この役立たずが!! もうお前は首ゼニよっ! そこを退くゼニ!!」
ゼニールはそう言うと、ドンッとレドルジの胸を押しバルコニーから城内へと入りこむ。
そしてバルコニーの入り口の横に設置されたレバーに手をかけ、大声で叫ぶ。
「役立たず共は全員、死ぬが良いゼニ!」
ガターーーンッ!! ギギッ…… ギギギギッ…… ギーーーーーーー……
ゼニールが両手で体重をかけ重いレバーを下ろすと、城の正面扉がゆっくりと開いていく。
その様子を見たアルは急に嫌な予感がして、大声で前方に居るレイ達に声をかける。
「オイっ!! 何してる! こっち戻れっ!」
アルの言葉にハッとした三人は、正面扉から目を背けずに後ろ歩きでアル達の元へと戻った。
一方ゼニールの私兵達は、怪我をしている者達の元へと駆け寄った兵が一人。
もう一人は、何かに怯えるようにゆっくりと正面扉から遠ざかっていた。
グルルルルルルゥゥゥゥ……………
正面扉の奥から異様な程に低く重い、唸り声が聞こえてくる。
明かりの無い城内の為、声の主の姿までは確認出来ない。
(この声って…… まさか…… な訳無いよな……?)
が、アルはその聞き覚えのある唸り声を聞き、背中に凍るような汗が流れていた。
「ゲハハハッ! みっ、皆死ねば良いゼニ!!」
ゼニールがバルコニーまでやってくると、手すりから身を乗り出し下品な声で笑っている。
その後ろに控えるレドルジは、無表情のままアル達の方へと視線を向けていた。
(さて…… まさかゼニールさんがレバーを下ろすとは予想外でしたが……。 まぁ、概ね【予定】通りといった所ですかね。 このまま何事も無く、喰われてくれれば良いんですが……)
開け放たれた正面扉の奥からゆっくりと歩を進め、皆の前に姿を現した唸り声の主。
巨大な戦鎚を手に持った全身漆黒の化け物は、アル達や兵士達を品定めするように見回していた。
「なっ、何なのです? あの化け物は……」
異様なその姿に恐怖を顕にするシナモンに、レイがゴクッと息を飲み静かに呟く。
「あっ…… あれ…… 【神狼】…… だよね?」
「んなっ!!」
「…………っ」
レイの言葉に驚きの声を上げるシナモン。
そしていつもは無感情のリナが【神狼】という言葉を聞くと、目を見開き今にも飛びかからんといった様子を見せていた。
アルはその様子に気付きガッとリナの腕を握ると、皆に目配せしながら静かに呟く。
「やめろ! 良いか? 皆、動くなよ?」
(同じじゃないとは言え、自分の母親を殺し、国を滅ぼしたっていう化け物が目の前に居るんだから…… 無理もないか……)
【神狼】はゆっくりと回りを見回すと、怪我をしている兵とそれを介抱していた兵に視線を送る。
「ひっ…… ヒィィィィ」
ジロっと睨まれた四人の兵士達は、恐怖のあまり動けずに居た。
「くっ…… 来るなぁぁ……」
介抱していた兵士が向けた剣の切っ先は、カタカタと震えながら【神狼】を指している。
一方、正面扉から遠ざかっていた兵士は、その様子を確認すると意を決したように逃げ出した。
「あっ、馬鹿っ!」
アルがそう叫ぶのと同時に、【神狼】の標的は背を向けて逃げ出した兵に定まった。
ダンッ………… ドスンッ!!!
地面を蹴り飛ぶように兵を追うと、手に持っていた戦鎚で兵を叩き伏せる。
「ぐぇっ…………」
先程まで兵が居た場所には大きな穴が空き、その穴の中に先程まで兵だったモノがあった。
「グルルルルルルゥゥゥゥ……」
低い唸り声を上げながら、次なる獲物に照準を合わせた【神狼】。
「ひぃぃぃ」
悲鳴を上げる兵士達を見て、レイはギュッとメイスを握り駆け出そうとしていた。
「よせっ!」
「でも! ほっとけない」
「忘れたのか? 何があってもシナモンを守るんだろ?」
「そっ…… んん……」
アルは焦ったようにレイの腕を掴み、必死の思いで止めていた。
(やっぱバレリアの言った通り、弱い奴から狙ってやがるな……)
リナは怒りに、シナモンは恐怖に震え、レイは悔しさが滲み出るような表情をしている。
アズサも表情が強張っていたが、アルは皆に視線を送ると小さな声で呟く。
「良いか? いつでも動けるよう構えとけよ? ただ、絶対にバラけるなよ? 良いな?」
念を押すように話すアルの言葉に対し、誰一人返答が無い。
そんなアル達を他所に、【神狼】はゆっくりと兵士達の元へと近づいていく。
「グルルゥゥゥ」
下腹に響くような異様に低い唸り声を聞き、怪我をしている兵士は腰が抜けて動けない。
一方、震えながらも剣の切っ先を向けた兵は、恐怖のあまり自棄になってしまう。
「うっ、うっ…… うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
奇声とも取れるような大きな叫び声を上げると、剣を握りしめ【神狼】へと斬りかかる。
ヒュン! ドンッ…… グシャッ…………
斬りかかる兵に対し【神狼】は、手に持つ巨大な戦鎚で殴りつける。
戦鎚の残像が見えたと同時に風切り音が聞こえると、アストリナ城の壁が鮮血で赤く染まった。
「ひっ、ひぃぃぃぃぃ」
尻もちをつきながら後ずさる兵士達に照準を定めた【神狼】は、高く飛び上がる。
ブォン!! ドンッ……
巨大な戦鎚を両手で持ち振りかぶると、兵士達めがけ思い切り振り下ろす。
先程まで兵士達が居た場所からは絶命の声も聞こえず、ただ大きな穴だけが残る。
その穴は鮮血で赤く染まり、肉塊と血と泥が混ざったモノで満たされていた。
「あっ、あわわわっ」
「ひっ!! どっ、どうするです!?」
あわあわ言うアズサと、恐怖のあまりアルに抱きつくシナモン。
「グルルルル……」
その声を聞いた【神狼】は低い唸り声を上げると、標的をアル達へと定めていた。
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