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なんで一緒に寝なきゃいけないんだ!
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宇宙人より桜大地、香納英人は完全な眠りに入るように指示を受けた。宇宙人側は、二人の完全なる休息のために手を出さないことにした。二人のために用意された寝室のベッドは上等そのものだった。十分な広さがあり、使われている素材は高級品そのもの、身体の疲れがすぐにとれる一流品であった。
ただ、二人はそのベッドに不満を持っていた。
(なぜ一つしかない)
両者の心の声が一致した。
宇宙人は二人で寝る事を想定したベッドしか用意していなかったのである!
「桜君、君のために床を譲ってあげますよ」
「へん、俺が逆に床を譲ってやるぜ」
「では、ダメ元で宇宙人さんにもう一つベッド用意するようにお願いしますか」
それを聞いて桜大地が首を横に振る。
「駄目みたいだ、部屋の注意書きにこれ以外の寝具はありませんと書いてある。ワガママを言うとお仕置きされるとまであるぜ」
「なるほど、では桜君。君がお仕置きされるの覚悟でもう一つ寝具を用意するように宇宙人に言ってくれ」
「お前は俺がどうなっても良い存在だと思っているのか?」
「そんなことはありません、君は非常に利用価値のある人間だと思っていますよ」
「言い方がひっかかるなぁ……」
桜大地は考えた。口論では決着はつかない。かといって体力に任せて喧嘩すると宇宙人にペナルティをくらいそうだ。二人が互いに納得する方法はないかと思った。
(早い者勝ち!)
両者同じ事を考えていた。互いに同タイミングでベッドに向かい、そして同じタイミングでベッドに着地した。
「……お前まで早い者勝ち思考に至ったか……」
「同じタイミングでしたね……」
その言葉に桜大地はきょとんとした表情をとった。
「どうしました?」
「いや、お前なら僕が先だから君は床で寝なさいとか言うと思ったからよ……」
「僕は嘘をついて相手に勝ろうとは思いませんので。同じタイミングでベッドに入ったなら仕方なくそれを受け入れようと思いました」
香納英人はすぐに寝る準備に入った。
「んじゃま俺も」
桜大地、香納英人、同じベッド上で互いに距離を離すように寝ることにした。
「……」
互いに目はつぶっているが意識はある。眠りに至るまでの無言の時間は両者にとって精神的苦痛だった。
「……寝ているか香納?」
桜大地は無言の時間に耐えられなかった。
「睡眠の邪魔をしないでください」
一方、香納英人は眠りに至るまで我慢しようと思った。
「いや、家族が恋しいと思ってな……」
「それには僕も同意です。僕がいなくなったことで両親が心配をしているんじゃないかと思っています」
「本当それ、俺も家に小さいガキがいて俺が一日いないだけでも寂しがるからな~~」
「……君がさわがしくていじめがいのある人物で良かった」
「あぁん! 喧嘩売ってんのか!」
「……いや、君と居ると家族が居ない寂しさが紛れるからだよ。もしも僕一人だったら、こんな風にいつものように話してはいないだろう……」
「……ったく、素直じゃねえ奴……」
二人はそれを合図に自然と眠りに入った。
夜中、途中で起きたのは香納英人でであった。彼はいわゆるお坊ちゃま、いつの間にか枕が変わると眠れないタイプになっていたのである! その事実に気付き香納英人は呆れたのであった。
「やれやれ……」
んがー ごごー
一方桜大地は香納英人の予想通り盛大ないびきをかき、さらに寝相も酷かった。
「寝ようにも目が覚めているし、彼のいびきもうるさいし、宇宙人に相談するか」
がばっ
突然香納英人は桜大地に抱きつかれた。香納英人は対応できずに押し倒される形となった。
「な、なにをする気だ!」
「あ、愛しているぞ!」
ぼっ
香納英人は顔を赤らめ、心臓の鼓動が最大限に高鳴っていた。
そもそも彼は今までの人生経験で、こんなダイレクトな告白をされた経験がないのだ。香納英人自身、女子人気は高い方であるが、そもそも彼には許嫁がおり、それを公言しているのだ。ゆえに女子達は香納英人に対し、あこがれの存在程度ですませており、軽い気持ちで大好き・愛していると言葉を彼に投げている程度なのだ。
香納英人は今、初めての事態に対面し、感情がコントロールできていないのだ。
(なぜだ、いつも僕に対し向かってくる彼に対し、こんなドキドキする気持ちを抱くなんて……抱きつかれて愛しているというのがそんなにも僕にとって心をまどわせる行為なのか!?)
「ぷうた~~」
桜大地のその言葉で香納英人の気が抜けた。ここまで桜大地の寝言だったのである! ちなみにぷうたとは、桜大地の家で飼われているトイプードルである。
すり すり すり
桜大地は寝ぼけながら顔を香納英人の顔にこすりつけた。
「このっ、まだ寝ぼけているのかこの馬鹿は!」
香納英人が引きはがそうとするが、桜大地の力が強いのと、体重もあるのでなかなかに引き離せない。
「ぷうた、冷た~~い。どうしたんだよ~~?」
ぱちり
桜大地は目を開けた。彼は香納英人に対し顔をこすりつけていたのを理解した。すぐに彼は距離を置いた。
「ぎゃあああ!! なんでお前がぷうたに!!」
「……叫びたいのは僕の方だ……」
「くそ、また寝直しだ!」
「僕も君がかしましいいびきをかく前に寝ますよ」
二人は改めて眠りに入った。
むくり
今度は桜田大地が寝付けなくなり、一端起きた。
「くそ、なんだか眠れねえ……」
ふと、桜大地は静かに寝息を立てて寝ている香納英人を見た。
「こうやって静かに寝ていればくそむかつくこいつも可愛く見えるもんだな……」
ぎゅっ
突然香納英人が桜大地に抱きついた。さらに彼は桜大地の頭をなでてきた。
「な、な、なっ!?」
「お前はいつも可愛い子だ。愛しているよ」
ぼふっ
桜大地の顔が急に赤くなった。香納英人の言葉が彼の恋愛脳に異変をもたらしたのだ。
ちなみに桜大地は異性からの告白はよくされる方である。しかし、日々の学業・スポーツの努力、家での家事等のために、異性と付き合う時間はほぼとれない。だから彼は女の子の告白をいつもやんわりと断っているのだ。それに彼自身、告白しに来る女の子の大半がよく知らない子なのだ。彼自身、そんなによく分からない相手と付き合いたいとは心から思えないタイプなのだ。
しかし、香納英人に関しては違う。ことあるごとに衝突し、彼に打ち勝つために研究も欠かさない。いつしか桜大地は香納英人をよく知る男となったのだ!
ゆえに、この男が一番言わないであろう台詞を言われ、そのギャップを感じながらも彼の恋愛脳に激しいストレートがくらわされたわけだ!
「お、おい、んな事言われてもどう反応すりゃあいいかわかんねえよ……お前と同じ事言えばいいのか?」
「愛しているよ、レオン」
その言葉で桜大地の気が抜けた。
レオンとは香納英人の家で飼われているゴールデンレトリバーの名前である。香納英人が気を許せる数少ない存在の一つである。ちなみにレオン自身も香納英人に一番懐いているとのことだ。
桜大地は愛犬ぷうたの散歩の際に、香納英人とレオンに会うことが多いので、彼の愛犬の名前は当然知っている。
「俺はレオンじゃねえ!!」
ぱちり
香納英人が目を覚ますと、桜大地の身体をはねのけた。
「まさか、君に夜這いをかけられるとは……」
「お前が寝ぼけて抱きついたんだろうが!」
「……どうやら君と一緒に寝ると貞操が危ういですね」
「それはこっちの台詞だ!」
その夜、互いに安心して寝ることができず、ずっと起きていたのであった。
(どうした、互いに寝不足のようだな)
「ちょっとな……」
「せめて個室さえあれば……」
ぽとん
二人の目の前に栄養ドリンクが落とされた。
(我々ができる最大限の配慮がこれだ)
二人は深いため息をついた。
ただ、二人はそのベッドに不満を持っていた。
(なぜ一つしかない)
両者の心の声が一致した。
宇宙人は二人で寝る事を想定したベッドしか用意していなかったのである!
「桜君、君のために床を譲ってあげますよ」
「へん、俺が逆に床を譲ってやるぜ」
「では、ダメ元で宇宙人さんにもう一つベッド用意するようにお願いしますか」
それを聞いて桜大地が首を横に振る。
「駄目みたいだ、部屋の注意書きにこれ以外の寝具はありませんと書いてある。ワガママを言うとお仕置きされるとまであるぜ」
「なるほど、では桜君。君がお仕置きされるの覚悟でもう一つ寝具を用意するように宇宙人に言ってくれ」
「お前は俺がどうなっても良い存在だと思っているのか?」
「そんなことはありません、君は非常に利用価値のある人間だと思っていますよ」
「言い方がひっかかるなぁ……」
桜大地は考えた。口論では決着はつかない。かといって体力に任せて喧嘩すると宇宙人にペナルティをくらいそうだ。二人が互いに納得する方法はないかと思った。
(早い者勝ち!)
両者同じ事を考えていた。互いに同タイミングでベッドに向かい、そして同じタイミングでベッドに着地した。
「……お前まで早い者勝ち思考に至ったか……」
「同じタイミングでしたね……」
その言葉に桜大地はきょとんとした表情をとった。
「どうしました?」
「いや、お前なら僕が先だから君は床で寝なさいとか言うと思ったからよ……」
「僕は嘘をついて相手に勝ろうとは思いませんので。同じタイミングでベッドに入ったなら仕方なくそれを受け入れようと思いました」
香納英人はすぐに寝る準備に入った。
「んじゃま俺も」
桜大地、香納英人、同じベッド上で互いに距離を離すように寝ることにした。
「……」
互いに目はつぶっているが意識はある。眠りに至るまでの無言の時間は両者にとって精神的苦痛だった。
「……寝ているか香納?」
桜大地は無言の時間に耐えられなかった。
「睡眠の邪魔をしないでください」
一方、香納英人は眠りに至るまで我慢しようと思った。
「いや、家族が恋しいと思ってな……」
「それには僕も同意です。僕がいなくなったことで両親が心配をしているんじゃないかと思っています」
「本当それ、俺も家に小さいガキがいて俺が一日いないだけでも寂しがるからな~~」
「……君がさわがしくていじめがいのある人物で良かった」
「あぁん! 喧嘩売ってんのか!」
「……いや、君と居ると家族が居ない寂しさが紛れるからだよ。もしも僕一人だったら、こんな風にいつものように話してはいないだろう……」
「……ったく、素直じゃねえ奴……」
二人はそれを合図に自然と眠りに入った。
夜中、途中で起きたのは香納英人でであった。彼はいわゆるお坊ちゃま、いつの間にか枕が変わると眠れないタイプになっていたのである! その事実に気付き香納英人は呆れたのであった。
「やれやれ……」
んがー ごごー
一方桜大地は香納英人の予想通り盛大ないびきをかき、さらに寝相も酷かった。
「寝ようにも目が覚めているし、彼のいびきもうるさいし、宇宙人に相談するか」
がばっ
突然香納英人は桜大地に抱きつかれた。香納英人は対応できずに押し倒される形となった。
「な、なにをする気だ!」
「あ、愛しているぞ!」
ぼっ
香納英人は顔を赤らめ、心臓の鼓動が最大限に高鳴っていた。
そもそも彼は今までの人生経験で、こんなダイレクトな告白をされた経験がないのだ。香納英人自身、女子人気は高い方であるが、そもそも彼には許嫁がおり、それを公言しているのだ。ゆえに女子達は香納英人に対し、あこがれの存在程度ですませており、軽い気持ちで大好き・愛していると言葉を彼に投げている程度なのだ。
香納英人は今、初めての事態に対面し、感情がコントロールできていないのだ。
(なぜだ、いつも僕に対し向かってくる彼に対し、こんなドキドキする気持ちを抱くなんて……抱きつかれて愛しているというのがそんなにも僕にとって心をまどわせる行為なのか!?)
「ぷうた~~」
桜大地のその言葉で香納英人の気が抜けた。ここまで桜大地の寝言だったのである! ちなみにぷうたとは、桜大地の家で飼われているトイプードルである。
すり すり すり
桜大地は寝ぼけながら顔を香納英人の顔にこすりつけた。
「このっ、まだ寝ぼけているのかこの馬鹿は!」
香納英人が引きはがそうとするが、桜大地の力が強いのと、体重もあるのでなかなかに引き離せない。
「ぷうた、冷た~~い。どうしたんだよ~~?」
ぱちり
桜大地は目を開けた。彼は香納英人に対し顔をこすりつけていたのを理解した。すぐに彼は距離を置いた。
「ぎゃあああ!! なんでお前がぷうたに!!」
「……叫びたいのは僕の方だ……」
「くそ、また寝直しだ!」
「僕も君がかしましいいびきをかく前に寝ますよ」
二人は改めて眠りに入った。
むくり
今度は桜田大地が寝付けなくなり、一端起きた。
「くそ、なんだか眠れねえ……」
ふと、桜大地は静かに寝息を立てて寝ている香納英人を見た。
「こうやって静かに寝ていればくそむかつくこいつも可愛く見えるもんだな……」
ぎゅっ
突然香納英人が桜大地に抱きついた。さらに彼は桜大地の頭をなでてきた。
「な、な、なっ!?」
「お前はいつも可愛い子だ。愛しているよ」
ぼふっ
桜大地の顔が急に赤くなった。香納英人の言葉が彼の恋愛脳に異変をもたらしたのだ。
ちなみに桜大地は異性からの告白はよくされる方である。しかし、日々の学業・スポーツの努力、家での家事等のために、異性と付き合う時間はほぼとれない。だから彼は女の子の告白をいつもやんわりと断っているのだ。それに彼自身、告白しに来る女の子の大半がよく知らない子なのだ。彼自身、そんなによく分からない相手と付き合いたいとは心から思えないタイプなのだ。
しかし、香納英人に関しては違う。ことあるごとに衝突し、彼に打ち勝つために研究も欠かさない。いつしか桜大地は香納英人をよく知る男となったのだ!
ゆえに、この男が一番言わないであろう台詞を言われ、そのギャップを感じながらも彼の恋愛脳に激しいストレートがくらわされたわけだ!
「お、おい、んな事言われてもどう反応すりゃあいいかわかんねえよ……お前と同じ事言えばいいのか?」
「愛しているよ、レオン」
その言葉で桜大地の気が抜けた。
レオンとは香納英人の家で飼われているゴールデンレトリバーの名前である。香納英人が気を許せる数少ない存在の一つである。ちなみにレオン自身も香納英人に一番懐いているとのことだ。
桜大地は愛犬ぷうたの散歩の際に、香納英人とレオンに会うことが多いので、彼の愛犬の名前は当然知っている。
「俺はレオンじゃねえ!!」
ぱちり
香納英人が目を覚ますと、桜大地の身体をはねのけた。
「まさか、君に夜這いをかけられるとは……」
「お前が寝ぼけて抱きついたんだろうが!」
「……どうやら君と一緒に寝ると貞操が危ういですね」
「それはこっちの台詞だ!」
その夜、互いに安心して寝ることができず、ずっと起きていたのであった。
(どうした、互いに寝不足のようだな)
「ちょっとな……」
「せめて個室さえあれば……」
ぽとん
二人の目の前に栄養ドリンクが落とされた。
(我々ができる最大限の配慮がこれだ)
二人は深いため息をついた。
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